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数日後

どうしても

行ってしまうの?

正太郎

できることなら

正太郎

お前を一人にしたくはないさ

正太郎

しかしやむを得ない

正太郎

用事だって起こりうるだろう?

あなたが沖縄に

いらっしゃるなら

私もご一緒します

ここでお留守番なんか

していませんわ

正太郎

来客があるかもしれんのだから

正太郎

仕方ないだろう?

もしも私に

一家を切り盛りする才覚が

ないのではとの懸念から

こんなことをお考えなら

どうかこれを機会に

試してみてくださいな

私にだって

重責が果たせるってことを

ご覧にいれますから

正太郎

そんなことは微塵も考えてないよ

正太郎

そうだ

正太郎

ひとつ言い忘れていたが

正太郎

留守中は

正太郎

悠真が家の様子を見に来て

正太郎

お前と食事を

正太郎

共にすることになっているんだ

それは本当ですの?

どうか思い直して

いただけません?

正太郎

どうしてだい?

夫が家を空けている間に

誰か他人が夫の食卓の

章席を占めるなど

褒められませんわ

正太郎

僕がお前なしでは

正太郎

生きていけないってことぐらい

正太郎

わかっているだろう?

...

正太郎

どうか夫のためと思って

正太郎

我慢してくれ

わかりました

仰るとおりにしますわ

正太郎

できるだけ早く戻るつもりだから

正太郎

そんなに不安がらないでおくれ

ええ

正太郎

しかし悠真には

正太郎

丁寧にもてなし

正太郎

私に対するのと

正太郎

同じ気持ちで接してくれ

そうしますわ

正太郎

それじゃあ行ってくるからね

正太郎

(ガチャッ)

翌日

もしも以前のように

お疲れのようでしたら

私に構わず

お休みになってくださいね

悠真

僕がですか?

悠真

休む気になんてなりません

そうでしたの?

悠真

あなたがその瞳を

悠真

開けていらっしゃる間は

悠真

眠たくありません

まぁ

どういう意味ですの?

悠真

それはつまり

悠真

あなたの黒い瞳に

悠真

僕は恋焦がれているのです

それは光栄ですわ

だけど

お疲れでしたら

正直に仰ってくださいね

悠真

そうですね

悠真

正直に言えば

悠真

あなたを愛しています

悠真

これが僕の心の全てです

...

そんなことを

仰ってしまっては

ここに居辛くなって

しまわれるのでは?

悠真

そのとおりですね

悠真

このままここに居ることは

悠真

拷問のようなものです

拷問ですって?

悠真

あなたの愛が

悠真

得られないのでは

悠真

という不安があるからです

お願いですから

あなたのためにも

私のためにも

ご気分を

お変えになってくださいな

悠真

僕だって

悠真

あなたのその美貌から

悠真

僕の心が取り戻せたら

悠真

それこそ願ってもない

悠真

幸せなんですが

悠真

それはできないことです

...

お加減が悪いようですのね

お帰りになったら?

どうかお願いですから

気を落ち着かせて下さいね

沖縄

取引相手

それでどうしたね?

取引相手

あの男には会ったかい?

正太郎

もちろんさ

正太郎

でもあの人は

正太郎

なかなか活動家らしいね

取引相手

そうだとも

正太郎

だけどその活動は

正太郎

どういう傾向のものなんだい?

取引相手

さぁね

取引相手

知っているのは

取引相手

口が達者な男だってことさ

正太郎

なんだいそれは

正太郎

ん?

正太郎

もう二時を回ってるじゃないか!

取引相手

おや本当だ

正太郎

これからまだ

正太郎

銀行は寄らなくちゃいけないんだ

取引相手

ギリギリじゃないか

正太郎

とにかく間違いなく

正太郎

食事にやって来てくれよ

取引相手

きっと行くよ

正太郎

それじゃ失礼するよ!

正太郎

ん?

正太郎

今度は

正太郎

妻からのメッセージだな

『世間ではよく、城主の居ない城は見るからに危ないと申しますが、まだうら若い人妻が、正当なやむをえない理由があるならともかく、そうでもないのに夫と一緒に居ないのは、もってのほかだと存じます』

『私も、あなたがいらっしゃらないのがひどく心細く、このままではお留守を守ることなどとてもできそうにありません』

『あなたが私の後見人ーーこういうお役目のおつもりなのでしょうがーーとしてお残しになった方は、あなたに関わることよりも、御自分のお望みを重視なされる方のように思われます。聡明なあなた様のことですから、これ以上申し上げる必要はなかろうと存じますし、また申し上げないほうがよろしいかとも存じます』

夕べには白骨となる

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