桜の花びらがひらひらと舞い落ちる中学の校門。
ちなつ
ちなつが声を張り上げると、大和は眉をひそめて振り返った。
大和
ちなつ
大和
ちなつ
大和
ちなつはぷくっと頬をふくらませながらも、 (でも一緒に登校できるのは嬉しいんだよね…) と心の中で思った。
教室に入ると、見知った顔が手を振ってくれた。
みか
みかが嬉しそうに笑っている。
ちなつ
みか
ちなつはニコニコしながら荷物を机に置く。 前の方をちらっと見ると、大和は少し離れた場所に座っていた。
ちなつ
みか
みかがニヤニヤ。
ちなつ
みか
担任が声を張った。
担任
ガラリとドアが開く。
玲奈
生徒
生徒
クラスがざわつく。
みか
ちなつ
ちなつが返事をすると、視線の先に大和が見えた。 彼は無表情で玲奈をじっと見ていた。
ちなつ
みか
ちなつ
みか
ちなつ
生徒
生徒
生徒
大和
大和は眉をひそめるが、男子たちは盛り上がっている。
通りすがったちなつには、聞こえていた。
ちなつ
ちなつがつぶやくと、すかさずみかがつっこむ。
みか
ちなつ
みか
みか
ちなつ
みか
ちなつ
みか
ちなつ
みか
ちなつ
みか
ちなつ
ちなつはみかと手を取り合いながら、心の奥で――
(……でも大和は、玲奈ちゃんとサッカー部で一緒なんだよね) と小さく胸が痛むのを感じていた。
二人は胸を弾ませながら音楽室へきた。
ガラス戸を開けると、柔らかい木管の音、力強い金管の音が 響いてきた。
ちなつ
ちなつの目が輝く。
先輩
明るく声をかけてくれたのは、フルートを持った3年生の先輩。 髪をひとつに結んだ、元気そうな女の子だった。
川原先輩
ちなつ
みか
ちなつとみかは同時に頭を下げる。
川原先輩
みか
川原先輩
川原先輩はパッと笑って、みかの肩をぽんっと叩いた。
ちなつが少し遅れて手を挙げる。
ちなつ
川原先輩
川原先輩が声をかけると、 奥から眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の先輩がやってきた。
藤井先輩
ちなつ
ちなつは一気に緊張して背筋を伸ばした。
藤井先輩
美咲先輩が優しく微笑む。
ちなつは胸の中で小さくつぶやいた。 (……この先輩、すごくきれい。クラリネットも似合ってて……わたしもこんなふうになりたいな)
音楽室の窓からは、グラウンドの声が響いていた。
A)大和ナイスシュート!
B)さすが桐谷!
ちらりと見える大和の姿、その横には玲奈の姿。 タオルを差し出し、大和がそれを受け取っている。
ちなつはクラリネットを握る手に力を込めた。
みか
みかがすぐに気づく。
ちなつ
みか
ちなつ
みか
みか
ちなつ
みか
ちなつ
みかと歩いていると――前に大和と玲奈の姿が見えた。 二人は並んで歩きながら、なにか話している。
玲奈
大和
玲奈
ちなつの足が止まった。 みかが小声で耳打ちする
みか
ちなつ
ちなつは慌てて笑顔をつくる。
ちなつ
みか
夕暮れの空の下、ちなつの胸は少しだけざわついていた。







