やっぱり雨は降るんだね

俺の家はおかしい

そんなことなんて、ずっとずっと分かってた

でも、下手なこと言って友達と関係を離されるより、今は言うことを聞いておいたほうがいいと思ったんや

母さんが狂ったのは、ある夏の日だった

このころは幸せだったな

祝日はいつもみんなで出かけて

母さんも今みたいな性格じゃなくて

毎日が楽しかった

でも

ききーｯ

ﾄﾞﾝｯ

信号無視の車に引き逃げされてしまった

母さんのお腹の中には赤ちゃんがいて

俺は焦って救急車を呼んだ

母さん達が病院に搬送された

しばらくたっても二人は起きなくて、そこでそのまま眠ってしまった

母の叫び声で俺は目を覚ました

それに気づいた母さんが、振り向いて優しく言った

母さんの目には涙がうかんでいた

でも、俺が父さんのことを話題に出すと、冷たくこう言い放った

そんなはずない

ずっと、二人は仲良しで…

それで…

本当に母さん…？

その目は狂気で満ちあふれていた

さっきまで我が子のために涙を流していた人とは、思えないほどに

この人は、誰？

俺の母さんや…でも

ｷﾞｭｯ

母さんからは、いつもと同じりんどうのような香りがした

この人は母さんだなんて、しんじられへんけど

本当なんやって

現実は甘くないんやなって

この日、実感した

その日から、母さんは俺に依存した

気持ち悪かった

…でもやめてって言えなかった

俺が母さんを否定したら、母さんは…

考えるほど、怖くなって

断れなくなって…

父さんが退院してからも、母さんは父さんをいない物扱い

こんな人生、無駄なんじゃないかって思った

でも、そんな時、仏が俺に告白してきた

俺にとっては救いやった

これは本心

あの母さんのせいで恋愛はしたことなかったけど

仏のことは、ちゃんと好きって思えた

…なのに

急に｢別れよう｣って言われて

嫌だって言いたかった

でも、そんなこと言いながら泣きそうになりながら震える仏を見て

別れてあげようって思った

仏の家も、訳ありっぽいし

このまま付き合っておいて、俺が母さんにばれたら大変だし

…そしてなによりも、仏に迷惑かけたくなかった

大好きやで、仏

…でもさ、俺は嘘をつくのが得意なんや

だから、今日から大嫌い

だから今日から

｢ビジネス不仲｣

やな

五年後

俺は歌い手に誘われた

なぜかそこに仏もいて

でも、あんなこと掘り返したくなかったから、違う年齢を言った

背が高かったから、バレへんかったけどw

仏もちゃんと分かってて、俺に話しかけにきた

だから、俺は言った

｢ビジネス不仲でいよう｣

｢また近づいて、あの頃のこと思い出しても気まずいやん？w｣

｢後、元々知り合いだったのは秘密な｣

気まずいからなんて嘘

近づいたら、また好きになる

俺は、嘘をつくのが得意やからw

ほら、好きの気持ちなんて押し○して、

今日も笑って

ほら、な

上手に笑えてるやろ？