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LINE391

第1話 - あ

2023年03月10日

#恋愛

結城真矢

アイ

このLINEはアオイちゃんママですよね？

アイ

どういうことか説明してもらってもいいですか？

メイ

え？

メイ

アオイの担任のアイ先生…

メイ

何で私のLINEを知っているんですか？

アイ

今そんなことはどうだっていいでしょ！？

アイ

今回連絡したのはアオイちゃんのことです！

アイ

一体どうやったらこんなことになるんですか！？

メイ

え…ちょっと、どういうことでしょうか？

メイ

アオイの身に何かありましたか？

アイ

ちょっとあなた、しらばっくれる気！？

アイ

38℃の高熱なんですけど！！

アイ

分かってて保育園に預けたでしょう？

メイ

え？ほんとですか？

メイ

今日の朝は普段通り元気でしたが…

アイ

そんなウソは通用しませんよ！

アイ

朝から体調が悪いのに、無理矢理、保育園に連れてきたんでしょ？

アイ

ほんっと迷惑なんですけど！！

メイ

ちょっと待ってください

メイ

うちの子はあまり風邪をひいたり、高熱を出したりしない子なんです

メイ

普段通り元気だったのに、急に高熱が出たのが信じられないんです

アイ

あなた子どもを何だと思ってるんですか！？

アイ

急な高熱なんて子どもならよくあることでしょ！？

アイ

それを分かっていて子ども預けたのは、信じがたい行為ですね

メイ

そこまでおっしゃられるなら、事実を受け入れます

メイ

私も娘のことが心配ですから

アイ

保育士に口答えなんか暇があったら、早く迎えに来なさいよ！

メイ

でも何故、保育園から直接連絡されないのですか？

メイ

わざわざ保育士一個人がLINEで連絡する必要もなかったでしょう

アイ

ずいぶんな口の利き方ねえ

アイ

あなた、自分の置かれて立場が分かってないの？

メイ

え？

アイ

あなた、アオイちゃんに普段から虐待してるでしょ？

アイ

平静を装って、私に口答えするなんていい度胸ね？

メイ

あの、言っている意味が分からないのですが…

アイ

まったく、物分かりの悪いゲスママねえ

アイ

愛する我が子を、隠れて虐待していたなんて

アイ

旦那さんが聞いたらどう思いますかねえ～？

メイ

ほんとに身に覚えがないんですって！！

メイ

私はアオイのことを傷つける理由もありませんし、

メイ

好きなこと、嫌なことはしっかり意思表示する子なので

アイ

あなたがどれだけ言い訳を並べても

アイ

実際にアオイちゃんが「ママが毎日叩くと言っているんですが？」

アイ

アオイちゃんのことを思うとつらいんですけど

メイ

ほんとにそんなことを言っているんですか！？

メイ

普段のアオイからは想像もつきませんが

メイ

とりあえず今から迎えに伺いますので

アイ

このことはしっかりとご主人にも伝えておきますので

アイ

虐待するような母親のもとでアオイちゃんは暮らせませんからね

メイ

ちょっとやめてください！

メイ

アオイの保育園のことを主でしているのは私なんです

メイ

だから夫に直接言ったところで、迷惑なんですよ！

アイ

全く、自分のことしか考えてない最低な母親ね

アイ

あなたがどう言おうと虐待の件は公にしますから

アイ

覚悟してくださいね！

メイ

ちょっとアイ先生！

メイ

私の話を聞いてください！！

～１時間後～

カイ

おい！メイ！

カイ

聞いたぞ、どういうことか説明してもらおうか！？

メイ

ちょっとまさか、保育園から連絡がきたの！？

カイ

アイ先生が教えてくれたんだ

カイ

アオイのことを虐待していたのは、やっぱりお前だったんだな

メイ

私はそんなことは一切していません！

メイ

私はこんなにもアオイのことを大事にしているのに、分かるでしょ！？

メイ

先生の言うことを、そのまま鵜呑みにしないでよ

カイ

信じられるわけないだろ！

カイ

お前のことを信じていたのに、虐待なんかしやがって

カイ

しかも俺の大事な娘を！

メイ

私が虐待なんかするわけないでしょう！

メイ

私だってアオイのことを大事にしているんだから

カイ

表面上は可愛がっているけど、陰で虐待していたんだな

カイ

もうお前にアオイを育てる権利はなくなったな

メイ

ちょっと、それ本気で言ってるの！？

