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二人だけの秘密

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二人だけの秘密

1 - 二人だけの秘密

♥

1,111

2022年02月07日

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どーも。

なんか、人間という垣根を越えた恋ってのを書きたかったんですけど、

なんか、ぐちゃぐちゃになっちゃいました(ー_ー;)

読みにくいかもしれないですが、

読んでくれると嬉しいですー!

ザーザー

春千夜

チッ…

急に降り出した土砂降りの雨に舌打ちをこぼしながら、三途はマイキーと共にアジトへと向かう足を速めた。雨は真っ赤な血に汚れた三途の身体を浄化するかのように、どんどん激しさを増していた。

マイキー

?あれ、人か?

海のそばを通り過ぎようとしたとき、マイキーがふとそう言った。

春千夜

どうかしましたか?

そう言って、三途が後ろを振り向くと、マイキーはある一点を指差し、そこをじっと見つめていた。

黒い点にしか見えないそれに興味を示したマイキーに、「俺が確かめてくるので、少し待っててください。」と一言言って、俺はソレに近づいていった。

黒い点のように見えていたものは、マイキーの言う通り、人だった。

人だと分かれば、もうコイツのことなど、どうだっていい。「やっぱり人でした。」そう伝えるため、マイキーのいた方を向くも、そこにマイキーの姿はなかった。

まさか、と思い、さきほど背を向けたばかりの男の方を向くと、そこにマイキーがいた。

春千夜

マイ、…

マイキー

お前、名前は?

武道

………

春千夜

おい、テメェ。王のこと無視してんじゃねぇぞ?!

一発殴ってやろうと掴んだソイツの腕は恐ろしいほど冷たかった。

春千夜

?!

……失敗作なんだって

だから、俺は存在を消されるんだ…

そう呟いたソイツはどこか遠くを見つめていた。

春千夜

は?

春千夜

何言って、

マイキー

お前帰る場所は?

………ない

マイキー

じゃあ、お前、ウチに来い

春千夜

は?!何を言って!?

……!

マイキー

俺は佐野万次郎だ

武道

……花垣武道

マイキー

じゃあ、タケミっち。

マイキー

俺がお前の居場所つくってやる

そう言って、マイキーはソイツの手を取った

マイキー

ここが今日からお前の部屋だ

武道

ありがとうございます

マイキー

なんか困ったことあったらなんでも言っていいからな

武道

はい

マイキー

あ、そうだ!ちょっと待ってろ

ガチャ

武道

?(誰だろ?)

春千夜

チッお前の世話係になった三途春千夜だ。

武道

(え、舌打ち?)

武道

よろしくお願いします?

春千夜

……フンッ

武道

あ、あのマイキーくんは?

春千夜

は?王にお前なんかの世話させるわけねぇだろ

春千夜

別に仲良しこよしする気はねぇ…

春千夜

マイキーに頼まれたからやってるだけだ

春千夜

俺はもう帰る

武道

あ、あの待ってください

春千夜

あ’’?

春千夜

ンだよ?

武道

ひとつ聞いてほしいことがあるんだ…

武道

実は、

武道

俺、人間じゃないんだ

春千夜

は?

武道

信じてもらえるかわかんないけど、俺、人造人間なんだ

春千夜

………

武道

最初は自分は人間だと思ってた。

武道

でも、違った……

武道

父さ、…ッ発明者が話してたんだ。

武道

目が見えない俺は失敗作だから、もうすぐ解体されちゃうんだ。

武道

それが怖くて、逃げてきたんだ。

正直言うか、言うまいか迷った。

引かれた?軽蔑された?せっかくここに連れてきてくれたけど、追い出されちゃうかな…

春千夜

………で?

武道

……へ?

武道

だから、俺人間じゃないんだ、

春千夜

いや、それはわかったって

春千夜

逃げて、お前はどうしたいんだよ?

武道

……!

武道

俺、…

武道

俺まだ生きていたいッ……

春千夜

そうかよ

春千夜

じゃあ、生きろ

春千夜

お前はお前だ。人間か人間じゃねぇかなんてどうでもいいだろ?

春千夜

生きたいなら、生きればいい

武道

ッ……

初めてかけられたそんな優しい言葉は俺の心を暖かく包み込んだ。

武道

な、なんでそんなに優しいの?

