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Nanase*
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桃/嘔吐
⚠️注意⚠️ 体調不良・嘔吐表現あり ご本人様には関係ありません パクリではありません
〜Suchi視点〜
収録スタジオ
防音ガラスの向こうではこさめちゃんがマイクの前に立っている
今日は1人ずつ順番に歌を収録する日
ほかの5人は外のモニターを前に見守っている
こさめちゃんの歌声が流れるたび、部屋の空気が自然と明るくなる
Illma
Mikoto
Hima72
Suchi
みんな口々に褒めていた
でも、その隣にいるらんらんだけは少し静かだった
いつもならいちばん声を出して盛り上がるのに
今日は腕を組んだまま、じっとモニターを見つめている
Suchi
LAN
そう笑ったけど、いつもの元気な感じより少し弱い
Suchi
そう思いながら、またモニターへ視線を戻した
その時
LAN
声は普通
でも、どこか静かだった
Suchi
らんらんはゆっくり立ち上がり、そのまま部屋を出ていった
Mikoto
Kosame
みんなは笑っている
けれど俺は、何となく扉の方が気になっていた
数分後
カチャ…
らんらんが戻ってくる
何事も無かったかのように、元の場所へ座った
Suchi
表情もいつも通り
姿勢も変わらない
でも、
どこか顔色だけ白い
Suchi
声をかけようとした瞬間、収録ブースの扉が空いた
Kosame
Illma
Mikoto
一気に空気が明るくなる
Hima72
LAN
短く返事をして立ち上がる
その声も、少しだけ力がなかった
Suchi
それでもらんらんはブースへ入り、マイクの前に立つ
ヘッドホンをつけ、伴奏が流れ始めた
そして歌い出す
……でも、
Suchi
声が少し震えていた
いつもの真っ直ぐで明るい声じゃない
息も浅く、どこか歌いずらそうだった
Kosame
Mikoto
Hima72
みんなの空気が変わる
らんらんは続けようとする
けれど、次のフレーズに入る前、
急に歌うのをやめた
マイクの前で、肩が小さく揺れる
Suchi
次の瞬間…
LAN
口元を抑える。でも間に合わない
LAN
ビシャッ……
床に落ちる音
Illma
Kosame
Mikoto
Suchi
気づいた時にはもう、体が動いていた
ガチャッ!!
ブースの中。
らんらんはその場でしゃがみこみ、片手で口元を押さえたまま苦しそうにえずいている
Suchi
Suchi
背中へ手を置いた瞬間、らんらんの体がぐらりと傾いた
Suchi
慌てて支える
らんらんの体には全く力が入っていなくて、そのままもたれ掛かるように崩れ落ちた
LAN
ポタポタ…
Suchi
ゆっくり背中をさする
何度も、落ち着かせるように
Illma
Hima72
Mikoto
Kosame
みんな一気に動き出す
でも、まだらんらんは苦しそうに肩を震わせていた
LAN
ビシャッ……
Suchi
髪をおさえ、背中を支える
額には汗
呼吸も浅い
Suchi
トイレに行った時から、
いや、その前からずっとしんどかったのかもしれない
しばらくして、えずきが少しずつ弱まっていく
LAN
Suchi
小さく頷くらんらん
目元が赤い
みんなで支えながら、隣の休憩室へ移動する
ソファへゆっくり横にならせると、らんらんはすぐに目を閉じた
Kosame
Illma
責める声じゃない
安心した声だった
Mikoto
Hima72
そっと毛布をかける
Suchi
らんらんはうっすら目を開け、
LAN
Suchi
部屋は静かになった
さっきまで響いていた歌声の代わりに
今はらんらんの穏やかな寝息だけが聞こえていた
休憩室のソファには、らんらんが静かに眠っている
顔色はまだ白い
けれど、さっきまでの苦しそうな呼吸は少し落ち着いている
Hima72
Kosame
Mikoto
スタッフさんと相談し、ほかのメンバーは予定通り収録を進めることになった
その代わり、1人ずつ交代でらんらんのそばに着く
誰かが見守り、ほかのメンバーは収録部屋に行く
らんらんが1人にならないように
最初はいるまちゃん
次はこさめちゃん
その次に俺の番になった
俺はソファの横に荷物を置き、眠るらんらんを見守る
寝顔は静かだった
時々眉が少し寄るくらいで、さっきよりずっと穏やかに見える
Suchi
その時、収録部屋の方から扉が開いた
Hima72
どうやら録音データで、少し確認したい場所があるらしい
Suchi
眠っているらんらんへ小さく声をかけ、毛布を整えてから部屋を出た
ほんの少しのつもりだった
確認と修正で、思ったより時間がかかった
10分
15分
Suchi
急いで休憩室へ戻る
ガチャッ……!
扉を開けた瞬間
甘い空気じゃない、嫌な匂いがした
Suchi
ソファの上
らんらんが横になったまま、苦しそうに肩を震わせていた
口元からこぼれたものが毛布を汚し、呼吸も浅く乱れている
LAN
ビシャッ……
Suchi
すぐ駆け寄る
肩を抱き起こし、上体を支える
Suchi
背中をさする
何度も、呼吸を整えさせるように
らんらんは涙目のまま、苦しそうにえずいていた
〜LAN視点〜
ふっと目が覚めた
身体が重い
頭もぼんやりする
でも次の瞬間、胃の奥がひっくり返るように気持ち悪くなった
LAN
喉の奥まで一気に込み上げてくる
起きなきゃ
体を起こさなきゃ
そう思うのに、手にも足にも力が入らない
周りを見る
誰もいない
LAN
すちも、みんなもいない
助けを呼ぶ声も出ない
次の瞬間、
LAN
ビシャッ……
横になったまま吐いてしまう
息がしづらい
喉が苦しい
涙がにじむ
LAN
もう一度吐き気がせり上がる
LAN
ポタポタ…
呼吸がうまくできない
怖い
苦しい
LAN
その時、
ガチャッ……!
扉が開いた
Suchi
聞こえた声に、張り詰めていたものが一気に緩む
LAN
駆け寄ってくる姿が見えた
体を起こされ、背中に手が触れる
LAN
Suchi
Suchi
まだ吐き気は止まらない
でも、さっきよりずっと苦しくなかった
〜Suchi視点〜
らんらんの背中をさすり続ける
ゆっくり、一定の速さで
えずきは少しずつ弱くなってきた
LAN
Suchi
呼吸も整い始める
涙で濡れた目元を見て、胸がぎゅっとした
汚れてしまった毛布をどかし、タオルで口元を拭く
新しい毛布を持ってきて、もう一度ゆっくり寝かせた
らんらんはぐったりしていたが、さっきより表情はやわらかい
前髪をそっと撫でる
Suchi
らんらんは小さく首を振る
Suchi
頭を優しく撫で続ける
らんらんの呼吸が、少しづつ穏やかになっていく
さっきまで苦しそうだった顔が、安心したように緩んだ
そのまま、手のぬくもりを感じながら
らんらんはもう一度眠りについた
fin.