あの時、君はなんて言ってたの?
私のこと、どう思ってた?
好きだった瞬間はあった?
……全部、分かんないけど
もう少し、私に希望を くれても良かったのに
……なんてね
確かこれは、7年前の事
月也
翼の耳元に近づいて
聞こえない声で話す
翼
どうやら悪い事ではないようで
私の方を見つめる二人の目に 悪意はなさそうだった
月也
翼
……居ずらっ…w
小学二年生、初めての恋
あれから三年
あのことは今でも鮮明に覚えてる
もしかして「好き」とでも 言ったのかな、なんて
適当な妄想を胸に君を見る
隣の席
ちょっと、嬉しかったんだよ
君は反対の子と楽しそうに 話していた
翼
月也
翼
月也
月也
怜香
はっちゃけた月也の笑顔
少し照れた翼の顔
怜香
ノリで笑った
笑える事じゃないよ
翼が付き合ってるなんて 知りたくなかった
小学五年生、初めての失恋
司音
怜香
いつかの帰り道
大親友が痛いとこを突いてくる
司音
怜香
嘘だ
真っ先に翼の顔が浮かんだのに
なんで素直になれないんだろ…?
司音
鼻歌交じりで 私の少し前を歩かれる
怜香
司音
司音
薄ら笑いを浮かべた司音
怜香
つられて口元が綻ぶ私
どこか安心したのは気のせいだ
あれから何年が経ったっけ
中学に入って
君は生徒会にも入っちゃってさ
どんどん君は変わっていって
新しく彼女も出来たんだって?
聞いたよ、私の友達らしいね。
デートとか、行ったのかな…
なんて笑
司音
司音
怜香
優樹菜
司音
おどけた口調で司音が笑う
優樹菜
冗談めかした会話は 場の雰囲気を和ませた
怜香
この笑顔に嘘はない
だけど
胸のどこかが痛い
優樹菜
司音
痛みの糸口を探しているうちに 別れ道
適当に手を振って二人と別れた
あー…今日も疲れた。
なんで5日も学校 行かなきゃならないんだろ。
2日だけの休みとか理不尽すぎる…
薄暗く、街灯が帰路を照らした
薄っすらと星も光り始めたみたい。
空には無数の光が灯り始めていた
怜香
上弦の月が浮かぶ空
私の傷んだ気持ちを 癒やしてくれるように綺麗で
思わず見とれてしまった
翼
翼
怜香
声が聞こえて振り向くと 自転車に乗った翼がいたのだ
塾帰りかな…ラッキー…
未だにこんなことを 思う自分に嫌気が差した
怜香
そのまま自転車から降りた翼に 問いかける
やっぱり私、翼と話したくて たまらないな
翼
薄く笑って答える君
変わんないな、その笑顔。
怜香
翼
怜香
わざと意地悪っぽく言ってみせた
この感じ、久しぶりだな
最近クラスも離れて あまり話さなくなってたから
翼
翼
怜香
冗談のつもりだったのに
君は真顔で頷いてた
そっか…
今どきの中学生恋愛って そんな感じなんだね
翼
怜香
翼
怜香
なに、その真剣そうな顔
彼女いるくせに。
なんで私の好きな人を 聞こうとするの?
期待しちゃうバカな 私がいるからやめてよ……笑
怜香
今は、なんて嘘だよ
翼
前、なんていないよ
今も昔も、好きなのは ずっと翼だったんだよ
怜香
無言で頷く翼
そっか。
君が言うなら仕方ないな…
怜香
怜香
翼
困惑した君の顔
そういうとこ、ズルいね
2回も言わせないでよ……笑
怜香
翼
翼
怜香
申し訳なさそうな 君の顔なんて見たくなかった
ただ、君が笑ってるだけで 幸せだったの
怜香
怜香
精一杯の笑顔を浮かべたつもり。
翼に、伝わったかな……?
翼
翼
ふざけて笑ってる君
その笑顔に、まだ胸が高鳴る 私にイライラする
私ってば、馬鹿だな
やっぱり私、翼が好きだ。
他の誰でもない、 君が好きなんだよ
怜香
いいタイミングで別れ道がくる
熱くなった目頭を 冷ましたかったから丁度いいね
翼
手を振って別れて
トボトボと家への坂道を 歩き出した
怜香
俯き加減に呟いた声は コンクリートに吸い込まれて
振り返ったら
まだ走れば届く距離に君がいて
でも、君の隣に居ていい人は もう決まってて
どうしようもない事実に 視界が滲んだ
変わんないね、この気持ち
鬱陶しいね、この気持ち
約7年続いたこの気持ちは すぐに消えそうにないから
ごめんね、 まだ好きでいていいですか。
コメント
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似たような経験を今もしてるのですごく気持ちわかります。切ない恋ですね…。すっごく共感しました。
主人公の心情が丁寧に描かれていて、涙を誘うような作品でした。 好きな人には彼女がいて、自分はただの友達で。 本当によくあることですが、やっぱり切ないですよね...
菜月の作品で一二を争っちゃうくらい好きなんやけど……!? うぅぅぅぅ……好きィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ……( º﹃º` )