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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

〜魔術騎士学園〜 教室

魔術科教師

__。

魔術科教師

これが浮遊魔法のやり方よ。

魔術科教師

それじゃあジェイダさん。試しにやってみて。

ジェイダ

はい。

席を立ち、教卓の前へ来るジェイダ。

教卓には浮かせるための小さな本が置かれ、生徒たちは面白い物を見るかのようにニヤニヤしてジェイダを観察する。

ジェイダ

……。

ジェイダは杖を振って本を浮かせようとしてみた。

_が、何も動く感覚はない。

魔術科教師

やっぱりジェイダさんには難しかったかしら?

ジェイダ

待ってください!もう一度やらせてください…!

もう一度、杖を振ってみる。

ジェイダ

……!

ジェイダ

(浮いた…浮いたぞ……!)

ふわふわと浮いている本から微かに風を感じ、ジェイダは顔を明るくした。

しかし、喜びも束の間。

ジェイダ

待てよ。なんで勝手に動いて……

本はジェイダの意思とは逆に、彼女の額に勢いよく突進した。

ジェイダ

イ"ッデェ!

ジェイダ

な、なんだ……?

女子生徒A

ごめんなさい先生!今の浮遊魔法をやったのは私なんです!

女子生徒A

ジェイダさんがいつまでも出来ないからもどかしくなってつい……

魔術科教師

もう、しょうがないわね……。

魔術科教師

でもありがとう。

魔術科教師

ジェイダさんの代わりにやってくれて。見本が見れたわ。

魔術科教師

ジェイダさん、今の浮遊魔法はあの子がやってくれたのよ。貴方はまだまだ頑張りなさい。

ジェイダ

はい……。

クスクスと含み笑いが響く。

女子生徒B

可哀想ね、魔力無しって。

女子生徒C

先生もわざとだよね。ジェイダに魔力が無いって分かってるのに……。

ジェイダ

……クソが。

〜学園〜 中庭

剣術の訓練、皆が熱心に取り組んでいるようでそこら中から剣を振る音やぶつかる音が響いている。

ジェイダは相手の剣を振る音や風頼りにしてディフェンスする。

ジェイダ

ハッ……!

ジェイダが腕を突き上げると相手の手から剣が離れて剣はカラン、と音を立てて落ちた。

男子生徒A

グッ……!

ジェイダ

対戦ありがとうな。

ジェイダは男子生徒にぺこりと頭を下げ去っていった。

男子生徒A

畜生…女の癖にしゃしゃりやがって…

男子生徒B

女は魔術でもやってろよ。あ、でもアイツ魔力無いんだった。

男子生徒C

だから現実逃避するように剣術科まで掛け持ちしてるんだな。ダッセェ。

ジャスティカ

お前らなぁ……

ジャスティカ

文句あんならアイツに勝ってからにしろよな!負け惜しみにしか聞こえねえぞ?

男子生徒B

げっ…ジャスティカ……

男子生徒A

わ、分かったよ。伯爵家の一人息子の仰せのままに……。

ジャスティカ

その呼び方は辞めろと言っただろ。
でもお前の剣の振り方は良かったぞ!

そう言い残してジャスティカはジェイダの元へ走った。

ジャスティカ

ジェイダ先輩!

ジェイダ

ジャスティカ!
どうしたんだ?

ジャスティカ

さっきの先輩かっこよかったっス!

ジェイダ

それでもお前には構わねえよ。
ま、ありがとな。

ジャスティカ

…あんな奴ら、気にしなくて良いですから。

ジャスティカ

アイツら、ジェイダ先輩を僻んでるだけですからね!

ジェイダ

僻み……かぁ。

ジャスティカ

オレは今のジェイダ先輩が好きッスよ!

ジェイダ

ありがとな、ジャスティカ。

ジェイダ

……ッ!?

突然物凄い殺気を感じた。

ジェイダは振り向くことさえ怖かったが、なんだかこれ以上ここにいてはいない気がした。

ジェイダ

悪い、私そろそろ戻る…。

ジャスティカ

アッ…先輩!?

