テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ズキズキと痛む傷を眺め意識を保つ

シード・ド・アレン

はぁ、来るんだろうなぁ

シード・ド・アレン

ずるいよね…君だけ

クロエ・ ド ・グルセ

……

シード・ド・アレン

たまたま拾われたくせに…

シード・ド・アレン

幸せそうで

シード・ド・アレン

僕はあんなに頑張ったのに

シード・ド・アレン

見向きもされない

シード・ド・アレン

…はは…なんだよそれ…

シード・ド・アレン

…なんで君ばっかり…!!

憎しみの表情で私を見る彼

クロエ・ ド ・グルセ

……

クロエ・ ド ・グルセ

(なんて…可哀想な人なのだろう…)

きっと彼は…誰にも褒められず1人で頑張ってきたのだろう

私は本当に恵まれているんだ…

シード・ド・アレン

…ねぇ、君は

シード・ド・アレン

セシルのどこがすきなの

シード・ド・アレン

僕はずっと小さい頃から好きなんだ

シード・ド・アレン

パーティーで見たあの日から

数年前

パーティーで出会ったセシル

一目見てすぐに僕は恋に落ちた

こんなにも、こんなにも

シード・ド・アレン

(美しい人…)

セシル・ ド ・ヌヴィユ

……はぁ…

つまらなそうに座る彼女に

僕は自然と目を奪われていた

その後父に

功績を残せば、番にしてくれる可能性があると言われ

僕は毎日過酷な訓練を受けながら仕事に励んだ

誰からも褒められる事がなくても

彼女の目に少しでも止まれば、と

シード・ド・アレン

それなのに

シード・ド・アレン

君は簡単に番になってしまったね

シード・ド・アレン

…もちろん

シード・ド・アレン

奴隷として売られたのは同情する

シード・ド・アレン

だけど…

シード・ド・アレン

僕が今まで頑張ってきたのは…なんだったの…

シード・ド・アレン

僕が今まで受けた傷はなんだったの

シード・ド・アレン

全部…全部無駄だったじゃないか…

クロエ・ ド ・グルセ

………

彼は虚ろな目で天井を見上げて私を見た

シード・ド・アレン

…ごめんね、傷をつけて

シード・ド・アレン

そうでもしないと僕は目的を果てそうにないから

クロエ・ ド ・グルセ

…目的…?

シード・ド・アレン

…そう

シード・ド・アレン

せめて、彼女の記憶に

シード・ド・アレン

…あわよくば…彼女の手で…

クロエ・ ド ・グルセ

…!

クロエ・ ド ・グルセ

(まさか…)

シード・ド・アレン

……

シード・ド・アレン

来たみたいだ

シード・ド・アレン

…じゃあねクロエさん

シード・ド・アレン

セシルとお幸せに

クロエ・ ド ・グルセ

!…ま…待って…!!

私が叫んだ声は彼には届かず、扉がバタンっと冷たく閉じた

クロエ・ ド ・グルセ

(死ぬ気なんだ…セシルに…殺される為に…)

セシル・ ド ・ヌヴィユ

……雑魚が多いな…

リボルバーに弾を補充して回す

シード・ド・アレン

よく来たねセシル

シード・ド・アレン

会いたかったよ凄く

笑顔で登場する彼

セシル・ ド ・ヌヴィユ

シード

シード・ド・アレン

わ、僕の名前知ってるんだ

シード・ド・アレン

嬉しいな

セシル・ ド ・ヌヴィユ

?知らない訳無いだろ

シード・ド・アレン

セシル・ ド ・ヌヴィユ

君の家は代々ウチに貢献していたからな

セシル・ ド ・ヌヴィユ

君の功績も耳に入ってる

シード・ド・アレン

……なんで…今更

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…?

彼は上着を脱いで地面に放り投げた

シード・ド・アレン

拳で勝負しようよセシル

セシル・ ド ・ヌヴィユ

……

銃を置いて上着を脱ぐ

セシル・ ド ・ヌヴィユ

遺言はそれでいいか?

