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その夜も、その次の夜も、 雪だるまは夢に出てきて走り回った。
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
雪だるま
菜々子(ななこ)
雪だるまを捕まえようとするが、 上手くいかない。 以外と足が速いのだ。そのうち、へとへとになって 夢の中で眠るという器用なことをしていたら目が覚める。
菜々子(ななこ)
朝になるとやっぱり、雪だるまは まわりに積もっている雪より早く溶けていた。
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
私は夢の中で必死になって雪だるまに訴えたが 雪だるまは少し悲しそうな顔をして 一生懸命走り続けた。
ここまで来ると 自分から早く溶けようとしてるとしか思えない…
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
雪だるま
私と雪だるまの攻防は そのあともそのまたそのあともずっと続いた。
菜々子(ななこ)
ベランダの雪がなくなったら、庭の雪。 それもなくなったらかき氷機を引っ張り出してきて 氷を削り、溶けた部分を補強した。 親にこんなものをいれるな!と怒られながら、 雪だるまを冷凍庫に入れて粘った。
そうこうするうちに、1ヶ月がたった。
ついにこの日が来てしまった。 前夜の夢での雪だるまは、崩れかけた顔の中で ボタンの目を細め、小枝の手を嬉しそうに振っていた。 その格好のまま、体の下の方から水になっていったのだ。
雪だるま
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
目が覚めて、冷凍庫の中を見ると 絶望した。
雪だるまは完全に溶けていたのだ。
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
溶けてしまった雪だるまの残骸を私は 泣きながら拾い集めた。
小枝、ボタン、毛糸、それから……
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
小さく折りたたまれた紙を見つけた。 なんだろうと思い、広げると、字がすっかり にじんでいて見えない。
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
きっと雪だるまは自分の中に埋め込まれた紙を 早く見つけて欲しくて一生懸命溶けようとしたんだ…
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
私は高校入学で偶然、颯人に再開した。
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
菜々子(ななこ)
このくらいの仕返しは、許されるはずだ。
本当はあの手紙に 「好きです」 と書いてあったのが読めていたからだ。
颯人(はやと)
菜々子(ななこ)
颯人は真っ赤な顔で、頭をかきながら 深呼吸する颯人を、私もきっと真っ赤な顔で 颯人を見ていた。