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雪が降る日は残酷で幸福な日

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雪が降る日は残酷で幸福な日

1 - 雪が降る日は残酷で幸福な日

♥

1,128

2020年02月22日

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あぁ、今日も雪が降ってる

ドアも空いている。隙間風が吹いている。

でも、寒くない

ぼぅ~と灰色の天井を見つめ、ゆっくりと息を吐く

楽しかったよ

また来るよ

上品な服を着、机の上に札を置きその男は出ていった

あちこちが痛い

あんなに激しくされたのはいつぶりだろうか

背中には引っ掻き傷

首筋には噛み跡

手首は真っ青色に染まっている

ドストエフスキー

はぁぁ………

シャワーを浴びなくては

ナカに出されたものを洗い流さなくては

傷を手当しなくては

躰に力を入れるが何も変わらない

グシャグシャになったベッド

何時間経っただろうか

変わらずその体制で僕は夢へと落ちていった

ドストエフスキー

んっ……

あぁ、朝が来た

今日も奴隷として一日を迎える

仕方ない。これが僕の宿命なのだから

シャワーを済ませ、自分で手当をし予定を確認する

今日もそれは変わらない

1つ違うとしたら次の相手だ

初めて見る名前

だが、僕は変わらない

そのまま相手の言いなりに、性行為をする迄だ

僕は人間の奴隷

ストレス発散に性欲を満たすこと

それが僕の利用理由

そろそろ時間

ドストエフスキー

折角傷が治ったばかりなのに…

コンコン

ドストエフスキー

はい

ドアを開け、使いの者はお辞儀をしそそくさと出ていった

今日の相手は変わった人柄だ

銀色の髪の毛を三つ編みし茶色い外套を身につけている

右目の傷が気になるということ

でも、僕は変わらない

彼をベッドに案内し

服に手を伸ばす

ゴーゴリ

あっ!!脱がなくていいよ!!!

ドストエフスキー

え??あ……着たままが良かったですか?

ゴーゴリ

否、今日はそういうのやりに来たわけじゃないんだ

ドストエフスキー

では?

ゴーゴリ

話をしに来たんだ!

ドストエフスキー

話ですか?

驚いた

これまでの人間は二人っきりになった途端すぐだ

その故彼は話すだけ

僕が一番苦手な行為だ

今までの僕は唯相手の言いなりになり、喘ぎ声を出すことだけ

"話す"とはなんだろうか

ゴーゴリ

今から私が質問するからそれに応えてもらうだけでいいよ!!!

ドストエフスキー

分かりました

ゴーゴリ

名前は???

ドストエフスキー

ドストエフスキーです

ゴーゴリ

じゃあドス君ね!!!!私はゴーゴリ!ニコライ・ゴーゴリ!!!

ドストエフスキー

分かりました

ゴーゴリ

君は本が好きかい?

ドストエフスキー

ぇぇ

ゴーゴリ

私もだよ!!!!

ドストエフスキー

そうですか

この後も好きな食べ物や好きな季節など色んな話をした

ゴーゴリ

ドス君ドス君

ドストエフスキー

なんですか?

ゴーゴリ

外行かない???

ドストエフスキー

外ですか?

ドストエフスキー

ここは密室。ドアもない。行けるはずがありません

ゴーゴリ

否、行けるよ!!!!

ゴーゴリ

ほらっ!!!!ハハハッ!!

ドストエフスキー

!!!!

そうだ、お客様の命令は必ず

ゴーゴリ

真っ白だよ!!!!ハハハッ!!

ドストエフスキー

そうですね

ゴーゴリ

ドス君は雪すき?

ドストエフスキー

えぇ

ゴーゴリ

そっか!!!!

ゴーゴリ

…………………い、やじゃないの??

ドストエフスキー

…………何がですか

ゴーゴリ

い、まの………その…仕事

ドストエフスキー

わかりません

ドストエフスキー

僕は唯お客様の命令を聞いてるだけです

ゴーゴリ

そっか…

ゴーゴリ

じゃあ、私もお客様だよね

ドストエフスキー

えぇ

ゴーゴリ

私ね、ドス君を迎えに行くよ

ゴーゴリ

絶対にドス君を迎えに行く!!!!

