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LINE354

1 - あ

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2023年03月13日

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ケン

おい!勝手に新居に入ってんじゃねーよ!

ケン

まだ引っ越しも終わってないのに何してんだ!?

シュリ

え、なに…?

シュリ

仕事中なのにこんな連絡してきて…

シュリ

家の引き渡し自体は昨日で完了したじゃないの

ケン

だからって、勝手に入っていいってわけじゃねえんだぞ!

ケン

俺の許可なしで入っていいと思ってんのか!?

シュリ

だって…私たちのマイホームでしょ?

シュリ

引っ越しの準備もしないといけないから、新居に入るのは普通でしょ?

ケン

ダメに決まってるだろ!

ケン

そもそも俺の名義でローンを組んで買った家なんだ!

ケン

俺の許可なしに家に入るなんて、不法侵入だぞ!

シュリ

あなたの言っている意味がまるで分からないわ…

ケン

は?

シュリ

あなたと結婚してから、二人で住む一軒家が欲しいって言ってたじゃない

シュリ

やっと住むことができるのに、何でそうやって阻もうとするわけ?

ケン

お前は俺が買った家に、何の感謝もなく入るつもりか?

シュリ

え?

ケン

給料の少ないお前に、ローンなんて組む余裕はないだろ

ケン

だからすべての金を工面してやってんだ

ケン

ズカズカと俺の買った家に押し入るのは、お門違いじゃないのか?

シュリ

別に無理しなくても、共同名義でローン審査しても良かったんじゃない?

シュリ

そうすれば、あなただけに負担をかけなくて済んだのよ

ケン

お前と共同名義だと!?

ケン

舐めたこと言ってんじゃねえぞ!

ケン

まるで俺の収入が少なくて、審査に通らなかったみたいじゃねえか!

シュリ

別にそういう意味で言ったんじゃないんだけど…

シュリ

私にだってある程度の収入があるから問題はないんだけどね

ケン

お前は何一つ金を出してないじゃねえか?

ケン

家具だって俺の金から全部出して搬入してやってんだ

ケン

金のねぇお前が、ごちゃごちゃと指図してんじゃねえぞ!

シュリ

別に家電や家具を全部一新する必要はなかったんじゃない?

シュリ

今のマンションにあるものを使えばいいことでしょ!

ケン

おまえは常識っていうものを知らないのか!?

ケン

新しい家には新しいものを使うってのが当たり前だろ

ケン

お前みたいな貧乏性の考えを押し付けんじゃねえよ!

シュリ

言っておくけど家計のやりくりをしているのはこの私よ?

シュリ

あなたのほうが収入が多いけど、全く家にお金を入れないじゃないの

シュリ

私の稼ぎから何とか生活費をやりくりしてるの知ってるでしょ?

ケン

それが何だってんだ!?

ケン

夫婦で豊かな暮らしができるように、俺は地道に資金を作っているんだ

シュリ

何が資金よ!

シュリ

資金を増やしに行くって言って

シュリ

あなたはギャンブルに明け暮れているだけじゃないの

シュリ

良いように言わないでよ!

ケン

理解力のないお前には分かんないだろから言っておくわ

ケン

俺は自分の稼いだ金から資金を作っているんだ

ケン

お前も裕福な暮らしができたら文句はねえだろ!?

シュリ

だから早く新居に引っ越しましょうよ!

シュリ

二人の念願のマイホームなんだから

シュリ

私はそれ以上の裕福は望んでないわ

ケン

まったく図々しい女だ

ケン

とにかくだ!

ケン

俺の許可がないと新居に行くこともできないからな

ケン

覚えとけよ!

シュリ

ちょっと!私の話を聞いてよ!

シュリ

あなたってば!

~その夜~

ジョウ

マイホーム購入おめでとう、シュリ

シュリ

あ、お兄ちゃん

シュリ

ありがとうね

ジョウ

マイホームなんてほんとに羨ましいなあ

ジョウ

俺なんかまだアパート暮らしだもんね

シュリ

もともと夫婦二人の夢だったからね

シュリ

まあ、今となってはその夢も薄れ始めたんだけどね

ジョウ

何かあったのか?

シュリ

ケンが新居への引っ越しを渋っているのよ

ジョウ

え、どういうことなんだ?

ジョウ

家のあたりを通るから、てっきりもう住んでるのかと…

シュリ

なんかさ、自分一人が買った家だから入るのに許可がいるんだって

シュリ

ケンに一方的に言われたから、どうしようもないんだけど

シュリ

おかげで私は未だにアパート暮らしよ

ジョウ

それはひどい話だな

シュリ

でしょ!!

