消えた記憶と彼の温もり

直弥の言葉を聞いた時俺は耳を疑った 聞き間違えをしているんじゃないかって＿＿＿

直弥の口から"ワンエンオンリー"が出てくるとは思ってなかった

記憶はなくても心が覚えてるみたいなやつかな

俺は少し迷った 直弥が記憶を失ったのはこの仕事をしていたから もし思い出してトラウマが蘇ったりしたら直弥が傷つく＿＿＿

＿＿そう思ったけど本人が知りたがってるなら 教えた方が直弥の為だよね

俺はそれから直弥がグループでラップ&ダンサーなこと アーティスト活動以外にも俳優をやっていること 他にもいろいろ直弥のことで知っている情報をすべて話した

明日はワンチャンの撮影をする予定が入ってる

けど直弥に無理はさせたくないし辛い思いはもうしてほしくない

直弥はそのまま黙ってしまった＿＿＿

どうしよう...颯斗が明日撮影に行くか聞いてくれたけど 俺は何も答えられずにいた

颯斗は優しい 優しすぎるんだよほんとに心配になるくらい他人を気遣う

もう颯斗に迷惑はかけたくない

颯斗はいつも他人優先で自分の事なんて後回しに考える 振り入れの時も中心に動いてMV撮影の時もみんなに指示をだす

あれ

振り入れ？MV撮影？俺なんの事言ってるんだ...？

そもそも颯斗ってどこで知り合って...

初めて知った 俺たちが7年以上一緒に居ることを だからだ颯斗には何でも言える雰囲気がある

俺は驚いた颯斗より長い付き合いの人が居るってことに

10年も一緒に居るはずなのに忘れちゃうなんて＿＿

明日メンバーの人に会って顔を見たら思い出すかもしれない

そうして颯斗との時間は終わり明日に向けて 俺は準備をすることにした＿＿＿

俺は家に帰ってきて真っ先に自分のベットに飛び込んだ

俺は＿＿に連絡するか迷った

ﾊﾞﾝ !!

勢いよく扉が開いたかと思ったら弟の楓弥だった

"直弥の家に居た"なんて言えるはずがない 最近直弥がおかしかったことをふみを知っている

別に言っても大丈夫だと思うけど ふみのことだからそっから色々気になっちゃうと思う

今度...それが通じるだろうか 直弥がまた前みたいにみんなと接することが出来るだろうか 俺はそれが不安だった

ﾍﾞｼｯ

ﾍﾞｼｯ

ﾊﾞｼﾊﾞｼ

さっきまでずっと悩んでいたけどふみのおかげで元気が出た笑

あー良かった 直弥のことそんなに重く考えなくていいのかなって

なんだか少し気持ちが軽くなった気がする とりあえずまた明日考えよう＿＿

そして俺は目を閉じた＿＿＿

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ

アラームの音で俺は目を覚ます

直弥を迎えに行くため準備をし俺は家を出る

朝からふみは元気だ

そして直弥を迎えに行く

颯斗が迎えに来るから早く支度をする

颯斗がいるけど俺は不安な気持ちで心がいっぱいだ

髪の毛をセットし服を着て準備をしていると颯斗が来た

誰かに返されることはないって分かっているはずなのに 俺はこの言葉を口にしてしまう...癖ってやつかな

外に出て景色を見るのがなんだか久しぶりに感じる

そう言って颯斗は俺の手を握ってくれた

俺と颯斗の名前が呼ばれた気がして振り返る そこにはあの写真に写ってた人 颯斗が＿＿と呼んでいた人が居た

そうこの人の名前はワンエンオンリーのメンバー＿＿＿＿