綺麗事

家に着いた

いつも帰るだけで時間がかかる

でもここまで来たら 夜まで我慢すればいいだけ

ガチャ（扉開）

僕が2番目に嫌いな時間

親と話すこと

常に気を遣わなきゃいけないし

『いいよ』って了解してから 独り言みたいに言うの

バタン、（扉閉）

僕はママがあんなふうに 言う理由が分かる

子供を自由に させてあげたい

これが表だから 最初は了解する

だけど本当の気持ちは、、

自分の思い通りに 子供（僕）を動かしたい

だから独り言みたいに 付け足すの

ママの言葉を 文字だけにするとね

すごい良いお母さんに 見えるんです

でもこれを、適当に 捉えてはいけない

ママが欲しかった言葉は これだから

早く夜が来ますように

ご飯を食べ終わったら 12時までは勉強する

そうしないと受験に 間に合わないから

こうやって何時間か 勉強してると

気づいたら時間が経ってて

家の中が静かになってくる

ふと、時計を見た

時計の針は10時半を 指している

今から、僕が一番 嫌いな時間が始まる

それと同時に

一番自由になれる時間が始まった

カタン、

机の上に置くと響く、硬い音

これを見ると安心する

柄の部分を強く握るだけで

鼓動が早まる

ｼｭｯ､ﾊﾟｯ､!

ｼｭｰ､ﾊﾟｯｯ、ﾎﾟﾀﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

ｼｭｰｰｯ、ｼｭｰｰｯｯ

心に広がる開放感

こんなことでしか 快感を得られなくなった

ほんとはね、こんなに 弱くありたくないの

プライドがズタズタになるの

だからこれは、一番嫌いで 一番大好きな時間