メイ

アイ先生だけの証言で全部信じるの！？

カイ

お前は今後一切、アオイと保育園には関わるんじゃねえぞ

カイ

アオイは俺が実家に連れて帰るからな

メイ

そんな、勝手に決めないでよ！！

メイ

２人で話し合って誤解を解きましょうよ

カイ

そんなこと言っても暴力女の言うことは全然響かねえ！

カイ

お前とは今日限りで離婚、

カイ

アオイの親権もこれからは俺がとるから、ケチつけるんじゃねえぞ！

メイ

何で私の話を聞いてくれないのよ！！

メイ

話せば分かるって！！

カイ

話すだけ無駄だな

カイ

慰謝料と養育費も請求してやるからな

カイ

覚悟しとけ！！

～２日後～

アイ

アオイちゃんママ

アイ

あ、もう離婚して親権取られてママじゃなくなったんだねｗ

メイ

今度は何ですか？

メイ

親権を失った私とあなたは、もう関係ないと思いますが

アイ

やっぱりあなとのことが許せないから、慰謝料を払ってもらおうかしら？

メイ

何を言い出すかと思ったら…

メイ

あなたにお金を払う理由はないはずですが？

アイ

はあ！？

アイ

なあに、しらばっくれてんのよ！

アイ

保育園もあんたのせいで迷惑してたんだから

アイ

慰謝料でも請求しなくちゃいけないなあと思ってｗ

メイ

ほんとに保育園がそんなこと言うんですか！？

メイ

アイ先生の独断での考えではないんですか？

アイ

ほんっとに物分かりの悪い人だわね

アイ

保育園は今回のアオイちゃんの虐待の件で、散々迷惑したの

アイ

だから迷惑料って意味で500万払ってよね！！

メイ

冗談…ですよね…

メイ

一体どこからそんな話が…

アイ

アオイちゃんへの虐待の件は児童相談所にも通報したわ

アイ

著しく保育園の評判も下がったんだから、責任はとってよね！

メイ

そんな根拠のない話を信じれるわけないじゃないですか！

アイ

でもあなたは、それを確認する術はないでしょ？

アイ

親権取られて、保育園とは無縁になったんですから

アイ

今は私が中心で、あなたを訴えようと準備をしているところよ

メイ

本気なんですか？

アイ

もう証拠はそろっているわ

アイ

元旦那さんにも供述してもらおうかしら？

アイ

どっちにしろあなたの人生、これで終わりね

メイ

そっちがその気なら、こっちにも考えがあります

メイ

あなたの勝手にはさせませんから！

アイ

はいはい

アイ

あなたはもう勝ち目はないのよ

アイ

自分のしたことを一生悔いることね！

～１週間後～

アイ

メイさん！！

アイ

アオイちゃんがどこに行ったか知らない？

アイ

カイさんから連絡があったの

メイ

やっぱり連絡してこられると思いました

メイ

アオイは私と一緒にいますよ

アイ

どういうことですか？

アイ

あ！やっぱりあなたがアオイちゃんを連れ去ったのね！

アイ

誘拐犯は警察に通報してやる！

メイ

なに勝手な思い込みをされているんですか？

メイ

保育園から電話があって、私に引き取ってほしいと頼まれたんです

アイ

そんなわけないでしょ！

アイ

保育園の送り迎えは親権者であるカイさんがするんですよ

メイ

カイさんだなんて…

メイ

下の名前で呼ぶなんて、親密な関係がバレバレですよ

アイ

へ？

メイ

どうせ今も一緒にいるんですよね？

アイ

ちょっと…何言ってるんですか？

アイ

カイさんとは何も関係はありませんよ！

メイ

下の名前で呼んでいる時点で説得力ないんですが…

アイ

そんなのよくあることでしょ！？

アイ

保育士と保護者だって友人関係になることだってあるんですから

メイ

あなたたちはその一線を越えたってことね

メイ

自分の担当園児の父親と不倫関係になるなんて

メイ

保育士として最低ですね

アイ

あなたには分からないわ

アイ

アオイちゃんも私に懐いてくれているわよ

アイ

担任の先生が新しいお母さんだなんて、アオイちゃんも幸せでしょ？

メイ

勝手に他人の子どものことを判断しないでください！

アイ

ま、カイさんと結ばれた私もアオイちゃんの親権者なんだからね

アイ

さあ！早くアオイちゃんを返しなさいよ

アイ

いい加減にしないと警察に通報するわよ

メイ

アオイが私に全部話してくれたわよ

メイ

パパとアイ先生の関係やアイ先生から受ける虐待のことを

アイ

へ？

メイ

