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君になりたくて

100 - 一緒に汚れてくれる人

♥

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2025年03月09日

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凌は明里のいる路地裏へと入っていった。

明里は凌の方を見向きもせず、ゴミを漁っている。

桐山 凌

……

凌は明里の右腕をグイッと引っ張った。

涌井 明里

涌井 明里

凌、くん!?

桐山 凌

何してんだよ…

桐山 凌

汚いから今すぐやめろ

涌井 明里

……っ、やだ!

涌井 明里

離して!

明里は凌の腕を振り払うと、またゴミの中をガサガサと漁り始めた。

桐山 凌

やめろって__

涌井 明里

失くしたの

桐山 凌

…は?

明里は涙ぐみながら言葉を続ける。

涌井 明里

凌くんから貰ってネックレス…カラスに取られちゃって

涌井 明里

そのカラス、ここのゴミ箱漁ってたから

涌井 明里

きっとネックレスもここにある……

桐山 凌

……明里__

涌井 明里

絶対…見つかるまでやめないっ!!

明里は涙目になりながらゴミを漁り続けた。

「ねえ見てあれw」

「うわっ、やば!」

「汚すぎんじゃない?」

街ゆく人々の声が聞こえる。

明里は唇をかみ締めながらもネックレスを探すのを諦めなかった。

桐山 凌

………

すると凌は明里の横にしゃがみこみ、両腕の袖をまくった。

涌井 明里

…?

凌はガッと生ゴミの中に手を突っ込む。

涌井 明里

りょ、凌くん!?

涌井 明里

汚いからやめ__

桐山 凌

汚いのは明里も一緒だろ

桐山 凌

ネックレスなんて、2人で探した方が手っ取り早い

涌井 明里

凌くんまで悪口言われちゃうよ……

桐山 凌

そんなの関係ねぇよ

涌井 明里

……っ

2人は黙ってゴミ箱の中を探し続けた。

数分後

涌井 明里

……!

涌井 明里

あった!!!

明里はネックレスを掴み、声を上げる。

桐山 凌

……はぁ

桐山 凌

よかった

涌井 明里

…ぅ

涌井 明里

うわぁあ〜〜んッ

明里は我慢していたものが爆発したように泣きだした。

涌井 明里

よかったよぉ…!

涌井 明里

ほんとにほんとにっ

涌井 明里

よかった……

桐山 凌

……

桐山 凌

明里は、

桐山 凌

なんでそこまでして__

涌井 明里

だって凌くんから貰えたプレゼントなんだよ

涌井 明里

1番特別で、1番大切な宝物なの……

ドキッ……

桐山 凌

(……ああ、そうか)

明里はいつも俺に真っ直ぐでいてくれた

明里以上に俺を想ってくれる人はいないんだ

涌井 明里

凌くん…

涌井 明里

一緒に汚れてくれてありがとう。

明里はニコリと微笑んだ。

桐山 凌

っ!

凌は勢いよく明里のことを抱きしめた。

涌井 明里

ぎゅ…と抱きしめる力を強くする。

涌井 明里

凌く__

桐山 凌

ごめん

涌井 明里

桐山 凌

ごめんごめんごめん!!

桐山 凌

俺は明里に甘えてたんだ

桐山 凌

明里ならどんなことをしても俺から離れないって思ってた

桐山 凌

明里の気持ちを軽く見てた…

明里は凌から少し離れ、凌の顔を見つめる。

涌井 明里

……ごめんなさい

涌井 明里

私もごめんなさいッ

涌井 明里

自分勝手で、気持ち爆発させちゃって、暴走して__

涌井 明里

挙句、凪沙ちゃんにまで酷いこと__

桐山 凌

俺だって

桐山 凌

陸に明里が取られるって、勝手に焦って

桐山 凌

「陸と付き合えばいい」なんてこと言ったし

桐山 凌

あんなの100%嘘だから

桐山 凌

陸と付き合えばいいなんて、思ったことない

桐山 凌

ずっと明里は俺の隣にいてほしい

涌井 明里

いる

涌井 明里

凌くんと、ずっと一緒にいる

胸がじーんと暖かくなるのを感じる。

涌井 明里

凌くんはやっぱり素敵な人だよ。

涌井 明里

こうやってゴミ箱を漁ってたら、止めるのが普通でしょ

涌井 明里

なのに凌くんは

涌井 明里

私と一緒に汚れてくれる……そんな人間なんだよ

涌井 明里

不器用で……でも誰よりも1番、情に厚い凌くんが

涌井 明里

私は大好きだよ

凌はもう一度明里のことを強く抱きしめた。

桐山 凌

1番とか、2番とか関係ない

桐山 凌

俺にとって明里は何よりも特別だ

桐山 凌

これから先、明里以外見る気ねぇから

涌井 明里

……っ

涌井 明里

凌くん__

涌井 明里

……

桐山 凌

……

涌井 明里

臭い

桐山 凌

…あ?

涌井 明里

ちょっと臭う

桐山 凌

…言っとくけど

桐山 凌

明里も臭うからな?

涌井 明里

え!

涌井 明里

女の子に向かってひどいっ

桐山 凌

……っふ

涌井 明里

ふふっ

桐山 凌

あはははっ

桐山 凌

なんか、面白いな

涌井 明里

ふふっ

涌井 明里

ホント私たち、バカみたいだねっ

2人は涙ぐみながら

お互いに笑いあった。

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