主
主
主
主
主
ザーザー
春千夜
急に降り出した土砂降りの雨に舌打ちをこぼしながら、三途はマイキーと共にアジトへと向かう足を速めた。雨は真っ赤な血に汚れた三途の身体を浄化するかのように、どんどん激しさを増していた。
マイキー
海のそばを通り過ぎようとしたとき、マイキーがふとそう言った。
春千夜
そう言って、三途が後ろを振り向くと、マイキーはある一点を指差し、そこをじっと見つめていた。
黒い点にしか見えないそれに興味を示したマイキーに、「俺が確かめてくるので、少し待っててください。」と一言言って、俺はソレに近づいていった。
黒い点のように見えていたものは、マイキーの言う通り、人だった。
人だと分かれば、もうコイツのことなど、どうだっていい。「やっぱり人でした。」そう伝えるため、マイキーのいた方を向くも、そこにマイキーの姿はなかった。
まさか、と思い、さきほど背を向けたばかりの男の方を向くと、そこにマイキーがいた。
春千夜
マイキー
武道
春千夜
一発殴ってやろうと掴んだソイツの腕は恐ろしいほど冷たかった。
春千夜
?
?
そう呟いたソイツはどこか遠くを見つめていた。
春千夜
春千夜
マイキー
?
マイキー
春千夜
?
マイキー
武道
マイキー
マイキー
そう言って、マイキーはソイツの手を取った
マイキー
武道
マイキー
武道
マイキー
ガチャ
武道
春千夜
武道
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
武道
武道
春千夜
武道
春千夜
武道
武道
武道
武道
武道
正直言うか、言うまいか迷った。
引かれた?軽蔑された?せっかくここに連れてきてくれたけど、追い出されちゃうかな…
春千夜
武道
武道
春千夜
春千夜
武道
武道
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
武道
初めてかけられたそんな優しい言葉は俺の心を暖かく包み込んだ。
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
武道
武道
武道
あの日から、三途くんは、毎日、俺の部屋に来て、目の見えない俺の身の回りのお世話をしてくれた。
春千夜
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
武道
武道
春千夜
武道
春千夜
武道
武道
武道
武道
武道
春千夜
武道
武道
いつものように、三途が武道の部屋にやって来ると、武道は机の前で何かを黙々と書いていた。
春千夜
武道
三途が、武道の手元を覗き込むと、子どもの落書きみたいなぐちゃぐちゃな線が紙の上に広がっていた。
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
武道
武道
武道
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
三途はペンを持つ武道の手を上から握り、1文字1文字丁寧に教えていった。
武道
春千夜
花垣と過ごす時間は俺にとってどんどん大きなものへと変わっていった。
花垣が来て1ヶ月経つ頃には、アイツのところへ通うのが毎日の習慣になっていた。
でも、その日はたまたま急な任務があって、アイツの所へ行けていなかった。
春千夜
部下A
部下B
春千夜
部下A
春千夜
部下B
部下A
部下A
部下B
部下A
春千夜
部下B
部下A
嫌な予感がした。 胸がやけにざわざわして、自分の呼吸が浅くなってるのを感じた。
春千夜
バンッ
春千夜
春千夜
春千夜
急いで、部屋中を探すも、花垣はどこにもいなかった。
春千夜
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
ッちげぇ、ちげぇんだよ…あいつは父親なんかじゃねぇ…ここを出たところで、花垣は幸せになれない……… このままじゃ、花垣が解体されちまう…花垣が人造人間だって知ってんのは俺だけだ、俺が花垣を、…
マイキー
春千夜
マイキー
マイキー
マイキー
春千夜
バンッ
マイキー
春千夜
春千夜
町外れの廃れた工場の跡地に花垣はいた。縄で、椅子に体を固定されていた花垣は、身動きがとれないようだった。
武道
武道
春千夜
武道
花垣の体を拘束する縄をほどこうとする俺に花垣はそう言った
春千夜
春千夜
春千夜
トンッ
武道
そう言って、花垣は俺を突き飛ばした…
そして次の瞬間、上に吊るされていたらしい大きな鉄球が花垣を勢いよく潰した。
春千夜
春千夜
まただ……俺はいつも遅い…ただ見ているだけで結局助けられねぇ
急いで駆け寄り、なんとか鉄球をどかしたものの、周りはネジや鉄の板など、いろんなものが散乱していて、どれが花垣だったものかなんて、全くわからなかった。
はっきりは聞こえなかったものの、あのとき、花垣は確かに笑顔でこう言った。
『ありがとう』
春千夜
春千夜
春千夜
もう聞こえている筈がないとわかっていても、叫ばずにはいられなかった。
春千夜
膝からその場に崩れ落ちた俺の視線の先で、白い紙のようなものが風に飛ばされるのが見えた。
春千夜
さんずくんへ
その言葉が目に入り、俺はすぐに袋を破って中から手紙を取り出した。
さんずくんへ やくそくまもれなくてごめんね。さんずくんとすごすじかんはとってもたのしくて、まいにち、さんずくんにあえるのがうれしかったです。 ひとつわがままがいえるなら、おれ、さんずくんともっといっしょにいきてみたかったなぁ… そういえば、さんずくんはじぶんのかおがきらいっていってたよね。さんずくんがどんなかおしてんのかおれにはぜんぜんわかんないけど、さんずくんがどんなみためだとしても、おれにとってさんずくんはさんずくんだよ。こんなおれでもうけいれてくれるようなやさしいこころをもってるさんずくんは、きみだけだ。だから、ぜったいにおれのぶんまでしあわせになってね。
春千夜
春千夜
春千夜
あいつは最初から分かっていたのかもしれない。この生活が長くは続かないと……
ポタポタ…
春千夜
花垣がいなくなった後のことはよく覚えていない。いつの間にか、アジトにいて、ただただ惰性に時間は過ぎていくばかりだった。
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
マイキー
春千夜
〜それから1年後〜
三途は一人で、あの日初めて武道に会った海を訪れていた。
花垣がこの世からいなくなったことを知ってるのは俺だけだった。人間じゃないあいつは、骨なんて残ってないし、もちろん葬式だって行われなかった。三途の心にぽっかり空いた穴だけが、花垣という存在の消失を証明していた。
春千夜
ふと上を見上げると、あいつの目みたいに綺麗な真っ青な空が広がっていた。
春千夜
『俺も』
そんな俺の大好きだった声が俺には聴こえた
コメント
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ヤバイ好きだ!
号泣しながら見ました。