春千夜

は?別に優しくねぇわ

春千夜

……俺は自分の顔が嫌いだ

春千夜

昔から、この顔のせいで虐められてきた。

春千夜

何度も死のうと思った

武道

………

春千夜

でも、俺は生きる理由を見つけた

春千夜

マイキーについていきたい

春千夜

そのために今は生きてる

春千夜

だから、お前も生きたいなら生きればいいと思っただけだ。

武道

………

武道

(あぁ、この人はすごいな…)

武道

……三途くん?

あの日から、三途くんは、毎日、俺の部屋に来て、目の見えない俺の身の回りのお世話をしてくれた。

春千夜

春千夜

なんで俺だって分かった?

武道

ん〜?足音が三途くんだったから?

春千夜

(そうか、コイツ耳いいんだったな…)

春千夜

……飯だ

武道

わ~!ありがとう

武道

すごく良い匂いする〜

武道

……なんの匂いだろ?

春千夜

今日はオムライスだ。

武道

おーー!

春千夜

ほら、口開けろ

武道

アーン

武道

モグモグ

武道

ゴックン

武道

おいしかったよ!ありがとう

武道

……いつもごめんね。時間使わせちゃって、

春千夜

俺がやりたくてやってるだけだ…

武道

そっかニコ

武道

(君はほんとに優しい人だね)

いつものように、三途が武道の部屋にやって来ると、武道は机の前で何かを黙々と書いていた。

春千夜

何やってんだ?

武道

あ、三途くん!

三途が、武道の手元を覗き込むと、子どもの落書きみたいなぐちゃぐちゃな線が紙の上に広がっていた。

春千夜

子どものお絵描きかよ、ヘッタクソだな

武道

え、文字を書く練習だよ?!

春千夜

フンッ知るか、どうでもいいわ

春千夜

っておい!テメェ紙からはみ出てんじゃねぇかよ!?

春千夜

片付けるの誰だと思ってんだ?!

武道

ウグ三途くんです…、

武道

でも、一人じゃ難しくて……

武道

そうだ!

武道

三途くん、俺に文字の書き方教えてくれない?

春千夜

は?んなもん何に使うんだよ?

武道

ほ、ほら!これから先、生きていくために使うかもしれないじゃん?!

春千夜

あっそ…

春千夜

………これが「あ」だ。

武道

春千夜

で、これが「い」、ーーーー、ー……ーで、これが「ん」だ。

三途はペンを持つ武道の手を上から握り、1文字1文字丁寧に教えていった。

武道

ありがとう!三途くん!!

春千夜

別に…

花垣と過ごす時間は俺にとってどんどん大きなものへと変わっていった。

花垣が来て1ヶ月経つ頃には、アイツのところへ通うのが毎日の習慣になっていた。

でも、その日はたまたま急な任務があって、アイツの所へ行けていなかった。

春千夜

あ’’ぁ疲れた……

部下A

ー。ーー!

部下B

ーー、!花垣、ー、

春千夜

(花垣の話か?)

部下A

そういえば、さっき、花垣武道の父親だっていう人が、『息子はどこにいますか?』って聞いてきたんだよ

春千夜

………!

部下B

で、教えたのか?

部下A

おう。地下の一番奥にある部屋にいますよ、って言ったら、急いでそっちに行ったよ

部下A

花垣の父親、白衣着てたから、医者かなんかかもしんねぇな

部下B

ってことは、アイツお坊ちゃまってこと?全然見えねぇな笑

部下A

だな笑

春千夜

………ッ

部下B

あ!三途さん!お疲れ様です!

部下A

お疲れ様です!………って、あ、行っちゃった

嫌な予感がした。 胸がやけにざわざわして、自分の呼吸が浅くなってるのを感じた。

春千夜

早くアイツのとこ…ボソ

バンッ

春千夜

ッ花垣!!

春千夜

チッ……

春千夜

どこ行ったんだよ………

急いで、部屋中を探すも、花垣はどこにもいなかった。

春千夜

………!マイキーなら……

春千夜

ッマイキー!!

マイキー

どうした?そんなに慌てて、

春千夜

花垣は?!

マイキー

あぁ、タケミっちなら、さっき父親が迎えに来たよ。

春千夜

……ッ

マイキー

タケミっち本当によかったよな……自分の居場所はもうないって言ってたけど、父親はタケミっちのことちゃんと愛してたんだからな…

ッちげぇ、ちげぇんだよ…あいつは父親なんかじゃねぇ…ここを出たところで、花垣は幸せになれない……… このままじゃ、花垣が解体されちまう…花垣が人造人間だって知ってんのは俺だけだ、俺が花垣を、…

マイキー

俺はタケミっちの幸せを願ってる。だから、連れ戻そうなんて考えるなよ?

