歩惟
鏡花
太宰
敦
歩惟
此処は…どこ、ですか、
太宰
少し待っていてね。
鏡花
……どうぞ
歩惟
……?
茶色い床らしき物に、 温かい物を出された。
そのものからは 白い煙が出ていて、いい香りがした。
敦
とっても美味しいよ!ほら、!
歩惟
……?
今まで手で食べて居たのに、 銀の棒らしき物を差し出される。
歩惟
これは、どうやって、使う、ですか
太宰
あはは……やはり、使ったことがないようだね
鏡花
此処を…こうやって持って、こうやってすくえば……
歩惟
……!!
世界に色がついた気がした。
灰色の、何も無い世界に 光が差した気がした。
歩惟
プルプル……
敦
右手じゃ持ちにくいですかね…?こっちの手で持ってみてください!
私はどうやら左利きというものらしい。
歩惟
モグモグ…
こんな温かいものは初めて食べた。
歩惟
((これが……美味しい、?
その後はすぐ食べ終わった。
太宰
かなりお腹がすいていたようだね
鏡花
……良かった
歩惟
ありがとう、ございます
太宰
敦君、少し来てくれ
敦
……?
ガチャ
白髪の人と茶色い外套を 来ている人が出ていった。
鏡花
貴方の名前は…?
歩惟
名前?
名前と言う存在を知らなかった。
1度たりとも、名前を呼ばれた 事がなかったから。
鏡花
ないの?
歩惟
……?
鏡花
じゃあ、貴方は歩惟。
歩惟
歩惟、?
鏡花
私の、兎の名前
歩惟
兎…
歩惟
サッ((人形を見せる
歩惟
これ、兎?
鏡花
……!
鏡花
可愛い兎だね
鏡花
でも、ボロボロだから洗おう
歩惟
ボロボロ……洗う?
鏡花
此方に来て、
私は黒髪の人について行くと、
鏡花
これをこうやって…
歩惟
((冷たい……これは、雨?
鏡花
これは水。冷たいでしょう?
歩惟
……コク
鏡花
出来た、後は乾かして…
回る羽根のようなものの前で リリイを乾かした。
鏡花
出来た、
歩惟
……!!
初めてリリィの顔を見た。
可愛らしくて、愛らしい顔。
つぶらな瞳に小さな口。
歩惟
これが、リリィ、
鏡花
リリィ?その子の名前…?
歩惟
名前……?
歩惟
これは、リリィ
鏡花
そっか、
鏡花
ちょっとまってて、歩惟。
歩惟
……?
初めて名前を呼ばれた。 何故か心の中が暖かかった。
鏡花
はい、
黒髪の人の手にあったのは 白い花のような髪飾り。
鏡花
よいしょっと…、
鏡花
出来た、お揃い。
髪をしばった。 黒髪の人と、お揃いとやらをしたらしい
歩惟
貴方の、名前、何、ですか
鏡花
私は鏡花、
歩惟
鏡花?
鏡花
泉鏡花。
歩惟
泉、鏡花
歩惟
其れが、貴方の、名前
歩惟
鏡花!
鏡花
……!
ガチャ
茶色い外套の人と、白髪の人が 帰ってきた。
これは後から知った話だけれど、 この人たちは 太宰さんと敦さんって言うらしい。
太宰
商店街で騒ぎが起きた。行くよ。
敦
はい!
鏡花
((入社試験……?
歩惟
……
鏡花
歩惟も、行こう
歩惟
……コク
太宰
その子は…歩惟って言うんだね
敦
可愛い名前だね!
歩惟
……鏡花が、付けてくれた
鏡花
……!
太宰
そうかい。歩惟ちゃん、行こう