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1 - #1 こんなことって、ある……?

♥

13

2023年08月15日

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冴月

明日も仕事、かあ……

新しい土地。新しい家。 慣れないことばかりだ。

冴月

(結局引っ越してきてからなんもしてないし)

冴月

(慣れてない分疲れるのも早いなあ……)

田舎のアパートは空き部屋だらけ。 隣も空き部屋のはずだった。

冴月

あれ……?

光熱費の契約書類。選挙のチラシ。 その中に不在連絡票が1枚入っていた。

冴月

保管期限は、と……

冴月

3日後じゃん、やば

冴月

冴月

なんか頼んでたっけ……

頼んでいたものは既に届いていたが、 親から仕送りがある可能性もある。 とりあえず宅配所に電話をかける。

宅配業者

はい、こちら○○運輸です

冴月

すみません、不在連絡票が入ってたんですけど……

宅配業者

再配達のご依頼ですねー、お名前お伺いしてもよろしいですか?

冴月

丸山冴月です

宅配業者

ご住所もよろしいですか?

冴月

はい、○○市□□町1-3 ...

宅配業者

宅配業者

申し訳ありません、確認が取れないようですので、お時間少々いただいてもよろしいですか?

冴月

わ、わかりました……

おかしい。こんなこと今まで無かった。

保留中の音楽が流れている間、もう一度連絡票の内容を確認する。

冴月

あっ

冴月

201号室……遠野……?

宛先に書かれていたのは私ではない名前。

誰も住んでいないと思っていた、隣の部屋だった。

冴月

すみません、間違えて不在連絡票が入ってたみたいで!

冴月

名前はちょっと私も合ってるのか分からないですけど

冴月

住所が隣の部屋なんです……

宅配業者

あっ、大変申し訳ございません!

宅配業者

御手数ですが隣の部屋のポストに移し替えて貰うことは可能でしょうか……?

冴月

わかりました〜

返事をしながら、こんなひょんな事があるものかと考えていた。

こんなきっかけで、隣の部屋に誰かが引っ越してきたことを知るとは。

冴月

遠野……

悪いことはしていないのに、盗み見をしてしまったような罪悪感が残る。

冴月

ふぅ……

冴月

(変なことに巻き込まれたけど、こんなことで時間取られてる場合じゃないや)

冴月

寝よ。

新卒で入社した今の会社。

塾講師として働き、連日高校生に個別指導を行っている。

冴月

(明日はどんな子に会えるかなあ……)

緊張と期待とでドキドキするが、疲れのせいかすぐに眠れた。

翌朝。

冴月

(やばいやばいゆっくりしすぎた……!)

バタバタと玄関に向かい、パンプスを突っかけてドアを開ける。

冴月

あっ……

あっ、ども……

すみません

ちょうど向かい側の部屋のドアが開いて、するりと男の子が私の目の前を抜けていく。

目が合う隙すらなかった。

冴月

(高校生……?)

冴月

(遠野……さん……?)

冴月

(見覚えはないけれど……)

高校が1つしかない田舎では、塾に通っているのも全員その高校の子だ。

高校生の半分が塾に通っているという。

まだ全員の名前を把握している訳では無いが、必死に思い出そうと少し寝ぼけた脳をフル回転させる。

冴月

おはようございます!

冴月

あの、塾の生徒の中に遠野くんっていますか……?

冴月

隣に高校生が引っ越してきて……

先輩

いやぁ……

先輩

たぶん塾には来てない子ですよ

先輩

どんな感じの子でしたか?

冴月

一瞬だったのでよく見てないんですけど

冴月

華奢な感じの……

先輩

うーん……

会社に着くなり聞いてみるが、反応は鈍い。

やはり塾の生徒ではなさそうで、内心ほっとする。

それから1週間くらいしたある日

先輩

こないだ、遠野くんの話あったじゃないですか

先輩

ほら、お隣の

冴月

えっ、あ、はい

先輩

塾生だったかも知れないです

冴月

冴月

え?

先輩

3年生に、ずっと塾を休んでた子がいたんですけど

先輩

復活するみたいで

先輩

その子の名前が遠野なんです

先輩

あの時は寮に入っていると思っていたので違うと判断したんですが

先輩

どうやら寮を抜けたみたいで

先輩

今日の午後に面談に来るはずです

いつもと変わらないと思っていた日が、急に変わる。

冴月

(隣が塾の生徒とか、気まずすぎるんですけど……)

冴月

(私の生活音とかも聞かれてるってことでしょ?)

冴月

(最悪)

冴月

(あっちがもし私のことを覚えてなかったら、私も知らないフリをしないと)

ザワザワと胸が高鳴る。

こんにちはー

かくして、その時は来た。

先輩

こんにちは!

冴月

こんにちは〜

慣れない様子で入ってきた遠野くんと、一瞬だけ目が合う。

……?

怪訝な顔をされた感じがしたが、すぐに面談をするべく応接室に通されてしまい、言葉をそれ以上交わすことは出来ない。

冴月

(待って)

冴月

(イメージは少し変わってるけれど)

冴月

(たぶんあの時の子だ)

そして。

冴月

(思ってたより、綺麗な顔だった……)

田舎の高校ではなかなか見ない髪型と、豊かな表情が、脳裏にこびりつく。

冴月

はぁぁ……

冴月

行く末が心配だ……

自分で自分にため息をつく。

生徒は生徒。それ以上でもそれ以下でもない。

イケメンだとか美人だとか、そんなことに構ってはられないのだ。

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