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XXX
これは〝 〟の願いを叶えるゲーム。 君は本音を隠して、嘘ばかり
XXX
——この役決めゲームのはじまりは〝あの日〟だった。
ましろ
私のロッカーに折り畳まれた紙が挟まっている。 おずおずとそれを抜き取って開いてみると、そこには—— 『放課後に音楽室に来てください。 九條泉』
ましろ
まさか彼から呼び出されるとは思っていなくて、私は思わず声を上げてしまった。 九條泉くんは文武両道で穏やかで優しい男子。……そして、私の憧れの人。 一年の頃は同じクラスでよく会話をしていたけれど、二年生になってからはクラスも離れたため、私は彼との接点を失ってしまっていた。 それに放課後って、今だよね? もしかしたら待たせてしまっているかもしれない。 私は胸が高鳴るのを感じながらも、慌てて音楽室へと駆け出した。
*** ……これはいったいどういう状況なんだろう。 音楽室には六つの椅子が黒板の近くにセッティングされている。その中で埋まっている席は五つ。
ましろ
声をかけようにも空気がピリピリとしている。 私が困っていることに気づいた様子の優しげな雰囲気の男子が歩み寄ってくると、ふわりと林檎のような甘い香りが漂う。
潤
ましろ
潤
栗色のサラサラの髪のこの男子は見かけたことがある。 だけどクラスも一緒になったことがなく、話したのも今が初めてなので名前はよく知らない。 他にも見かけたことがある男子はいるけれど、金髪でよく目立つ柏木くんって人くらいしか名前がわからない。 私はどうしようと、呼び出しが書かれた紙を持ったまま、立ち尽くす。 中を覗いても九條くんの姿はないし、廊下で待っていた方がいいかもしれない。 男の子は私の持った紙に気づくと、眉を寄せた。
潤
手紙を見ただけで九條くんからだということに気づいたようで、私は目を見開く。
潤
和葉
言葉を遮るように長身の金髪の男子が立ち上がった。——柏木くんだ。話したことはないけれど、こうして間近で見ると威圧感がある。
歩
柏木くんを薄茶色の髪の小柄な可愛らしい男子が必死に止めている。
和葉
気怠げで低めの声。目尻が下がっていて、優しげというよりも眠たげな印象だ。
和葉
歩と呼ばれた薄茶色の髪の小柄な可愛らしい男子が、眉間にシワを寄せながら柏木くんの腕を掴む。
歩
実里
武蔵
実里
歩
もしかしてここの人たち、みんな彼に呼び出されたの? つまり、私と同じでここに呼び出されたということだ。だけど、どうして九條くんは私たちをここへ集めたんだろう。 柏木くんが出て行こうとすると、音楽室のドアの前に誰かが立った。
泉
たった一言で部屋の中にいる彼らが一瞬にして黙った。 帰ろうとしていた柏木くんはため息を吐いてから、何故か席に戻る。
ましろ
一体なんのために呼ばれたのかと問おうとすると、九條くんに笑みを向けられた。
泉
詳細は座ってから話すようで、私は一番手前の席に座る。 先ほどまで騒がしかったのに、一気に静かになっていて違和感を覚えた。 他の人たちの様子を見てみると、五人の男子たちは顔を強張らせながら九條くんのことを見つめている。 ……なんでみんなそんなに硬い表情をしているんだろう。
泉
この学校で十二月に行われている冬祭は、ミニ学園祭のようなもので希望者の生徒たちがだけで催し物をする。 去年の私はクラスの子たちと一緒に映像部の映画を見たり、展示を回っていたけれど演劇は見なかった。というのも人気すぎて立ち見すらできない状況だったので、諦めたのだ。
泉
突然のことに耳を疑い茫然とする私の横で、男子たちが驚きの声を上げる。
歩
潤
実里
武蔵
和葉
そしてすぐに全員の視線が私に集まる。 な、なんで私のことをみんな見てくるんだろう。
和葉
泉
ましろ
泉
なんでそんな権利を?と言いかけて、言葉を飲み込んだ。 冬祭の主催は生徒会だ。九條くんは一年の頃から生徒会に所属していて、彼が次期生徒会長ではないかと聞いたことがある。
ましろ
泉
九條くんの有無を言わせぬ笑顔に、私は言い返す言葉が見つからずに唖然とする。
泉
さらに爆弾が投下されて、くらりと目眩がした。 王子候補って、なに……? どういうことなの? 話に全くついていけない!
歩
可愛らしい外見の薄茶色の髪の男子が声を荒げる。それに続くように、柏木くんが舌打ちをした。
和葉
武蔵
実里
潤
すると、九條くんは笑みを貼り付けたまま腕を組んだ。
泉
口調は優しげだけど、どこか冷たさを感じる声音に息をのむ。 九條くんいつもと少し違う……。
泉
ましろ
泉
九條くんは笑っているけれど、目は笑っていない。 けれど五人は先ほどとは違い、黙っている。 反論できない、してはいけない。そんな緊迫した空気が流れていた。
泉
場の空気が凍り付く。 つまり彼らは王子になれなければ、女装するってこと……? 言葉を失い、青ざめている王子候補たちを見て、責任の重大さを感じた。
泉