テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
3件
第17話、読み終えました……。 らんが狐のぬいぐるみを「なつ」と呼んで話しかける姿、胸がぎゅっとなりました。あの子は本当は一人じゃなかったんだなって。なつが最後に駆けつけて、「俺はらんの本音を聞きたい」って言ってくれた場面、じんわり来ましたね。ぬいぐるみに「にな」って名前を付けるところも、優しい気持ちになりました。 俏亜さんの描く距離感の繊細さ、とても好きです。
ことみ
64,118
みちょ
2,056
このは
23
#らん嫌われ表現有り
俏亜
74,562
らん が入院してから一週間が経っていた。
熱は上がったり下がったりと安定はしないが40度を超えることは初日以外では無かった。
面会時間が終了し帰宅しようとしていた すち たちは呼び止められ、すち と なつ だけ別室に案内をされ、他は休憩室で待つことになった。
すち
こえ
こえ
らん が学校に来たのは、無断で病院を抜け出した時だけ。
それ以降は らん は大人しく病室に居る様になった。
日中、兎のぬいぐるみだけでは寂しいだろうかと、少し前に狐のぬいぐるみをプレゼントした。
こえ
すち
こえ
こえ
らん が食事を摂るのは、なつ が面会に来て居る時だけ。
とは言っても食事と言うよりは果物を食べているだけなのだけれど……。
そのため、栄養剤と解熱剤を点滴で使っている。
こえ
こえ
なつ
こえ
面会の時、らん はそんな素振りを全く見せていなかった。
こえ
すち
こえ
頑張れるかと言う問いかけに、らん は小さく頷いた。
らん の大丈夫を信用してはいけなかったのに、無理矢理に頑張らせていたのは なつ だ。
不意にバタンと扉が開いた。
れる
こえ
れる
こえ
れる
こえ
こえ
れる
こえ
こえ
そうなってしまっていると言う事は無理をさせていると言う事。
なつ
こえ
なつ
問いかけに、こえ は驚いた様に目を見開いた。
星総合病院はかなりの広さがある。看護師や医師それから患者の数も多く、すれ違う人たちは らん をチラリと見るだけで声を掛けて来る事も無い。
やがて人の全く居ないエリアへと来てしまっていた。
らん
らん
面会の時間が終わって兄弟は帰って行った。
そうなると寂しさが胸の内で大きくなって、狐のぬいぐるみを抱きしめて一緒に病院内を徘徊する。
寂しいから、苦しいから、なつ がくれた狐のぬいぐるみを、なつ に見立てて話かけながら。
声が返って来ることはないけれど、それでも なつ だと思うと安心が出来た。
トタトタと足音を立てて大きな窓に近付く。
そうっと見下ろせばかなり高い場所に居るらしく足が竦んだ。
ペタリと座り込んで なつ を抱きしめる。
らん
直ぐに病室に戻れる様に、心配を掛けない様に、怒られてしまわない様に、迷惑を掛けない様に、重荷にならない様に、いつもは病室の近くだけ徘徊する様にしていた。
でも、今日は寂しさが、苦しみが、辛さが、強かったんだろうか…。
いつの間にか知らない所まで来てしまっていた。
らん
上に。
上へ、上へ向かえば屋上に出られるだろう。
そこから、降りたら……気持ちの良い風に乗れるだろうか。
?
らん
不意に声が聞こえて来て振り返ろうとした瞬間、背後から抱きしめられた。
らん
らん
なつ
らん
らん
ぎゅう、と抱きしめていた なつ を、なつ に見せる。
なつ
なつ
らん
なつ
なつ
なつ
なつ
ぎゅう、と少しだけ痛いくらいに抱きしめられて、ポタリと涙が零れる。
らん
らん
らん
なつ
らん
なつ
なつ
なつ
らん
らん
なつ
なつ
どうして、そこまで らん の本音を重要視するのかが分からない。
だって、今まで らん の感情を優先された事なんて一度も無かった。
母には必要とされてこなかった。
なつ
なつ
なつ
涙が際限なく溢れて来る。
良いのだろうか…?
頼っても、我儘を言っても、甘えても。
手を伸ばして なつ の服を掴む。
らん
らん
らん
なつ
なつ
振り向きたくてモゾモゾしていれば気付いて抱きしめる腕の力を弱めてくれた。
だからクルリと なつ に向き直って狐のぬいぐるみではない本物の なつ を抱きしめる。
泣きじゃくる らん を抱きしめて頭を撫でる。
無理しているか無理していないかは判断基準を見極めるとして一先ずは暫く側を離れない方が良いだろうと考える。
なつ
なつ
らん
なつ
らん
なつ
なつ
なつ
らん
小指を絡めて約束をする。
一人で立つ事すらままない らん を一人きりにすべきでは無かった。
今更後悔した所で遅いけれど、それはこれから正していけば良い。
なつ
なつ と らん の間に居た狐のぬいぐるみを掴んでそう声を掛ける。
らん
なつ
なつ
なつ
らん
なつ
らん
らん
らん
らん
なつ
らん
なつ
嬉しそうに柔く微笑んだ らん の表情。
その表情を守りたい。
こえ
そろそろ病室に戻ろうと二人で立ち上がった時に、こえ が走って来た。
病院内で医者が走っている構図って良いんだろうか……そう考えていれば、らん がぎゅうと なつ の手を掴む力を強くした。
なつ
らん
コクリ、頷いて近くまで来た こえ に謝罪を一つ。
無事で良かったよ、と こえ は微笑んだ。