ドストエフスキー

やめてください

ゴーゴリ

……え????

ドストエフスキー

聞き飽きました

ドストエフスキー

皆言います

ドストエフスキー

でも、僕は変わらない

ドストエフスキー

来なくていいです

ドストエフスキー

迷惑を掛けてすみませんでした

ドストエフスキー

さようなら

ドストエフスキー

ふぅ……

ドストエフスキー

本屋でも寄りますか…

定員

いらっしゃいませー

ドストエフスキー

休みが無いもので全然来れていませんでしたね…

ふと目線を上げると、外套という本に目がついた

ドストエフスキー

…………外套…

ドストエフスキー

作者は……不明…

ドストエフスキー

気になりますね……

定員

有難うございました

ドストエフスキー

………雪が止んでる…

ドストエフスキー

その代わりに雨ですか…

ドストエフスキー

強くなってきてる……

ドストエフスキー

………薄暗いですが、近道から帰りましょうか…

ドストエフスキー

………

淡々と歩いていると背後から手を捕まれ、衝撃に手を打ち傘を落とした

ドストエフスキー

っ?!!!

一昨日ぶりだね、ドストエフスキー君

気持ち悪い

あぁ、雨の音で気づけなかったんだ

ねえヤろ?

ドストエフスキー

…それは出来ません

ドストエフスキー

今は、仕事ではありません

グイッ

ドストエフスキー

?!!!

お前は俺の性奴隷だ

我儘言うんじゃねぇよ

お前に否定権あると思ってんのかあぁ?

そうだ

僕は奴隷

どんな命令でも、聞かなくては行けない

僕は体の力を抜き男に連れていかれるままだ

ドンッ

ドストエフスキー

っぁ!!

本当は家までついてって犯してやろうかと思ったんだ

だが、ドストエフスキー君から薄暗い道に行ったからとても嬉しかったよ

ドストエフスキー

…………

なんか言えよ

ドストエフスキー

っぁ!!

ドストエフスキー

っ……お気に召したのなら……良かった…です

今日はとても溜まってるんだ

スゥッ

僕は今日も光を失う

ドストエフスキー

んっ…っ…あっ…んんっ

今になって本当はこんな仕事やりたくない

ドストエフスキー

あっ…っ…あぁっ!

痛い

背中に爪を食い込まされて

思いっきり引っ掻かれる

ドストエフスキー

ふっ…んっ…あぁっ…んぁっ…

可愛いよ

そうだ

ゴーゴリと会って忘れていたんだ

僕が汚れていることを

ドストエフスキー

ひぅっ…んんっ…あっ…んっ

あぁ、また知らない誰かのモノが入ってくる

でも、何も分からない

僕が何年もしてきたことだ

でも、何故か寂しい

ドストエフスキー

…………

い、やだ

ドストエフスキー

んっ……

ドストエフスキー

服を着なきゃ…

でも、下着も服も着れるような感じじゃない

僕は外套を羽織った

ポケットに違和感がある

ドストエフスキー

……………札

ドストエフスキー

あははははっ

ドストエフスキー

ははっ……は、はは

ドサッ

ドストエフスキー

………眠い

疲れた

飽きた

楽に逝きたい

ガサッガサッ

ゴーゴリ

……ドス君?

この声は

ドストエフスキー

………………ゴーゴリ?

ゴーゴリ

こんなとこ……

彼にも分かるほどの痛々しい傷

ゴーゴリ

ドス君立って…

ドストエフスキー

い、やです

ドストエフスキー

寝かせてください

ゴーゴリ

ダメだよ

ゴーゴリ

ほらっ

ドストエフスキー

やめてください!!!

あ…言ってしまった

ゴーゴリの顔を見るとあぁ怒りに染まった様な顔をしている

謝らなくては

ドストエフスキー

ご、ごめんなさい

ドストエフスキー

な、何でもしますから……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

心の底から湧いてくる恐怖

あぁ、本当はこんな仕事怖かった

するとゴーゴリの手が伸びてくる

殴られるっ…

ゴーゴリ

大丈夫だよ

ゴーゴリ

僕は何もしない

ゴーゴリ

ドス君を怖い思いにしないよ

温かいその手が僕の頭を撫でる

ゴーゴリ

とりあえず僕の家に行こ

ゴーゴリ

ここに居るって言っても無理矢理連れていくけど

ゴーゴリ

どうする?行く?