逃げるようにジェイダは訓練場から立ち去った。

ジェイダ

(最近ジャスティカと居ると視線を感じるんだよなぁ…)

〜学園〜 渡り廊下

女子生徒A

見てあの子、変な白髪…。

女子生徒B

2年のジェイダ・シュヴァリエよね。

女子生徒B

真っ白な髪に真っ赤な目…悪魔なんじゃないの?

女子生徒C

悪魔がなんで学園なんかに通ってんのよ。邪悪が移るわ。

女子生徒B

彼女は学園長の養子だもの。後ろ盾があるのよ。

男子生徒A

その割には俺たちはアイツに何しても学園長からは何も言われないけど?

男子生徒C

学園長は自由奔放主義だからな。俺たちの好きにやらせてくれてんだ。

女子生徒A

学園長も愛想尽きてるんじゃないかしら?あの異端児に。

ジェイダ

……。

【私には三つ"異端な箇所"がある。】

【一つ目は魔力が皆無だということ。】

【女性であれば誰しも魔力は持っているはず_】

【が、私には魔力が少しもなかった。】

ジェイダ

(おかげで魔術科じゃ笑い物だぞ。)

【二つ目は女性なのに剣を振っていること。】

【男は剣術、女は魔術というのは常識だ。】

【男性は身体能力が高く、女性は魔力を多く持っているからこんな風潮が生まれた。】

【魔術を使えない私はその穴を剣術で埋めるしかない。】

【気に入られないというのは承知済みだ。】

ジェイダ

(でもジャスティカが言っていた"僻み"はあながち間違いでもねえよな。)

ジェイダ

(私がアイツらに負けっぱなしだったら憎まれ口は叩かれなかっただろうし。)

ジェイダ

(笑われたとは思うが。)

【三つ目は真っ白な髪と赤い瞳だということ。】

【かつて世界を脅かした悪い魔族、通称悪魔が白髪赤目だったことから忌み嫌われている。】

【道行く度に軽蔑の視線を送られることはもう慣れてる。】

ジェイダ

(髪や目の色素が薄くなる病ってもんはあるが、それとは多分違うはずだ。)

【魔力を持たず剣術に励む白髪赤目の女_。】

【こんな異端児はすぐに拘束すべきだろうけど、私はそれを免れた。】

【心優しい学園長が私を保護してくれたから。】

【私を我が子のように育ててくれた母であり師匠であった魔女が亡くなって孤児になった私を助けてくれたのはこの学園だった。】

【学園長の恩に報いるために最大限の努力をしたい。】

【いつか魔力を発現させて、文句なしの剣術家になって】

【学園長に自慢の生徒だと思われるようになりたい。】

【きっと、"プリエ様"もそれを望んでるから_。】

数日後… 教室

ジェイダ

(なんだか騒がしいな…)

【今日はやけに朝から騒がしい。】

女子生徒A

ここのクラスに編入生が来るんですって!

女子生徒B

確か男の子よ、種族はエルフで魔術科だけと聞いたわ。

男子生徒A

魔術だけかよ。そいつは剣も振れないのか?

女子生徒C

でも凄くない?男性で魔力を持ってる人は珍しいみたいだし。

男子生徒B

それはそうだけどさぁ……

ジェイダ

(なんだ、編入生が来るのか……)

(そういえば私と同じプリエ様の弟子も魔術専門のエルフの男だったな。)

ジェイダ

(ま、そんな偶然あるわけないか。)

担任

はいみんな静かに。

担任

聞いているとは思うが編入生がやってくる。

担任

それでは入ってどうぞ。

視界が明るすぎてジェイダにはよく見えなかったが、とんがり帽子を被った黒いウルフロングヘアーの男性が教室に入ってきた。

エルニ

初めまして。

エルニ

アタシはエルネスト・ソルシェール。まだわからない事だらけだけど仲良くして頂戴ね。

ジェイダ

!!

ジェイダ

エル……?

エルネスト・ソルシェールという名前、女性らしい言葉遣い、そして黒い髪……

ジェイダは確信した。

編入生が生き別れた弟子仲間だということ_。

異端な騎士と遡行魔導士(仮)

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