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◆🦖side
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かじかんでまだ少し動かしにくい指でぎこちなく箸を動かしながら無心で味噌汁を啜ってたら、正面に座ってたゆあんくんの呆れた声が降ってきた。
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外気に冷やされた体がお腹からじわ~っと温まっていく。やっぱ寒い仕事帰りの後に飲むお味噌汁は格別だ。
一度食いっぱぐれてしまってからこっち、どぬちゃんへのほう・れん・そうは抜かりなく送っている。
あの時はあの時でLINEの連絡文は打ち込んでいたのに、肝心の送信を忘れると言う痛恨のミスをしてしまい、どぬちゃんにも凄く心配かけちゃったし、お味噌汁はたっつんに取られてしまった。
あの後たっつんが 「わーかったって。作りゃいいんでしょ作りゃ」 って作ってくれた。 けどたっつん作のあっさり味噌汁も美味しいは美味しかったんだけど、どぬの作るお揚げたっぷりのこってり甘い味噌汁の口になってたから、正直ちょっと物足りなかったんだよな。
しかも、作ったら作ったで用は済んだとばかりに俺が食べ終わるのも待たずに部屋に戻っちゃうし。
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唐突に響いた低温ボイスに、ゆあんくんに思考をよまれたのかと動揺した。
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正面の席で、どぬちゃんとゆあんくんが言い合いをしてる。言い合いと言っても二人とも笑い混じりだ。 話に夢中でお皿の上のご飯も二人とも半分以上残ってる。 のあさんはもうとっくに食べ終わって食後のデザートに手をつけ始めてるのに。 前から思ってたけどこの二人仲いいよな。気がついたらなんかずっと─言葉を選ばなければ─イチャイチャしてる気がする。
俺、どっちかって言うと『もふどぬ』派なんだけどなあ。 目の前で交わされるトムとジェリーのようなじゃれあいを見ながらぼんやり考える。
ゆあんくんとどぬちゃんのイチャイチャはなんか見てて微笑ましいってなるけど、 もふくんとどぬが揃うと甘いというかなんかこっぱずかしい空気が流れるんだよな。
二人が嫌がるからやらないけど、例のあの企画、もう二度とやりたくないって言ったら嘘になるんだよなあ、 まあ、自分も出るのは絶対嫌だけど笑
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うんうんそう、だいたいどぬちゃんにも原因あると思うんだよね。 365日可愛いのはもうずるいと思うんですよ。 女の子に対する『可愛い!』とはまた違うんだけど、何て言うか庇護欲?保護者面?したくなるみたいな
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思考の海にどっぷり潜っていたら、急に名前を呼ばれ慌てて返事をする。
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困ったように話すどぬのお皿にはまだおかずが少し残ってる。ちなみにゆあんくんもだ。 この二人、多分もうお腹いっぱいだな笑
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どぬが作るのはお味噌汁だけ。それ以外のおかずは皆各々用意したりのあさんが作ってくれたり。多分買う時はお腹ペコペコだから買いすぎちゃったんだろな笑
うんうん、わかるよ。俺もよくやる。
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ぽかぽかと叩かれて、慌てて流石に反省する。
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若者たちの判定は冷ややかだ。
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流石にこれを聞き逃したら愛想をつかされるかもしれない。
真剣に向き合って話を聞いた。
─木曜日─20:45─
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こっそり部屋に入って目の前のPC画面に完全集中してたどぬに後ろから抱きついたら、抱き込んだ身体がビクリと大きく跳び跳ねた。
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今日は帰る時間もきっちり送ったのに。
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あれ?今日ってどぬの配信の日だっけ?
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あ、ゆあんくんの声だ。 ってことはこれゆあんくんの枠か。 今日は一緒にやってるんだ。 ちらりと見たPC画面にリスナーさんが送ったであろう『じゃっぴだー』のコメントが大量に流れてきて、思わず手を振り返して返事する。 配信中ってことは─、、、
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せっかく今日のお味噌汁会を楽しみに帰って来たのにと恨みがましい声が溢れてしまう。 しかも今日はお土産に高級コンビニスイーツも買ってきてるのに。 心待ちにしてた分、落胆も大きい。
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所詮どぬちゃんも俺よりゲームを取るんだとやさぐれたため息がこぼれる。
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完全にいじけモードになってた所に唐突に名前を出されびっくりする。
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そう言えば言われてた!