セシル・ ド ・ヌヴィユ

正直あんたの事忘れてたけど

セシル・ ド ・ヌヴィユ

資料読んでたら思い出したわ

シード・ド・アレン

それは光栄だ

シード・ド・アレン

っ…

血まみれの彼女が僕の前に立っている

それを見上げる

これは僕が望んでいた最後

シード・ド・アレン

…はぁ…はぁ…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

中々腕が良かった

セシル・ ド ・ヌヴィユ

銃は下手くそだったけど

シード・ド・アレン

は…ははは…

シード・ド・アレン

…一応…僕も訓練受けていたからね

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…そう

彼女はリボルバーを拾ってクルクルと回した

シード・ド・アレン

シード・ド・アレン

(ああ…なんて絵になるのだろうか…)

シード・ド・アレン

(僕が初めて恋をした女の子)

カチャッと僕を狙う銃口

シード・ド・アレン

(最後に、見るのが君で良かった)

シード・ド・アレン

…ありがとう

セシル・ ド ・ヌヴィユ

……

セシル・ ド ・ヌヴィユ

来世は

セシル・ ド ・ヌヴィユ

こんな世界に生まれるなよ

シード・ド・アレン

……

最後の優しさを僕に振りかけて

彼女は引き金を引いた

パンッ

クロエ・ ド ・グルセ

っ…外れない…

手縄を取ろうとしてもやはり取れず

肌に縄が食い込み少し痛みが走る

クロエ・ ド ・グルセ

…セシル…

ガチャッ

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…クロエ…!!

クロエ・ ド ・グルセ

クロエ・ ド ・グルセ

セシル…!

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…ごめん…!!

セシルは私を強く抱き締めた

クロエ・ ド ・グルセ

セシル…?

セシル・ ド ・ヌヴィユ

ごめんね…1人で買い物なんて行かせたから…ごめん…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

こんな傷だらけで…

血の匂いがするセシル

クロエ・ ド ・グルセ

…セシルも…傷…

クロエ・ ド ・グルセ

こんなに血の…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

私のじゃないから大丈夫…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…クロエ…ごめんね…

クロエ・ ド ・グルセ

…大丈夫です…

クロエ・ ド ・グルセ

今こうして来てくれたじゃないですか…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

……

私を抱きしめる彼女の手は少し震えていた

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…はぁ…ダメだ…私…

クロエ・ ド ・グルセ

…セシル…?

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…私…クロエがいないとダメみたい…

顔を見ると泣きそうな顔

目の下は少し赤くなっていて

擦った跡が分かった

クロエ・ ド ・グルセ

セシル…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

クロエ…好きだよ…好き…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…結婚しよう、私と

クロエ・ ド ・グルセ

え…?

セシルは持っていた上着のポケットから小さな箱を取り出して開けた

中には指輪と、Ω用の首輪

クロエ・ ド ・グルセ

α‬がΩに首輪を贈るのはこの上ない愛情表現

セシル・ ド ・ヌヴィユ

本当はもっとサプライズしたかったんだけど…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

早い方がいいかな…って…

クロエ・ ド ・グルセ

っ…何を言ってるんですか…

クロエ・ ド ・グルセ

これが一番のサプライズですよ…っ…!!

箱と彼女の手を握った

セシル・ ド ・ヌヴィユ

クロエ…

クロエ・ ド ・グルセ

…してください…是非

クロエ・ ド ・グルセ

私を…貴女の傍にずっと居させてください…っ…

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…っ…うん

セシル・ ド ・ヌヴィユ

帰ろう、クロエ

彼女は私の拘束を外すと上着を掛けて抱き上げた

クロエ・ ド ・グルセ

クロエ・ ド ・グルセ

じ…自分で歩けます…よっ…?

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…だめ

セシル・ ド ・ヌヴィユ

もうクロエは私のでしょ?

セシル・ ド ・ヌヴィユ

私は自分のモノは大切に大切にしたいからさ

無邪気に笑う彼女にドキッとした

抱き抱えられて部屋を出ると

廊下にはあの子が横になって倒れていた

クロエ・ ド ・グルセ

…シードさん

セシル・ ド ・ヌヴィユ

……

セシル・ ド ・ヌヴィユ

裏切り者は

セシル・ ド ・ヌヴィユ

何があっても許されない

セシル・ ド ・ヌヴィユ

ルールだから

安らかな顔で眠る彼

最後の最後に願いを叶えられて幸せそう

本当にこれでよかったのだろうか

彼は死なずに済んだ未来もあったはずなのに…

クロエ・ ド ・グルセ

……

セシル・ ド ・ヌヴィユ

…もう少し見直すよ、色々と

クロエ・ ド ・グルセ

…え?

セシル・ ド ・ヌヴィユ

管理不足だった

セシル・ ド ・ヌヴィユ

もうこんなことが起きないように善処する

クロエ・ ド ・グルセ

……はい…

クロエ・ ド ・グルセ

そうして…あげてください

もう、こんな事にならないように

この作品はいかがでしたか?

40

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