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ころさな
紫煙
紫煙
紫煙
LAN
雨乃こさめ
LAN
紫煙
紫煙
紫煙
沈黙。 数えれば少しの間だったであろうそれは、こさめにとってはとても長い時間に感じられた。
LAN
雨乃こさめ
通話越しのらんくんは、少し考えているようだった。 真剣に受け止めてくれているのだろう。
早く教えてほしい気持ちもあるが、聞くのが怖い気持ちもある。 緊張してうるさい心臓を抱えながら、こさめはひたすららんくんの返事を待った。
__送った歌のテイクの、感想を。
歌の話かい!! と思った方、残念でした。 今この場のこさめとらんくんは、ただの仲間である!!!
そう。凄く、すっっごく残念なことに、別に恋仲ではないのだ。 本当に、残念極まりない。
……何故こさめがこんなに残念がっているかというと、こさめはこのリーダーのことが、恋愛的に好きだからだ。 真剣にメンバーを引っ張ってくれる顔とか。 優しく気遣ってくれる細やかなところとか。
雨乃こさめ
そう、まだ片思い。 らんくんを想う気持ちは強いつもりだが、成就するまではまだ遠そうなのだ。
こさめとて日々の地道なアピールは欠かしていないつもりだが、この鈍感リーダーは微塵も気づく様子がない。 気づいても、ふざける流れだと思ってノってくるか、はいはいリスナー向けのファンサね〜、と流される。
もう無駄かもしれないとはうっすら思っているが、それでもらんくんに想いを寄せることはやめられない。 そのままかれこれ数ヶ月、秘めた恋心を抱いたままだ。
雨乃こさめ
……でも、もし想いを伝えて、それが叶わなかったら。 らんくんにとって、こさめが本当にただのメンバーでしかなかったら。 傷つかない自信がないし、そう思うと勇気も出ない。
雨乃こさめ
気が滅入るのを感じ、これ以上はよくないな、と意識を切り替えた。
今は、こさめが録った歌ってみたの音源を、らんくんに聞いてもらっているところだ。 歌っている曲は最近流行っていて、サビの前にセリフが入っているもの。
この曲をらんくんが歌っていたのは、ショート動画か、配信だっただろうか。 とにかく、それを見て、自分も歌いたいと思ったのだ。
だから、こさめが一度録った音源に、この曲を歌いこなしていたらんくんからアドバイスをもらうことにした。 セリフ系は元声優であるらんくんの専門分野なので、相談先にはうってつけだ。
そう思って折を見て相談したのだが、音源を聞き終えたらんくんは黙ってしまった。 真剣なのはわかるが、待たされるこっちはドキドキである。
無意識に、ぴんと背筋を正して言葉を待つ。 すると、長考の末、ついにらんくんのアイコンが光った。
褒めてくれるだろうか、と少し期待する。 そして、実際にらんくんが言ってきたのは。
LAN
雨乃こさめ
セ ク シ ー に い け る !? 衝撃の感想である。
確かに、曲の雰囲気はお洒落で、セクシー系も似合うだろう。作品づくりとしては納得のアドバイスだ。 だが、それはそれとして、感情面で受け入れられるかどうかは別だった。
セクシー!? え、セクシーってなに!? こさめにセクシーな声を出せと!? しかもそれを、らんくんに聞かせるってこと!?
らんくんに恋している身としては、中々ハードルが高い要求である。 それに、普段のこさめのイメージともかなり違う。 普段やらない方向性という、単純な難易度の問題もあるのだ。
頭の中はぐるぐるとパニック状態である。
雨乃こさめ
冷静に受け止めようとしても、『セクシー』という単語に引っ張られてうまくいかない。 え、だってセクシー……???
だが、らんくんは、本気で言ってくれていたようで。
LAN
全力で言い返された。 こさめの実力を信じてくれるのはありがたいが、今ばかりはちょっと困ってしまう。
第一、いつものこさめが『思うようにやる』と、ふざけたりかわいこぶる方向に寄る。 セクシーにしようとカッコつけても、誇張した吐息厨みたいになるだけだと思う。
雨乃こさめ
できる気がしなくて、がっくりと肩を落とす。 根性論でセクシーになれるなら、とっくになっとるわ!!(?)
雨乃こさめ
……でも。でもさぁ。 『できる』と言われてしまった以上、簡単に諦めるのは癪だ。 これでも、こさめもプロの歌い手なのだ。
難しさは、凄く感じるけれど。 らんくんがそれが良いと言うのなら、挑戦だけはしてみよう。
雨乃こさめ
ちらり、とらんくんのアイコンを見る。 ……らんくんは、こさめのセクシーなセリフを、喜んでくれるのかもしれない。
勿論、ただ作品をより良くするためだけに言ってくれた可能性もある。 だが、セクシーなのが、らんくんの好みなのだとしたら。
雨乃こさめ
こんなときですら期待してしまう自分に、少し呆れる。 だが、恋とは、簡単に諦められるものじゃないのだ。
今はまだ、この恋心に振り回されてばかりだけど。
雨乃こさめ
その秘密の決意を抱えて、もう一度、マイクを手に取った。
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙
紫煙