葛葉
何度も転生した叶に出会って、救おうとして、
救えなくて、自己嫌悪になって。
救えなくて、自己嫌悪になって。
葛葉
もう、疲れてしまった。
葛葉
仲を深めても深めても、転生後には叶は何も覚えてない。
俺の事を覚えていない叶を見るのは酷く辛かった。
俺の事を覚えていない叶を見るのは酷く辛かった。
葛葉
…もう、こんな事したくない。
葛葉
やめてしまおう。
ー現代ー
葛葉
「なぁ、叶。」
叶
「なぁに、葛葉?」
葛葉
「俺、なんかやめたくなっちゃった。」
葛葉
「人生。」
叶
「急にどしたん、そんな事言ってさ。」
葛葉
「いや、なんか、疲れたんだよ。」
叶
「だから、何に疲れたのさ。
ホントにどしたの、病んだ?」
ホントにどしたの、病んだ?」
葛葉
そうだよな。叶は前世の事なんてなんにも覚えてない。
変に思われて当然だ。
変に思われて当然だ。
叶
「もしかして、僕を助けるのに疲れちゃった?」
葛葉
「…へ?」
葛葉
(叶が前世の事を覚えてる?!)
葛葉
「なんで、覚えてるんだよ。」
叶
「なんでか分かんないけど、生まれた時から知ってたんだよね~。
葛葉が僕を助けようと頑張ってくれてた事、今まで気づかなくてごめんね。」
葛葉が僕を助けようと頑張ってくれてた事、今まで気づかなくてごめんね。」
葛葉
「いや、それは仕方ないだろ…。
まさか前世の記憶があるなんて。」
まさか前世の記憶があるなんて。」
叶
「葛葉はもうやめたい?」
葛葉
「…やめたい。
もう叶が死ぬのを見たくないってのもそうだけど、
俺の事を何も覚えてない叶を見るのはもっと辛い。」
もう叶が死ぬのを見たくないってのもそうだけど、
俺の事を何も覚えてない叶を見るのはもっと辛い。」
叶
「そっか、葛葉は何回も見てきたんだもんね。」
叶
「僕も、葛葉がこれ以上苦しむなら、
やめてもいいと思ってるよ。」
やめてもいいと思ってるよ。」
葛葉
「それ本気?」
叶
「うん。二人なら死んでも怖くないでしょ?」
葛葉
あぁ、叶はどこまでも俺の事を思ってくれてるんだな。
そして、自分も叶の事が好きだなと実感した。
そして、自分も叶の事が好きだなと実感した。
葛葉
「じゃあ、二人で死ぬか!」
叶
「うん。二人共これで幸せだね。」
ー何処かの海ー
葛葉
「溺死ってありきたりだったかな?」
叶
「まぁいいんじゃない?二人きりで静かな海に沈んでいくって、
雰囲気あって僕は好きだよ。」
雰囲気あって僕は好きだよ。」
葛葉
「そっか。」
叶
「これから海に入るけど、死んでも僕ら一緒にいられるよね?」
葛葉
「そりゃそうだろ、その為に死ぬんだから。」
叶
「ははっ、そうだった。」
葛葉
「忘れんなよw」
葛葉
あぁ、こうやって笑ってる時がやっぱり一番だな。
そう思いながら俺は叶の手を取った。
そう思いながら俺は叶の手を取った。
葛葉
「じゃ、行くか。」
叶
「そーだね、行こっか。
…ねぇ葛葉。」
…ねぇ葛葉。」
葛葉
「ん?」
叶
「愛してる。」
葛葉
「…うわぁ、そんなん泣くじゃんか。」
葛葉
「うっ…。」
叶
「ははっ、泣かないの!
ほら、涙拭いて。」
ほら、涙拭いて。」
葛葉
「…叶。」
叶
「うん。」
葛葉
「俺も愛してる。」
叶
「知ってる。」
葛葉
「ははっ。」
葛葉
そして俺達は海に身を投げた。
葛葉
…なぁ叶。
葛葉
ユーフォリアって言葉あるじゃん。
俺らが歌ったGeminidsにも出てきたやつ。
俺らが歌ったGeminidsにも出てきたやつ。
葛葉
ユーフォリアって、
“幸福感”っていう意味らしいんだけど、その他にも
“幸福感”っていう意味らしいんだけど、その他にも
葛葉
“心酔”って意味があるらしいぜ。
葛葉
俺、何百年も叶を救おうと必死だったけどさ、
きっと叶が好きすぎたんだな。それこそ心酔してた気がする。
きっと叶が好きすぎたんだな。それこそ心酔してた気がする。
葛葉
でも、俺は叶に出会えてめちゃくちゃ幸せだった。
葛葉
ありがとう。