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しちにんめは、きみ
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第1章 呼ばれたのは、六人だった。
なつ
なつ
なつ
梅雨が明けたばかりの放課後。
教室に残った6人の空気が、ちょっとだけざわついていた。
最初に言い出したのは、らん。
らん
なんて話を軽く振ったら、こさめが面白がって乗っかって、そこからなぜか「じゃあ肝試し行こうぜ」って流れになった。
なつ
なつ
なつ
なつが一番端の席で、がっつり腕を組んでむすっとしてる。
その様子に、らんが笑いながら聞いた。
らん
なつ
なつ
なつ
こさめ
こさめが机に突っ伏しながら叫んだ。
こさめ
こさめ
こさめ
すち
すちが苦笑しながら言ったけど、声がちょっと震えてる。
らん
すち
いるま
いるま
静かに言ったのは、いるま。
教室の隅で、ずっと黙ってたけど、今は眉間にしっかりシワ寄ってる。
らん
らん
らんが冗談っぽく言うと、すちが真顔で返す。
すち
すち
みこと
みことがスマホをいじりながら、ふっと笑う。
みこと
みこと
こさめ
こさめが叫んで、教室に笑いが起きた。
夜。
6人を乗せた車は、町外れの山道を進んでいた。
なつ
なつは後部座席でぼそっとつぶやいて、窓の外を見た。
前の席では、いるまが無言で腕を組み、顔をこわばらせている。
なつ
なつ
すち
すちがハンドル握りながら嘆いた。
すち
こさめ
らん
いるま
みんながわちゃわちゃしてる中、みことは冷静だった。
みこと
みこと
停まったのは、山の中腹にぽつんとある廃校だった。
木造で、瓦が剥がれた屋根と、ツタだらけの外壁。
人気もなく、ただ虫の声だけが響いていた。
すち
すちが口にすると、らんがニッと笑う。
らん
らん
こさめ
こさめが震える声で言いながらも、懐中電灯を手に取る。
らんは全員を見渡して言った。
らん
らん
らん
そう言って、全員が懐中電灯をつけた。
廃校の正門を、6つの光が照らして進んでいく。
校舎の中は、思ったより静かだった。
床はギシギシと軋み、窓はひび割れて、壁の掲示板には古びた行事予定表が残されている。
こさめ
こさめが不安そうに聞いた。
すち
すち
すち
すちが確認するように答える。
こさめ
なつ
なつ
なつがぶっきらぼうに言いながら、明らかに目が泳いでる。
その横で、みことがスマホを構えて一言。
みこと
パシャリ、と軽い音が鳴った。
その瞬間は、誰も気づかなかった。
廊下の奥、窓の外、教室の黒板の影。
そこに、“もうひとつの影”が確かに写っていた。
第2章 その影は、誰のもの?
カツ、カツ、カツン――
廊下に靴音が響く。
懐中電灯の灯りは心許なく、曲がり角の先を照らしても、すぐに闇が飲み込んでいった。
なつ
なつ
なつが小声で言いながら、すちの後ろにぴったりくっついてる。
一歩ごとに呼吸が浅くなっていくのがわかるくらい、本気でビビっていた。
すち
すちも腰が引けてる。
なのに、なんとなくみんな“歩みを止めない”。
みこと
みことが落ち着いた声で提案する。
こさめ
こさめ
らん
らんが笑ってドアを開ける。
ガタッと音がして、こさめが反射的に叫ぶ。
こさめ
こさめ
こさめ
こさめ
らん
こさめ
全員が一斉に振り返った。
……何もいない。
ただ、廊下が奥まで伸びてるだけ。
でも、その“空っぽのはずの先”に、妙な違和感が残った。
らん
らんが言う。
でも、その声には、さっきよりちょっとだけ、硬さがあった。
いるま
いるま
いるまがポケットに手を突っ込んだまま、ぽつりと声をかけた。
一番後ろを歩いていたはずの彼が、気づけば前に出てきていた。
いるま
みこと
みこと
みことがスマホをスワイプして、画面を見せる。
