主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 花魁パロ
主
主
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epilogue
窓の外は、朝から降り続く小雨のせいで薄暗かった。
灰色の雲が校舎を覆い、しとしとと雨粒がガラスを叩いている。
湿気を帯びた空気の中で、教室の蛍光灯だけが白々と輝いていた。
歴史の教師の声が、何気ない日常の一コマとして響く。
教室の空気は緩んでいて、ノートを取る者もいれば、机に突っ伏す者もいる。
だが六人だけは、姿勢を正したまま、どこか張りつめたように黒板を見つめていた。
チョークが黒板に白く走る。
吉原――。
その言葉に、六人の心臓が同時に跳ねる。
ペン先が止まり、教科書の活字が視界からぼやける。
つい昨日まで、自分たちが息を呑みながら走り抜けた街並みが、鮮やかに甦ってしまう。
教師は黒板に振り返りながら、軽く眼鏡を押し上げた。
静まり返る教室。
何人かが小声で相談するように呟くが、手を挙げる者はいない。
いるま
次の瞬間、ひとりの手がゆっくりと上がった。
教師が目を細める。
机に座るいるまは、何の迷いもなく口を開いた。
いるま
教師がにっこりと笑い、クラスに拍手を促す。
ぱらぱらと拍手が起こり、いるまは苦笑いを浮かべて頭をかいた。
いるま
声がかすかに震える。
前の席でノートを取っていたなつが、小さく頬杖をつきながらいるまを横目で見た。
視線が交わる。
なつ
何も言葉にはしない。
ただ、その一瞬の目配せだけで十分だった。
なつ
すち
教室のざわめきの中、すちが肩を震わせて笑いをこらえ、こさめが静かに唇を結ぶ。
らんは少しだけ窓の外を見て、雨空に赤い炎の残像を思い浮かべた。
みことは胸ポケットを押さえ、そこにまだ鏡の冷たい感触が残っているような錯覚を覚えていた。
授業は淡々と進んでいく。
板書される文字は、単なる歴史の事実として語られていく。
けれど六人にとって、それは教科書の中の話ではなかった。
自分たちが汗と煤にまみれ、泣き叫ぶ声を聞き、あの夜に駆け抜けた現実だった。
らん
誰も声に出さない。
けれど、六人の心は同じ記憶を抱えていた。
チャイムが鳴り、授業が終わる。
周囲の生徒たちは軽口を叩き合い、次の教科書を鞄から引っ張り出している。
雨脚はさらに強まり、窓ガラスを叩く音が教室を満たした。
その中で、六人は自然と目を合わせた。
笑ってはいない。
泣いてもいない。
ただ、互いに確かめ合うように視線を交わす。
――あの夜の炎を、忘れない。
――俺たちは確かに、あの遊郭にいた。
そして、六人で一緒に帰ってきた。
雨の午後、教室にはいつもと変わらぬ日常が流れていた。
だが六人の胸の奥には、永遠に消えない紅の記憶が刻まれている。
それは、彼らだけが知る秘密だった。
吉原焔華録・fin
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コメント
5件
コメント失礼します!! コメントしているアカウントとは別のアカウントでずっと見させて頂きました!ほんとに最高でした!歴史の勉強にもなって、なんか頭良くなった気がします!(?) 歴史を参考に書くとかほんと天才すぎます!! サムネにも伏線を残していて、ほんとに尊敬します! 次の作品も楽しみにしてます!
書いてくださりありがとうございます!!!! とても面白くて毎回次のやつが出るのを楽しみにしてました! ありがとうございます! 新作も楽しみにしてます!