杏堂〇〇
家族を殺したその後、私は家を出て街中を彷徨った。
日に日に食べる物が無くなって痩せて、 服も見た目もボロボロになった。
それでも道行く人は私を無視する。 巻き込まれたくないからと見て見ぬふりをする。
そんな時、一人の男が私に手を差し伸べた。
男
男
その組織は所謂"悪い事をしてる人達"らしい。 丁度抗争で仲間が死に、人手が足りないそうだ。
でも、私の異能は何故か発動出来なかった。
男
男
杏堂〇〇
男
練習しても練習しても上手く扱えない。 組織には異能力者が居ないから教えてくれる人も居ない。
結局私の毎日は殴られる日々に逆戻りした。
元々小柄な私の体は更に痩せ細り、 その分異能力も弱体化している様だった。
男
男
男
それがもう何回も繰り返されて、一ヶ月程経ったある日。
組織の基地でボスに訓練と云う名の暴行を受けていたら、 男達が騒ぎ始めた。
どうやら敵のポートマフィアが襲ってきたらしい。 私は戦闘を余儀なくされた。
でも初めて向けられた銃が恐ろしくて。 ボスも此の男達も殺されちゃえばいいって。
いっその事私も此処で死んでしまえば…。 そう思って異能力を発動しなかった。
ボス
私の異能に罹らない様にマスクをしたボスが 目の前で切り刻まれる。
ボスが倒れると目の前には 黒髪の白衣を着た男が立っていた。
白衣の男
白衣の男
杏堂〇〇
白衣の男
杏堂〇〇
白衣の男
ニコニコと話しかけてきた男は 私の年齢を聞いた途端がっくりと肩を落とした。
手術刃を片手に返り血に濡れたその人は 私の手をそっと引いて外へ出してくれた。
その人こそが───
森鴎外
森鴎外
森鴎外。 ポートマフィア首領で、私の命の恩人だ。
杏堂〇〇
太宰治
目が覚めると見慣れた医務室に居た。 嫌な夢を見た。私の過去の夢。
突然目を覚ました私に驚く太宰。 どうやら彼の肩に頭を預けて眠っていたらしい。
太宰治
杏堂〇〇
杏堂〇〇
ぐっと伸びをして大きく深呼吸をする。 これが私のポートマフィアに入るまでの経緯。
そしてこれから始まる話は、 それから三年後、私が十七歳の時の話だ。
「太宰、中也、15歳」篇。𝐬𝐭𝐚𝐫𝐭 >>>>
コメント
3件
過去編も最高でした!!