｢Insanity｣

3話－狂人－

いつも通り

シエルやニブ達の世話をしていた

シエルが来て3日

そう言ってシエルを指さした

何も言えないまま

シエルが試合に出される事になった

動物達と遊んでいたシエルが

俺に声をかける

ポケットに手を突っ込んだまま

檻の中へ歩くシエル

体格差は2倍以上ある2号に

全く動じない

そもそも新入りに

初っ端こんな相手と殺らせるのはおかしい

2号に300万！

2号に500万！

俺も2号！1000万だ！！

誰があんなガキに入れんだよ

絶対負けるに決まってる

…絶対負ける…

…こんなの相手じゃ無理……

シエルの無表情な顔から不安感が滲む

ﾋﾞｰｰｰｯ！！

開始の合図が鳴る

ドカッ！！！！

檻の格子に強く頭を打ち付けたシエルは

意識が朦朧としているよう。

頭を抑えながら立ち上がると

また2号の攻撃が来る

ドカッ！！

ガンッ！！ガンッ！！

シエルの頭をつかみ檻の格子にぶつける

頭や鼻から血を流して

崩れ落ちて檻にもたれ掛かる。

俺の呼ぶ声にも反応しない

2号はシエルから1歩離れたところで煽る

やっぱり新入りの出る幕じゃない

つまんなー

まぁどうせ賭けた奴なんか居ねぇだろ

もう終わろーぜ。飽きたわ

そんな中シエルの指がぴくりと動く

シエルの乾いた笑い声が微かに聞こえた

シエルは怪我が治ったかのように

普通に立ち上がり、笑っている

目は赤く光って、2号を睨みつける。

そういった途端

血溜まりだけを残してシエルが消えた

2号の肩に乗っかり

両手を組んで振りかざし2号の頭を

思いっきり殴る。

後ろに体重をかけて2号を地面に叩き付けて

頭を踏んで押し付ける

力任せに起き上がった2号を

檻の格子に押付け、更に顔を殴る

そう言って顔面を思いっきり殴ると

2号からの大量の返り血を浴びる

綺麗な髪も、手の包帯も

全て真っ赤に染まる。

地面に崩れ落ちた2号を殴り続けるシエルに

観客や司会者は恐怖を覚える。

人の肉が殴られて

ぐしゃぐしゃになる音と

人が変わったようなシエルの怒号が

会場にひびき続ける

そう言って背中を押される。

床には殴られる光景を見て

気持ち悪くなったのか

人間のゲロが飛び散っていた

狂人だ、

あんなの人間じゃ…

ぅ"え…ｯ…

2号…ｯ……

…誰か、アイツ止めろよ…！

終了の合図がなっても

殴る音とシエルの狂気的な笑い声はやまない