映っていたのは、校舎をバックに立つ6人の姿。
みこと
らん
らんがぽつりとつぶやく。
誰かがふざけて加工したわけじゃない。
写真の左端、少し離れた位置に――
知らない誰かが、立っていた。
真っ黒な制服のようなものを着て、顔はぼやけて見えない。
でも、確かに“いる”。
6人の誰とも違う、明らかに異質な存在。
こさめ
こさめ
こさめが引きつった声で言う。
なつも画面を覗き込みながら、顔をしかめる。
なつ
すちが一歩後ずさる。
すち
すちがぽつりとこぼした言葉に、全員が黙り込む。
そのあとも、進むたびに“違和感”は重なっていった。
教室の机の数が合わない。
落ちているノートに、誰も知らない名前が書かれている。
「◯◯、早く来て」っていう黒板の落書き。
なつ
なつが限界の声で言ったとき、背後でコト、と音がした。
みんな振り返った。
そこに――“もう一人”が立っていた。
うつむいていて、顔は見えない。
でも、制服を着ていて、リュックを背負っていて。
何より、そこにいることが自然すぎるくらいに、“馴染んで”いた。
なつ
そう口にした瞬間、そいつが顔を上げた。
その顔を、誰も知らなかった。
でも――どこかで見た気がした。
こさめ
こさめが半泣きでらんの後ろに隠れる。
すちも動けなくなっていた。
けれど。
いるま
いるまがぽつりとつぶやいた。
いるま
なつ
こさめ
その時、電気のない校舎の中に、ふっと風が吹いた。
窓が揺れて、カーテンがめくれ、影が動いた。
そして、そいつはもう、いなかった。
なつ
暗い廊下を戻りながら、なつがぽつりとこぼした。
誰も返事をしない。
でも、みことがスマホを取り出して、写真をもう一度見せた。
みこと
そこには、最初に撮ったはずの写真。
けれど、“7人目”の姿は、消えていた。
すち
らん
らんがぽつりとつぶやいた。
らん
第3章 名前を呼んではいけない
こさめ
車に戻るか、もう少し調べるか。
そんな判断もつかないまま、6人は校舎の階段の踊り場に集まっていた。
誰も、さっきの“誰か”について触れようとしない。
怖くて、じゃなくて――触れたら、何かが壊れそうだったから。
いるま
いるまが壁にもたれながら、ぽつりと言った。
いるま
全員の視線がいるまに集まる。
こさめ
こさめ
こさめが目をぎゅっとつぶって、すちの腕にぎゅうっとくっつく。
らん
らん
らんが少し低い声で言う。
普段は笑ってばかりのらんが、ここまで真面目な顔になると、余計に空気が冷え込んだ。
らん
らん
みこと
みこと
なつ
なつが自分の懐中電灯を見つめながらつぶやく。
光がほんの少しだけ、震えていた。
なつ
それからしばらく、誰も言葉を発さなかった。
6人でいるのに、どこか空白がある気がして、うまく呼吸ができない。
そんな沈黙を破ったのは、またしても“音”だった。
カラン――と、階下から小さな何かが転がる音。
なつ
なつが小声でぼやく。
誰も動こうとしない。
でも、聞いてしまった以上、無視できる空気じゃなかった。
らん
らんが立ち上がって、懐中電灯を構えた。
その後ろに、みこととすちが続く。
こさめ
こさめがすちの服の袖を引っぱる。
すち
すち
すちは言って笑うけど、その声も少しだけ震えていた。
階段を降り、旧職員室の前まで来たとき。
みことが、ふと足を止める。
みこと
床に、ノートが落ちていた。
一冊の、表紙が黒ずんだ連絡帳のようなもの。
らん
らんが苦笑しながら言った。
みことがページをめくる。
そこには、びっしりと名前が並んでいた――
……はずだった。
でも。
みこと
名前が書かれているはずの場所は、すべてインクがにじんでいて、文字の形さえわからない。
ページ全体が、じっとりと湿ったような跡で波打っていた。
いるま
いるまがぼそっと言う。
みことがページの下を指差す。
みこと
