青
………
桃
……手伝うよ
青
あ、ありがとう…
……嫌がってなんかない…
頼られるのが目的なのに
嫌がってたら意味ないじゃないか
青
ぅ、重い…
桃
この量をころん1人にやらせようとしてたのか…?
桃
頭おかしいんじゃねぇの…
桃
あ、そういや
青
ん、ん??
桃
誕生日おめおめ
青
あ、え、知ってたの??
桃
自己紹介で言ってた
青
覚えてるんだ笑
桃
そりゃね笑
桃
ほら、早く運ぶぞ
青
う、うん
…さとみくんだけ
手伝ってくれる
今までそんな人はいなかった
みんな見て見ぬふりで
影でくすくす笑って
僕を奴隷のように扱って
そんな扱いを受けてもずっと笑顔でいるからだろう
「きもい」
「ずっと笑ってんのほんとやばい」
色んな言葉が聞こえてきた
人から受ける心配の声は僕の耳に届かないくせに
陰口や悪口はすごく大音量で耳に入ってくる
嫌な言葉が大きい音で聞こえてきて頭が痛い
でもそれに耐えないと
みんなに頼られてるんだから
僕はヒーローなんだ
僕は強いんだ
この物語の主人公なんだ
だから…
桃
…ん
だから!
桃
ころん!!
青
ぇ…
桃
大丈夫か?
桃
疲れた?
桃
休憩する?
桃
なんか冷たいの買ってこようか?
…心配…してくれてる…
でも…
青
んーん!
青
全然大丈夫!
青
ちょっと考え事!
桃
……
僕はまた、嘘をつく
唯一僕と一緒にいてくれる人にでさえも
平気で嘘をつく
表面状はヒーローでも
中身は犯罪者となんも変わらない
そんなのヒーローとは言わないじゃないか
でもそうでもしないと自分じゃなくなる
ヒーローは嘘なんかつかない
そんなの知ってるよ
主人公はもっとキラキラしてる
だから毎日笑ってるじゃん
青
………
桃
…やっぱり冷たい飲み物買ってくるわ
青
わ、悪いよ
桃
俺も喉乾いたし
桃
ころんも疲れただろ?
桃
ちょっと休憩しようぜ
青
……うん、ありがとう
桃
いーえ!
………さとみくんこそ、僕のヒーローだと思う
こんな僕に優しく接してくれるんだから
さとみくんは優しいから
誰にでも優しいんだろうな
それに比べてお前は?
嘘つきで
猫かぶってて
色んな人の言うこと聞いて
そんなの…
青
ただの…ボランティアみたいなもんじゃん…
青
僕…ヒーロー向いてないのかも…
そう、お前は向いてない
……でもやっぱりヒーローでいたい
諦めろ
嫌だ
いやだ!
青
嫌だ!!