シュリ

私は彼の言いなりだから聞くしかないんだけどね

ジョウ

ちょっと気になることがあるんだが

ジョウ

シュリは本当に一緒に住んでないんだな

シュリ

うん、そうだけど…

シュリ

ケンだけが先に住んでいると思う

ジョウ

実はな…あの新居に住んでいるのはケンさんだけじゃなさそうだ

シュリ

え?

シュリ

どういうこと?

ジョウ

ちょっと話したいことがあるんだが

ジョウ

今からシュリのアパートに行ってもいいか?

シュリ

大丈夫だけど

ジョウ

じゃあ、待っててくれよな

シュリ

うん、待ってるねお兄ちゃん

~1週間後~

ケン

おーい、一人元気にやってるかあ?

ケン

お前が居ないのが当たり前になって、連絡するの忘れてたわ~

シュリ

ずいぶんと悠々自適な生活を送っているようね

ケン

当たり前だ!

ケン

お前に入居を待ったをかけるのは、この生活を楽しむためのものだからな

シュリ

ほんと自分勝手ね

シュリ

そんなに一人がいい?

ケン

当たり前じゃねえか!

ケン

ずっと死ぬまでお前と一緒とか、耐えられるわけないだろ?

ケン

だからこうやって、一人の時間を楽しんでいるんだぜ!

シュリ

何が夢のマイホームよ

シュリ

マイホーム計画に同調してくれたから、私も嬉しかったのに

シュリ

なのに一人の時間がいいとか、何のための夫婦か分かんないじゃん

ケン

なに言ってんだよ、気持ち悪い

ケン

いずれお前も住まわせてやるって言ってるだろ?

ケン

お前も全く図々しい女だなあ

シュリ

じゃあそれはいつなのよ!?

ケン

そうだな…来年ってとこかw

シュリ

え?

シュリ

何の冗談言ってんの?

ケン

俺はいたって真面目だぜ?

ケン

この一人の時間をもう少し楽しみたいからな

シュリ

私はどうなるのよ!

シュリ

引っ越しもできないまま、このアパートに一人ぼっちってこと?

ケン

そんなの知ったこっちゃねえ

ケン

俺の気が済むまで楽しんだら、連絡してやるさ

ケン

いつになるか分からないけどなw

シュリ

ちょっといい加減にしてよ!

シュリ

普通に考えておかしいと思わないの!?

シュリ

まるで別居状態じゃないの

ケン

だから何なんだよ!

ケン

別に俺がそれでいいと思ってんだから、いいじゃねえか

ケン

それともなんだ?

ケン

俺にいつか捨てられるんじゃねえかと怯えてんのか?

シュリ

誰がそんなこと思うもんですか!

ケン

強がってんじゃねえぞ!

ケン

俺が居ないと、金も稼げねえし何もできないくせに

シュリ

今も実際、居ないようなもんじゃないの!

ケン

うるせえ!

ケン

とにかくだ、俺の命令に逆らうようなマネは許さないからな

ケン

さもないとお前の居場所は永遠になくなっちまうぜ

シュリ

もう新居なんてどうでもいいわ

シュリ

そっちこそ自分の居場所を守ったほうがいいかもね

~1週間後~

ケン

シュリ、何なんだよコレは!?

ケン

まだ誰も引っ越ししていいって許可してねえぞ

シュリ

別に誰も引っ越しするなんて言ってないわよ

ケン

じゃあ新居の玄関にある、この山のような荷物は一体何なんだよ!?

シュリ

すべてアパートにあった、あなたの私物よ

ケン

へ?

シュリ

もうアパートのほうは解約したから

シュリ

あなたの私物はどうしようもないから、親切に送ってあげたのよ

ケン

おまえ、俺が再三言ってんのに分からねえのか!?

シュリ

何のコト?

ケン

まだ新居には入居させねえってことだ!

ケン

俺の命令がないと入れないって何度も言ってるだろ!?

ケン

アパートを出てきても、家には入れるわけないし、生活できないぞ!

シュリ

大丈夫よ、新居には二度と入らないから

ケン

じゃあ、どこに住むんだよ?

ケン

どっかの公園にでも住む気か?

ケン

可愛そうだから、段ボールの家でも建ててやろうか?w

シュリ

あなたみたいなバカな考えはないからね

ケン

何だと!?

ケン

調子に乗るのも大概にしろよ!

ケン

俺に逆らうと、家族も住む場所も失うんだぞ!

シュリ

家族を捨てたのはあなたのほうじゃないの

シュリ

新居に浮気相手を連れ込んで、一緒に住んでいるくせに

ケン

へ?