最下段に、ひときわ目立つ“空欄”があった。
そこにはこう書かれていた。
——しちにんめ:■■■■
みこと
すち
すちがぽつりと呟く。
すち
いるま
いるまが静かに言った。
いるま
ぞくりと背筋を冷たいものが這った。
らん
らんが言った。
らん
らん
こさめ
こさめ
こさめが強く否定する。
なつ
なつ
なつも言う。
だけど。
誰かが、無意識に――
“その名前”を、口にしてしまったんじゃないか。
気づかないうちに、自然に、そこにいる気がして。
ふと呼んでしまった“何か”を。
らん
らん
らんが言う。
みんながうなずいた。
みこと
らん
みこと
らん
みことがそっとノートを閉じた。
ぱたん、という音が、どこかの扉を閉めたように響いた。
階段を上がり、さっきいた踊り場へ戻る。
空気が、どこか違う。
こさめ
こさめが、ぽつりと声をもらす。
こさめ
らん
こさめ
こさめの視線が、全員をなぞる。
1、2、3、4、5、6……
そして、もうひとり――
こさめ
数え終わっても、目の端にまだ“誰か”が見えた。
——7人目が、いる。
第4章 しちにんめは、きみ
こさめ
こさめが、ほとんど囁くような声で言った。
廊下に、6人分の足音が響く。
でも耳を澄ますと、それよりも少しだけ遅れて――もうひとつの足音が、ついてきているような気がした。
すち
すちが小声で叫ぶ。
すち
こさめ
みことが立ち止まる。
みこと
みこと
なつ
なつの声が鋭く響いた。
なつ
なつの言葉が、喉で止まった。
目の前。
階段の影に、“それ”がいた。
制服の裾、髪の揺れ、ぼやけた顔。
でも、もうぼやけてはいなかった。
その顔は――“いるま”だった。
らん
誰もが、同時にいるまを振り返った。
そこには、今まさに立っている“本物のいるま”がいる。
けど、前方にも、まったく同じ顔、同じ制服、同じ表情の“もうひとり”が立っている。
らん
らんが低くうなるように言った。
こさめ
こさめ
こさめ
いるま
いるまがはっきりと答える。
みこと
みことの声は静かだった。
みこと
いるま
いるま
いるま
なつ
なつ
なつがゆっくり言う。
なつ
“そいつが本物になってる。”
らん
らんがぽつりとつぶやく。
らん
らん
らん
らん
こさめ
こさめが震えた声で言った。
こさめ
誰かが、誰かじゃなくなってる。
顔をして、声をして、目の前で笑ってるけど、もうとっくに――“その人”じゃないかもしれない。
すち
すちが、呟くように聞いた。
すち
すち
みこと
みことが言った。
みこと
すち
誰かが代わりに、“七人目になる”。
沈黙。
長い、重い沈黙が落ちた。
誰も言葉を出せない。
怖いのは、“誰かがいなくなる”ことじゃない。
“誰かじゃないもの”とこれからも生きていくかもしれないという、この現実だった。
こさめ
こさめがぽつりと呟いた。
こさめ
なつ
なつがすぐに返した。
なつ
こさめ
こさめ
すち
すち
すちが首を振った。
すち
こさめ
こさめが、目を潤ませて笑う。
こさめ
いるま
いるまのその言葉に、全員が息をのんだ。
いるま
なつ
いるま
いるま
なつ
全員が向き合った。
拳を握る。
手の中に、選択のすべてがある。
開けば、失う。
でも、もう誰かを疑って過ごす未来には、戻れない。
なつ
なつ
……結果は、描写されなかった。
ただ、帰り道。
6人で車に乗り、無言で夜の山を降りていった。
誰も、振り返らなかった。
誰も、何も言わなかった。
けれど、助手席の鏡に映ったのは――
“6人ではない、何か”。
rara🎼
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コメント
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え、凄く怖い… 天才だ 最後誰が名前書いたんだろ…