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アレン

ほんっとうによかった…。

アレン

私、アレンのことは覚えていらっしゃいますか?

アレン

お嬢様が家出をなされてから1年、発見されるまでの間

アレン

どれだけ胸が潰れそうになったことか…!

アレン

アレン

それも、ここから遠く離れた峠の中でこんなボロボロになって倒れているなんて

アレン

アレン

今までどこで何をしていらっしゃったのですか?

シゼ

えっ、

シゼ

えっ…と…

シゼ

シゼ

(何が起きてるんだろう…?)

シゼ

(私のことをお嬢様と呼ぶこの人は誰?)

シゼ

(それと)

シゼ

(このいかにもファンタジー小説で出てきそうな世界は一体…)

シゼ

(私は確か病院にいて)

シゼ

(安全チューブを抜いて死んだはずじゃ、)

シゼ

シゼ

アレン

アレン

お嬢様…?

シゼ

(まさか私、)

シゼ

(転生ってものになっちゃったの…っ?)

シゼ

(高校生の時読んでた転生モノの小説みたいに、死んだ瞬間異世界に飛ばされて…。)

シゼ

っ…。

シゼ

(おかしいし、ありえない)

シゼ

(それに、死んだら一般的には天国か地獄へ行くはず…。)

シゼ

(だけど)

シゼ

(転生なら今の状況の辻褄が合う。)

シゼ

シゼ

(確認しないと。)

シゼ

ア、アレン…

アレン

はい。

シゼ

鏡とか、もってない?

アレン

?、もちろんございます。

シゼ

すこし借りてもいい?

アレン

いいですよ。

シゼ

ありがとう。

シゼ

パッ (手鏡で自分の顔を見る)

シゼ

(えっ、)

シゼ

(転生前の自分と同じ顔…?)

シゼ

(手も顔もちっちゃくて5歳くらいの女の子になってるけど、顔は小学生の時の私とそっくり…。)

シゼ

(おかしいな、私の読んできた転生モノは大概顔とか性別が変わっていたりするんだけど。)

シゼ

(目の色以外、全部同じだ…。)

アレン

あ、あの

アレン

お嬢様?

シゼ

シゼ

シゼ

ごめん。

シゼ

アレン、ありがとう。

アレン

い、いえ。

アレン

アレン

一体どうされたのですか?

アレン

突然お顔を確認したりして…

シゼ

大丈夫。

シゼ

ちょっと、きになっただけ。

シゼ

(はぁあ…)

シゼ

(これからどうなるんだろ、私。)

しばらくして

花子…いえ、シゼはアレンと共に 1年ぶりに家族の元へと帰りました。

シゼの 仕入れた布で作った 服を取り扱う商人の長女として生まれ

しばらくして 血のつながらない兄と姉が できました。

シゼの母親は シゼが物心をつく前に病気で 亡くなっており

今の母親は 父親の再婚相手になります。

そしてその連れ子である 兄と妹の存在こそが

シゼが家出を決意した 大きな原因だったのです。

アレン

お嬢様、おかえりなさいませ。

アレン

荷物は私にお任せください。

シゼ

あ、ありがと…。

シゼ

シゼ

(はへぇ〜…)

シゼ

(ひっっろい。)

シゼ

(家の壁に服飾の表彰状が飾られてる。この家は布の商売をしているのかな…。)

リアーナ

あらあらあらあら

リアーナ

どこの虫かと思ったら妹のシゼじゃないの?

リアーナ

この場に似合わないブサイクな顔してまでなんで帰ってきたんでちゅか〜?

アレン

シゼ

(えっ、誰この人。)

シゼ

(妹って言ってたから、私のお姉ちゃんかな…。)

シゼ

(シゼっていうのは私の名前…?)

シゼ

シゼ

わっ!

胸ぐらを掴まれる

リアーナ

邪魔者は余計なことしかできないの?

リアーナ

…アンタなんて家出したまま消えてしまえばよかったのに。

シゼ

???

シゼ

シゼ

(何この子)

シゼ

(なんかすごい高圧的なんだけど…ちょっと怖いな。)

義母

おやめなさいリアーナ。

義母

胸ぐらなんかをつかんだら、汚いものが移ってしまうわ。

シゼ

リアーナ

お母様!

リアーナ

聞いて!お母様!

リアーナ

リアーナ

シゼ、私に向かって殴るぞって言ってきたの!怖い!

義母

あらまぁ。

シゼ

え、私何も言ってないです。

シゼ

(あ、素が出ちゃった。)

義母

リアーナ、こっちきなさい。

義母

あったかいお茶でも淹れましょう。

義母

義母

シゼ、お前はとっとと消えなさい!

義母

前の女にそっくりなその醜い顔を2度と私と愛しいリアーナに見せないで頂戴!

義母

その土まみれの奴隷でも連れて泥水でも飲んでればいいわ!

アレン

っ…!

シゼ

シゼ

(えぇええ…なんなのこの人も)

シゼ

(めちゃ辛辣じゃん。)

アレン

お嬢様、行きましょう。

シゼ

う、うん…。

シゼ

…。

アレン

誠に申し訳ございません。お嬢様。

アレン

お嬢様が家出なされてから、リアーナ様と奥様はますます威張るようになってしまい…

アレン

前の奥様のことがさほど憎いのでございましょう。

シゼ

!…

シゼ

シゼ

まえのおくさま…?

シゼ

それって、わたしのお母さんのこと?

アレン

ええ、

アレン

お嬢様が3歳の頃にお亡くなりになられましたが

アレン

お嬢様と血の繋がりのあるお兄様を立派に育て上げ、

アレン

今のご主人様を大変愛しておられました…。

アレン

そして、この私をお嬢様のお世話がかりに取り立てていただいたのも奥様でございました。

シゼ

(なるほど…)

シゼ

(だからあんなに悪く言ってくるのか…。)

シゼ

(となると、私が転生したシゼという人物は)

シゼ

(家庭環境が原因で家出したかもしれないな…。)

アレン

お嬢様が家出なされたのも、無理はございません。

アレン

苦しいのも、しんどいのも痛いほど理解しております。

アレン

しかし

アレン

この店の跡取りである長男様があちらの味方でいる限り

アレン

私たちは、お嬢様は…

アレン

何も逆らうことができないのです。

アレン

アレン

うぅ…。グスッ

アレン

申し訳、ございません…。

シゼ

シゼ

だいじょうぶ、アレン。

シゼ

(なんで転生したかは分からないけど、)

シゼ

(転生前のシゼをとりまく環境はあらかた分かった。)

シゼ

(前までのシゼとは違う女の子になっちゃうかもしれないけど。)

シゼ

(元小説家として、)

シゼ

(こんな貴重な体験、なんとしてでもじっくりと味わって作品の参考にしたい!)

シゼ

私は(小説の参考になるためなら)

シゼ

どんなことでも、平気だから。ニコッ

第2話 おわり

とある物書きの挑戦譚 【第一期】

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コメント

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ハマった!‪w

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