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みお
1,336
#yaur
みか
12,269
うり
俺は一つため息をついた
鏡に映る自分の首元を、指先でそっそとなぞる
昨日、裏口でゆあんくんにつけられた鮮やかな痕が
部屋の明かりに照らされて激しく主張していた
今使ったコンシーラーだけじゃ、どうにも隠しきれないようだ
うり
引き出しの奥をガサゴソと漁る
すると、上品な黒いレザーのチョーカーが出てきた
うり
うり
俺はそのチョーカーを首に巻きつける
うり
うり
首を少し締め付ける感覚が窮屈で、少し苦しく感じる
でも、大好きな仲間たちにあの秘密がバレるよりはずっとマシだ
休憩室を出て、薄暗い廊下を歩いていく
フロアに近づいていくたびに、にぎやかな声が少しずつ大きくハッキリと聞こえてきた
フロアの扉に手をかけると、一つ深く息を吸い込む
うり
そういつものように自分に言い聞かせると、俺は賑やかなフロアの扉を開けた
じゃぱぱ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
うり
うり
うり
うり
うり
ヒロ
なおきり
たっつん
じゃぱぱ
たっつん
仲間たちの無邪気な言葉に、胸がチクリと痛む
冷や汗が背中を伝うのを感じながら、俺はその場から離れようと
自分のテーブルに向こうとした
その時、ポケットに入れていたスマホが短く震える
画面にはゆあんくんのメッセージが表示されていて
『今、裏口にいる。すぐ来て』
うり
昨日あれだけのことをしておいて、また来るのか……
まぁ、そうか
そうだよなぁ……
うり
もふ
資料を手にしていたもふが不思議そうにこちらを見る
うり
うり
うり
うり
うり
もふ
うり
もふ
もふ
うり
うり
もふ
もふ
うり
うり
そう言い残して、俺は裏口へと向かっていく
もふくんに心配をかけさせてしまったのは申し訳ないけれど
これは大事なVIP客の要望だ
……俺には、従う以外の選択肢がないから
バタン、と静かに裏口の扉が閉まる
涼しい風がいつもより冷たく感じた
いつもの道を歩くと、仲間に今は隠さなくてもいい安心と
これから来る恐怖心が混ざり合ってなんだか複雑な気持ちになってしまう
うり
そんな気持ちを振り払おうと頭を左右に軽く降る
そして深く空気を吸うと、近くに一台の車が止まっているのが見えた
俺はゆっくりと歩み寄り
重厚な助手席のドアを開けて中に滑り込んだ
運転席の方を見ると、そこにはいつもよりも少し満足げな笑みを浮かべたゆあんくんがいた
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
昨日、あれほどやってきた男と同一人物とは思えないほど和やかで
それがまた無性にイラついてくる
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
そう平常を偽って話す
けれど、やっぱり内心は彼の隣にいるだけで怖い
心音が大きく聞こえて、それをおさえるので精一杯だ
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
目的地である彼の高級マンションへ向かって、車が静かに走り出す
窓の外を流れていく夜のネオンを見つめながら、俺は首元のチョーカーにそっと触れる
息苦しさ
この苦しさだけが、自分が今ちゃんとここにいると知らせてくれているようだった
車が静かに走り出してから数十分
やっと、マンションの最上階にある薄暗い部屋へと足を踏み入れた
ドアが閉まった瞬間、部屋が静寂に包まれる
俺は荷物を置くためにリビングのソファへと向かう
ゆあんくんはジャケットを脱いで自室へ向かっていくのが見えた
大きなソファの背もたれに上着をかけ、体をあずける
少しすると、リビングの扉が開いてゆあんくんがゆっくりと俺の目の前まで歩み寄ってきた
そして、俺の首元に巻かれた黒いレザーのチョーカーに目を留める
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
妖艶に笑うゆあんくんは、その綺麗な指先を俺へと伸ばしてきて
俺の首元のチョーカーに触れようと近づいてくる
たったそれだけの動作のはずなのに
うり
昨日のことがフラッシュバックして、体がまた強張ってしまう
また酷いことをされるのだろうか?
そして、また仲間に隠さないといけないのだろうか?
まだ秘密を隠すのはいい
けれど、仲間に心配をかけさせたくない
……嫌だ、
うり
こっちに近づいてくるな
うり
バチンッッ!!!
静まり返った部屋に、俺がゆあんくんの手を激しく跳ね除ける音が大きく響き渡る
ゆあんくん
うり
うり
自分でも驚くほどの力で拒絶してしまった
そのまま俺は自分の両肩を抱きしめるようにして、ソファの端へと後ずさる
心臓が壊れたような速さで脈打ち、冷や汗が一気に吹き出していく
呼吸が上手くできなくて、酸素が少し足りなくて
チョーカーと相まってさらに息苦しい
視界が涙でじわじわと滲んでいく
うり
うり
相手は自分を支えてくれているVIP客なのに、
怒らせてしまっては、お店がどうなるかなんて考えたくもない
そう頭では分かっている
分かっているけれど
彼がまた近づいてきたら、恐怖で叫びだしてしまいそうだ
一方、手を強くたたかれたゆあんくんはしばらく微動だにせず
赤くなった自分の甲を静かに見つめていた
顔が俯いているから、こちらからは表情が読めなくて
それがさらに恐怖心を掻き立ててしまう
ゆあんくん
なにもしゃべらない
けれど、それがまた怖い
せめてまだ何かしら言ってくれる方がマシだ
うり
かすれた声で、彼の名前を恐る恐る呼ぶ
やはり怒ってしまったのだろうか、
それとも、呆れられてしまったのか
けれど、ゆっくりと顔をあげた彼の顔を見ると、思わず息を呑んでしまった
うり
そこにいたのは、怒っている顔ではなかった
涙が今にもこぼれ落ちそうなほど、絶望に濁った瞳
まるで大切なものを一瞬で失ったような表情
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくんは震える手をゆっくりと引き、それ以上俺に近づこうとはしなかった
自ら向かい側の一人用のソファに座り、静かに距離を置く
部屋を支配する冷え切った静寂が、
俺たちの間にある『壁』を、歪んだ形で浮き彫りにしていく
うり
そんなに傷ついた顔をするのだろう
だって、
うり
うり
ゆあんくんはこちらを見ないまま
テーブルの上に、高額な値段が書かれている小切手を静かに置いた
ゆあんくん
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
その声はひどく掠れていて、今にも泣き出しそうだった
俺は震える手で、テーブルの上の小切手をそっと受け取る
そして、背中を向けて自室へ行ってしまったゆあんくんの姿を
ただじっと見つめることしかできなかった
コメント
2件
最高です(ToT)....urりんの気持ちわかるけどyaくんの気持ちもわかるのが逆にやばい.....
読了しました……。 この話、すごく重かったです。うりの「触るな!!」のところ、声に出して読んじゃうくらいキました……🥀 あの拒絶のあと、ゆあんくんの顔が絶望してて、逆にこっちが苦しくなりました。“そんなに俺が怖いの?”って……なんであんたが泣くんだよって、複雑な気持ちになったけど、その脆さがまた心に刺さります。 チョーカーで痕を隠す描写、すごく象徴的だなって思いました。 次が気になる……🌙