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コメント
7件
うわぁwなんかじわじわと来るーw
一気読みさせていただきました!なんか読んでいくうちにゾクゾクしてドキドキしてちょっと恐怖も覚えてしまったけどそれでもめっちゃ面白くて取り敢えず凄く面白かったです!
終わっちゃったー 面白かったです!
春の光が、教室に差し込んでいる。
窓の外では、桜が少しずつ咲き始めていた。
まるで、何もかもが穏やかな日常の中にあるように。
けれど、私はもうその景色を"きれい"だと感じられなかった。
感情はもう、とうに置き去りにしてきたから。
赤 。
赤くんがそう言う。
私はそれに、笑って頷く。
誰よりも自然に。誰よりも嘘のないように。
橙 。
橙 。
その瞬間、彼の目が微かに揺れた。
そして、嬉しそうに、けれどどこか悲しげに笑った。
赤 。
赤 。
その言葉に私は、なぜか救われた気がした。
放課後、誰もいない図書室。
本棚の影で、私は彼の隣に座っていた。
静かな時間。心地よい沈黙。
何も考えなくていい場所。
赤 。
彼が聞いた。
私は少し考えて、それから笑った。
橙 。
橙 。
壊れた心のまま、それでも彼に愛されているという感覚だけが、わたしを生かしていた。
自分がどこまで本物かなんて、もうどうでもいい。
私は、愛されている。 それで十分だった。
赤 。
橙 。
橙 。
それは、誰かから見れば歪んだ結末だったかもしれない。
けれど、私にとってはこれが最善だった。
橙 。
橙 。
赤 。
赤 。
そう言って彼が微笑む。
私も微笑み返す。
壊れて、愛されて、閉じ込められて_ようやく、私は私になれた。
そしてこの恋は、終わらずに、ずっと続いていく。
この檻の中で、彼の腕の中で。
永遠に。
[ 完 ]