麗央
くんくんくん。
保
うーん、くすぐったいな。もう朝か。。ん?
麗央
くんくんくん。
保
ん、どうした?どうして俺の匂いを嗅いでいるんだ?
麗央
あ、おはよう。あのね、全ての匂いを感じなくなったの。
保
なになに。どういう事?
麗央
つい最近まで私、体調悪かったでしょ。だけど熱が引いてきて、治ったと思ったんだけど、その代わり全ての匂いを感じなくなったの。
麗央
くんくんくん。
保
それは多分、薬のレセプターブロックとかの影響だから気にしない方がいい。じきに治るよ。
麗央
そうかな。。でも全然匂いがしないんだよ、このままだったらどうしよう。病院とか行った方がいいかな。。
保
取り敢えず、しばらく様子見たら。味とかは?
麗央
しない。というか、よくわからない。
保
まあ考えても仕方がないから、もう少し寝てたら。麗央、今日休みでしょ?
麗央
このまま、ずっと匂いを感じる事ができなかったらどうしよう。
保
それでも人は生きていかなくてはならない。たとえ匂いの無い世界でもね。
麗央
そんなのヤダ!だって美味しいものとか食べても、匂いが分からなければ、全ての要素が半減するじゃん。
保
でも逆に言えば、臭い場所とかでも全然いけるわけだから、その点でいえば無敵だな。
麗央
ふざけた事いってないで、もうちょっと真剣に考えてよ。このままだったらどうすんの!
保
だから一時的なものだって、いったん寝ろ。そんなことより、俺はそろそろ起きて仕事にいかなければならない。
麗央
そんな事って酷くない。あなたってたまに凄く冷たい時あるよね。
保
大袈裟なんだよイチイチ。
麗央
どうしようどうしよう、しくしく。
保
じゃあ行ってきます。
麗央
しくしく。
沈んでく夕日 ガチャ ドアに鍵はかかっていなかった
保
ただいま
麗央
おかえり
保
匂いの件はどうなった?
麗央
治りました。