春千夜

……花垣はどんな顔してましたか?

マイキー

……?

マイキー

泣きそうな顔して、笑ってた。

マイキー

よっぽど嬉しかったんだろうな…

春千夜

…………ッ

バンッ

マイキー

おい!三途どこ行くんだ?!

春千夜

………

春千夜

!花垣!!

町外れの廃れた工場の跡地に花垣はいた。縄で、椅子に体を固定されていた花垣は、身動きがとれないようだった。

武道

さ、三途くん?

武道

なんでここに?

春千夜

今助けてやるからッ

武道

もうムリだよ

花垣の体を拘束する縄をほどこうとする俺に花垣はそう言った

春千夜

は?

春千夜

何言って、

春千夜

花が…

トンッ

武道

『~~~~~』

そう言って、花垣は俺を突き飛ばした…

そして次の瞬間、上に吊るされていたらしい大きな鉄球が花垣を勢いよく潰した。

春千夜

……は?

春千夜

ァア’’ァア’’ア’’ァァア’’……

まただ……俺はいつも遅い…ただ見ているだけで結局助けられねぇ

急いで駆け寄り、なんとか鉄球をどかしたものの、周りはネジや鉄の板など、いろんなものが散乱していて、どれが花垣だったものかなんて、全くわからなかった。

はっきりは聞こえなかったものの、あのとき、花垣は確かに笑顔でこう言った。

『ありがとう』

春千夜

ッ……

春千夜

一緒に幸せになろうって約束したじゃねぇかよ!!

春千夜

勝手に破ってんじゃねぇよッ……

もう聞こえている筈がないとわかっていても、叫ばずにはいられなかった。

春千夜

お前がいなきゃ、意味ねぇんだよ…

膝からその場に崩れ落ちた俺の視線の先で、白い紙のようなものが風に飛ばされるのが見えた。

春千夜

何だコレ?……、手紙か?

さんずくんへ

その言葉が目に入り、俺はすぐに袋を破って中から手紙を取り出した。

さんずくんへ やくそくまもれなくてごめんね。さんずくんとすごすじかんはとってもたのしくて、まいにち、さんずくんにあえるのがうれしかったです。 ひとつわがままがいえるなら、おれ、さんずくんともっといっしょにいきてみたかったなぁ… そういえば、さんずくんはじぶんのかおがきらいっていってたよね。さんずくんがどんなかおしてんのかおれにはぜんぜんわかんないけど、さんずくんがどんなみためだとしても、おれにとってさんずくんはさんずくんだよ。こんなおれでもうけいれてくれるようなやさしいこころをもってるさんずくんは、きみだけだ。だから、ぜったいにおれのぶんまでしあわせになってね。

春千夜

ッ……

春千夜

はは、きったねぇ字…

春千夜

列も整ってねぇし、字の大きさもバラバラじゃねぇかよ……

あいつは最初から分かっていたのかもしれない。この生活が長くは続かないと……

ポタポタ…

春千夜

こういうことのためにお前に字、教えた訳じゃねぇよ……

花垣がいなくなった後のことはよく覚えていない。いつの間にか、アジトにいて、ただただ惰性に時間は過ぎていくばかりだった。

マイキー

三途?

マイキー

どうかしたのか?

春千夜

!いや、なんでもないです。

マイキー

タケミっちがいなくなった日から、お前なんか変だぞ?

春千夜

………

マイキー

………

マイキー

…タケミっちに会いに行ったんだろ?

春千夜

マイキー

やっぱりな…

マイキー

お前が心配しなくても、きっとタケミっちは幸せになれるよ

春千夜

…ッそうですねニコ

〜それから1年後〜

三途は一人で、あの日初めて武道に会った海を訪れていた。

花垣がこの世からいなくなったことを知ってるのは俺だけだった。人間じゃないあいつは、骨なんて残ってないし、もちろん葬式だって行われなかった。三途の心にぽっかり空いた穴だけが、花垣という存在の消失を証明していた。

春千夜

俺も、この世界でお前と生きるの悪くなかったぜ

ふと上を見上げると、あいつの目みたいに綺麗な真っ青な空が広がっていた。

春千夜

また逢う世界では最期までお前と2人で生きてみてぇな

『俺も』

そんな俺の大好きだった声が俺には聴こえた

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コメント

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ヤバイ好きだ!

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号泣しながら見ました。

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