ドストエフスキー

はい………

ゴーゴリ

立てる?

ドストエフスキー

いえ、……腰が抜けてしまって…

ゴーゴリ

ん〜~

じっと何も無い世界を見ているとぐわぁんと世界が揺れた

ドストエフスキー

なっ

ゴーゴリ

ごめんね

ゴーゴリ

これしか出来ないんだ笑

ドストエフスキー

だ、大丈夫です

ドストエフスキー

有難うございます…

ゴーゴリ

どういたしまして!!!!

ゴーゴリ

疲れたら横になっててもいいからね

ドストエフスキー

はい

周りを見渡していると

ドストエフスキー

?ゴーゴリさん

ゴーゴリ

どうしたの???ドス君

ドストエフスキー

あの本は

ゴーゴリ

……………覚えてないのか…あれはね10年前君に貰った本だよ

ドストエフスキー

え?………!!!!

10年前

ドストエフスキー

そろそろ新しい本が欲しいです…

ゲホッゲホッ

ドストエフスキー

???

ゴーゴリ

ゲホッゲホッゲホッ

ドストエフスキー

大丈夫ですか?

ゴーゴリ

っ?!!!

ゴーゴリ

ぼ、くは大丈夫だよ

ドストエフスキー

そうですか

ドストエフスキー

貴方は何故ここに居るんですか???

ゴーゴリ

んーとね〜お母さんに帰ってくるなって言われたの笑

ドストエフスキー

……………

ドストエフスキー

暇でしょうから一緒にこの本を読みましょう

ゴーゴリ

!!!!え????

ドストエフスキー

嫌ですか?

ゴーゴリ

………べ、つに

この後僕は男の子と一緒に本を読んだ

ゴーゴリ

面白かったよ!!!!

ドストエフスキー

そうですか?

ドストエフスキー

よかったです

ゴーゴリ

ねぇ!!!!

ドストエフスキー

はい

ゴーゴリ

君はなんて言うの???僕はゴーゴリ!!!!

ドストエフスキー

ゴーゴリ……僕はドストエフスキーと言います

ゴーゴリ

そっか!!!!僕ねドストエフスキーのお陰で夢を見つけたよ!!!!

ドストエフスキー

そうですか

ゴーゴリ

僕の夢はね大人になったらドストエフスキーを迎えに行くよ!!!!それまで待ってて!!!!

ドストエフスキー

!!!!………ふふっ馬鹿ですね…分かりました。待ってますよ笑

ゴーゴリ

うん!!!!!!じゃあ、今日は有難う!!!!

ドストエフスキー

待ってください

ゴーゴリ

どうしたの???

ドストエフスキー

これ思い出としてあげます

ゴーゴリ

え????いいの???

ドストエフスキー

はい

ゴーゴリ

わぁぁぁ!!!!有難う!!!!

ドストエフスキー

えぇ………待ってますよゴーゴリ

ドストエフスキー

ほ、んとうに……迎えに来てくれたんですか?

ゴーゴリ

……うん

ゴーゴリ

ここにドス君が居るって聞いて…名前もね

ドストエフスキー

そ、うですか

ゴーゴリ

ごめんね

ゴーゴリ

遅くなって

ドストエフスキー

馬鹿ですね…

ゴーゴリ

あははははっ笑笑笑笑ごめん笑

ドストエフスキー

有難うございます

ゴーゴリ

どういたしまして!!!!

ドストエフスキー

大変だったでしょう?

ゴーゴリ

まぁね!!!!お金になるならどんな仕事でもしてきたよ!ドス君のようにね!

ドストエフスキー

そ、うですか…

ゴーゴリ

ドス君!!!!

ドストエフスキー

はい?

ゴーゴリ

これからはさ、幸せに二人で暮らしていこうよ!!!!

ドストエフスキー

勿論です

ドストエフスキー

僕もあなたに会えて幸せです

ゴーゴリ

二人での

ドストエフスキー

幸せは

ゴーゴリ

ひとつの大きな

ドストエフスキー

幸福です

太陽の光が差し込むと同時に二人の唇が合わさった

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