保育園でママの話をするたびに先生に怒鳴られたり叩かれたりした

メイ

ママは悪い人だから先生がママになるって言われた

メイ

これは全て、５歳児の子どもの心の叫びなんですよ！

アイ

ちょっと、なんかの間違いですって…

アイ

５歳の子どもはそんなこと言うわけないでしょ！？

アイ

アオイちゃんは何か勘違いをしているんでしょう

メイ

アオイはパパとアイ先生の関係を見たままを話してくれたのよ

メイ

子どもの頭にそれほど残るのは、かなりのショックだったに違いないわ！

アイ

子どもの告げ口程度を不倫の証拠にするのは無理があるでしょう！

アイ

そもそも私は虐待なんかしてないし

アイ

これ以上憶測でものを言うなら、あなたを名誉棄損で訴えますよ！

メイ

憶測なんかじゃありませんよ

メイ

保育園からの虐待の証拠もしっかり掴んでいるんです

アイ

え、どういうこと…？

メイ

あなた、児童相談所が調査に来たと言ってましたね？

アイ

ええ来たわよ

アイ

アオイちゃんへの虐待行為を調査するために、保育園が呼んだのよ

メイ

あれ？おかしいですね

アイ

何が？

メイ

今回の児童相談所の調査は、保育園の園長だけが呼んだようです

アイ

あなたに何でそんなこと知ってんのよ！

アイ

デタラメなんかじゃないでしょうね！

メイ

だって私が園長に直接お願いしたんですから

アイ

ウソでしょ…

メイ

ほんとですよ

メイ

自分の娘を含め、他の園児にもいじめ行為をしていたとは

メイ

それも他の保育士が見ていないところで、虐待行為なんて酷いもんです

アイ

ちょっと待ってよ！！

アイ

私はただ、言うことを聞かない子に注意していただけで

アイ

ちょっと叩いただけで虐待なんて言われたら

アイ

保育士として務まるわけないでしょ！？

メイ

それはただの言い訳です

メイ

どんなことがあっても子どもに暴力で言い聞かせるのは論外です

メイ

家族であっても保育園であっても一緒です

アイ

あなただけには言われたくないわね！

アイ

私が愛のムチとか言っておけば、虐待とは認められないわ

メイ

残念ながら、既に虐待行為であると認定されたようです

メイ

それに、保護者との不倫関係も露わになったのでね

メイ

よってあなたは保育園を解雇されることが決定しました

アイ

ウソよね…

メイ

自分のしてきたことの報いだと思います

メイ

私に責任をなすりつけて、更には家族までも壊した

メイ

自分が軽はずみでやってきた代償は、想像以上に重いということです

アイ

でも私にはカイさんが傍にいるのよ

アイ

アオイちゃんの親権もこっち持ってるんだから有利よ

アイ

あなたの好きにはさせないわ！！

メイ

実はアオイの親権は一時的な仮決定に過ぎないんです

メイ

アオイの意思、あなたとカイの関係を踏まえて

メイ

養育環境の良いほうに親権が決定する見込みです

アイ

じゃあ、アオイちゃんはカイさんで家族になるってことは…

メイ

当然ながらできません

メイ

ま、他人から奪ったもので幸せになろうということが間違いです

メイ

あなたとカイには慰謝料をきっちりと支払ってもらいますからね！

アイ

そんな…あまりにも酷い仕打ちよ

メイ

私とアオイが受けてきたことに比べれば、大したことはないでしょ？

メイ

ともかくあなたのことは、アオイも嫌いと言っていますので

メイ

金輪際、私たちには近づかないでくださいね！

アイ

ちょっと待ってよ！！

アイ

メイさん、許して！！

～後日談～

メイ

間もなくしてアイは保育園を解雇、

メイ

他の保護者達からも訴えられ、刑事事件にまでなってしまったようです。

メイ

一方、私はカイとの親権争うことになりましたが、

メイ

アオイの思い、不倫関係をくみ取ってもらい、私が親権を持つことになりました。

メイ

当然のことながら、アイとカイから慰謝料を請求、

メイ

２人は解雇や親権を取られてことにお互い仲が悪くなり、

メイ

別れてしまったようです。

メイ

私はシングルマザーになってしまいましたが、

メイ

アオイとの日々の生活を大切にしながら、過ごしていこうと思います。

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結城真矢

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