何度も聞き逃したせいでぽかぽかと可愛く怒られたのを思い出す。
─完全に自業自得じゃないか。
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なんとなく離したくなくてそのまま背中に張り付いていたら不名誉なあだ名を付けられてしまった。
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牽制の意が込められているのかのあさんの咳払いも聞こえる。
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外から帰ったばかりで手も足も顔も体も全身が冷えきっている。 今日一日留守にしていた寒々とした自室にこのまま戻ったら凍えてしまう。あったかいお味噌汁が飲めないんだったらせめてあったかいどぬちゃんで暖まりたい! すぐそばにある暖を求めてぐりぐりとすり寄る。
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触れる人肌が暖かくて擦り付けていたら真剣に嫌がられた。
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しかもセクハラ疑惑受けるし。
くすん、、、
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頬を擦り付けたことでどぬのイヤホンが外れて転がってしまった。
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対戦中のため手が離せないどぬに変わって、冷えてまだかじかむ指で拾い上げる。
まったく、男同士の触れ合いにセクハラも何もないだろうに。
そのまま耳許に器具を差し込んだ時、予期せぬ声が上がった。
ひぁっ─
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何、イマノ高い声─。
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もちろん、俺でもない。 そうなると、必然的に一人しかいないわけで。 声を出した張本人は右耳を抑えて声を殺して固まっている。
なんか、うん、ナンカ、、あのね───、
うん。
エロくね!?
言葉を選ぶのを忘れ完全にコンプラ違反な考えが過る。
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ゆあんくんの声も心なしか震えてる気がする。
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なんか楽しくなって いつものノリで続けようとしたら、のあさんから特大の雷が落ちてしまった。
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固まってしまいこっちを見ようともしないどぬちゃん、画面越しにも怒りのオーラが出ているのあさん。 そして、呆れたように吐き出した配信主であるゆあんくんからの提言に
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逆らう余地はなかった。
◆お風呂にて
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湯船にちゃぽんと浸かりながら思い出す。
うりりんとかならともかく、どぬちゃんとセクシーは今まであまり結び付かなかった気がする。 別にどぬちゃんが甲高い声で叫ぶのなんて珍しいことじゃない。なんならどちらかと言うと普段の声も高いほうだ。 でも、さっきの声は常日頃の撮影の時によく聞く鳴き声とは異なる色を放ってて。 まあ有り体に言うと、
ムラっと
「しちゃったんだよなあ」
よもやどぬちゃんにそんな印象を抱く日が来るなんて。
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僅かに反応した身体を仕事疲れと寒さからくる人恋しさのせいにする。
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パシャんと頭からお湯をかぶった。
今日はどんなお味噌汁なんだろうなあ。
明かりの消えてた休憩室には目もくれず一目散にどぬの部屋に行ったから中身は上がってからのお楽しみだ。 だいたいは彼の好物であるお揚げの味噌汁なんだけど、何回目からか俺の大好きな豆腐の味噌汁も出るようになった。 偶然かもしれないけど、ひょっとしたらリサーチしてくれたのかもしれない。
真面目だよなあ。
もとはと言えば俺が強引にお願いしまくって決まったことなのに、ちゃんと律儀にこうして作り続けてくれるどぬに感謝の気持ちが溢れる。 頼りないとこだらけなのに、こうして年上の俺のこと立ててくれるし。 真面目で、人懐っこくて、 そして意外と体育会系なところもある彼の男気が好きだ。
ふと、数ヵ月前降ってきた選択肢が甦る。
『ご飯にする?お風呂にする?それとも─?』
あの日、頭の中に降って沸いた選択肢。あの時は、たしか迷わず 『どぬちゃん』 を選ぼうとしたっけ。 あったかいお湯の中でふはっと笑う。
結局『ご飯』(お味噌汁)を選んで、 なんだかんだで今お風呂も満喫している。 あと選んでないのは 『どぬちゃん』だけか~
ふと少し前の高い声が甦る。
🦊『ひあっ─』 もぞっと何かが反応した気がしてヒヤリと冷たい物が走る。
え、まさか??? 頭だけが急速に冷えていく。 恐る恐る視線を落とす。
よし、●ってない────!!
パシャんと音を立てて強くガッツポーズをする。
俺は男でどぬも男! 頼りになるメンバーで可愛い弟分だ!
それ以上でもそれ以外でもない!!!
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お風呂から上がって休憩室に戻ったらいつもの声が出迎えてくれた。
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休憩室のテーブルの上にはほかほかと湯気をたててるお味噌汁と俺が買ってきてた晩御飯が並んでいた。
袋のまま置きっぱなしにしていたのも並べてくれたんだ!!
キレイに配膳されたその光景を見た瞬間、ぶわぁっと衝動のような何かが胸の奥からこみ上げてきた。
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この感情は感謝?それとも──!?
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冷蔵庫を覗きこみながら声をかけてきたどぬに自然と声が出ていた。
「どぬちゃん!!」
お味噌汁でもなくお風呂でもなく『どぬちゃん』を選ぶ日がホントに来るなんて!!
ま、なるようになるか!!
作者
作者
作者
作者
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました♥️