シュリ

私が知らないとでも思ってた?

シュリ

あなたのやっていることは全てお見通しなのよ

ケン

何を証拠にそんなこと言ってんだ!?

ケン

せっかく買ったマイホームで浮気なんてするわけないだろ!

シュリ

さあどうだか…

シュリ

どうあがこうが証拠はバッチリと押さえているからね

ケン

お前はウチには近づけないはずだ

ケン

スマホのGPSでお互いの場所は把握できるからな

シュリ

そんなの分かってるわよ

シュリ

あなたはそれを逆手にとって、新居で浮気を働いたんだから

ケン

だから証拠を出せよ!

シュリ

最近、太陽光事業のセールスが自宅に来なかった?

ケン

…何で…知ってんだよ?

シュリ

実はね、その訪問してきたセールスマン正体は私の兄なの

シュリ

もちろん、本物の太陽光事業のセールスマンよ

ケン

お前のお兄さんって、あんな風貌だったか?

シュリ

仕事中はいっつも眼鏡姿のインテリビジネスマンなのよ

シュリ

あなたが私の兄だと気づかないのも無理はないわ

ケン

お兄さんは全て俺のことを見破って…

シュリ

そうね、兄は私が新居に住んでないこと

シュリ

そして新居にケンと他の誰かが住んでいることに気づいてくれた

シュリ

新居のあたりが営業エリアだから、いつも気になっていたみたい

ケン

ウソだろ…

シュリ

新居にセールスに言った時に、あなたと浮気相手で対応したそうね

シュリ

同棲してるとか結婚予定とか、兄に自慢したと聞いているわ

ケン

俺は知らねえ…

ケン

そもそもお前の兄貴の聞き間違いじゃねえのか?

ケン

そもそも、それだけで浮気と決めつけるのは無理じゃねえか?

シュリ

何週間も浮気相手と一緒に住んでいて、よくはぐらかせるわね

ケン

実質、兄貴が見たって言うのは、その1日だけじゃねえか

ケン

それに玄関先で話しただけで何が分かるんだよ

シュリ

その家に出入りしていた、他の業者とも兄は繋がりがあるのよ

シュリ

実際に作業員がエアコンの取り付け作業中に、

シュリ

浮気相手とバスルームにいたとか…

ケン

ちょ…何でそこまで

シュリ

あなたも意外と大胆なこともするのね

シュリ

おかげであなたに離婚を申し立てるだけの証拠はそろった

シュリ

ほんとに兄とその仲間の業者さんたちには感謝だわ~

ケン

何をする気だよ!?

ケン

俺は離婚なんてしないぞ!

ケン

それだけ証拠を出されても、俺は浮気だと認めないからな

シュリ

認めさせてあげるわよ

シュリ

今すぐにね!

ケン

え、なんか誰かが家の門を…

ケン

あっ!お前いつの間に新居の前に来たんだ

シュリ

ちゃんと私の位置情報は見ておかないといけないわね

シュリ

じゃあ、お邪魔しますね

シュリ

2人まとめてこっぴどく締めてやるから、覚悟しなさい!

ケン

待てよ!

ケン

彼女とは別れるからさ~

ケン

今日からおまえも新居に住んでいいぞ!

シュリ

冗談も大概にして!

シュリ

もうこの家には住まない、あなたともサヨナラね

ケン

ふざけんなよ!

ケン

まだローンも払い始めなんだよ!

シュリ

自分一人で組んだローンなんだから、どうにかしなさい

ケン

そんな、この家っを売ったら住む場所がねえじゃねえか

シュリ

そんなのこっちの知ったことじゃないわよ!

シュリ

取り敢えずみんなで話し合いましょ?

ケン

ちょっと来ないでくれよ…

ケン

シュリってばー!!

~後日談~

シュリ

ケンは浮気相手と一緒にいたところを、現行犯で確保、

シュリ

兄の協力の元、浮気旦那とその相手を捕まえることができました。

シュリ

どうやらその浮気相手が、旦那の会社の子だというので問い合わせたら、

シュリ

まさかの二人そろっての二週間の無断欠勤!

シュリ

二人とも懲戒解雇という結果になってしまいました。

シュリ

更には離婚が成立し、旦那と浮気相手に慰謝料を請求

シュリ

せっかく購入した新居も売り払い、浮気相手とは別れたようです。

シュリ

慰謝料も一括で支払った挙句、ケンは全ての財産を失い、

シュリ

知らない土地で汗水流して働いているようです。

シュリ

私は夢のマイホームこそ叶いませんでしたが、

シュリ

古民家の空き家に引っ越し、パートをやめ、カフェを開業して働いています。

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