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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

ギタリストさん

ギタリストさん
いわゆる陰キャな高校1年生
バンド担当ギター

ボーカルちゃん

ボーカルちゃん
明るく元気な高校1年生
バンド担当ギターボーカル

ベーシストさん

ベーシストさん
マイペースでギタリストさんからよくお金を借りる高校2年生
バンド担当ベース

ドラマーちゃん

ドラマーちゃん
ボーカルちゃんに負けないくらい陽気な高校2年生
バンド担当ドラム

これは、下北沢の とあるバンドで活躍する メンバー達のお話。

ドラマーちゃん

じゃあ今日もお疲れさまー
それじゃあ解散!!

ベーシストさん

ばいばい

ボーカルちゃん

またねー!

ギタリストさん

あっまっまた明日…!

ドラマーちゃん

ずっと思ってるけど

ドラマーちゃん

みんなほんとに演奏上手だなー

ドラマーちゃん

私ももっと演奏上手なら…

ドラマーちゃん

私はまだ自分での完璧に辿りついてないや

ドラマーちゃん

ドラマーちゃん

なんか自信なくなってきちゃった。

どれだけ私が上手くなくても

演奏がグダグダにならないために今日もいつものメンバーと共に息合わせをする

ドラマーちゃん

じゃあ行くよー!

と何度言っただろうか

そんな掛け声をあげていつものライブハウスでいつもの演奏をする

何回も、何回も打ってきた曲

どれだけ息合わせして 私一人だけでも、 計り知れない程長い時間 どれだけ打っても、 みんなみたいに上手くなれない

私、これからついていけるのかな?

どれだけ努力しても上達できない ドラマーでいいのかな

ドラマーちゃん

ハァ…ハァ…

ドラマーちゃん

おっお疲れさまー!

ボーカルちゃん

おつかれさまですー♪

ベーシストさん

ギタリスト、飲み物奢って

ギタリストさん

あっえっいやです…

演奏が終わったあとのそんな他愛もない 会話も

みんなと居れるこの時間はすごく嬉しい

でもね

私みたいな下手なドラマーよりも

上手なドラマーと変わったほうがいいんじゃないかっとも思ってしまう

ドラムやバンドのことで頭がいっぱいで

笑う暇なんて本当はない

でもそんなことでみんなに無駄な心配 かけたくないから作り笑顔を続ける

ギタリストさん

(ドラマーちゃん最近元気がないような)

ギタリストさん

(気のせいならいいけど)

どれだけドラムが上手くなくても 演奏のために、バンドの為にも息合わせしないといけないのは分かってる 分かってるんだよ、

でもなんかもう 私、疲れちゃった

ドラマーちゃん

今日も遅くなったね

ドラマーちゃん

みんな今日もお疲れ様♪
気をつけて帰ってね!
じゃあ解散!

ボーカルちゃん

みんなばいばーい!

ベーシストさん

じゃーねー

ギタリストさん

まっまたねー…

ギタリストさん

今日も遅くなっちゃった

ギタリストさん

いつもの事だけど…ヘヘ

…一つだけ気になることがある

やっぱりドラマーちゃんの 元気がない

何か悩んでることがあるのかな

心配だし気になる

でも聞いたらダメだったり逆に傷つけちゃったらどうしよう

 

 

こういう時って どう接したらいいんだろう

時は流れ数週間 ドラマーちゃんをみていない

店長さんにも話を聞いた 数週間前から家を開ける回数が一段と 多くなり元気もなかったようで

2日前からずっと帰ってきてないと 言っていた

遅めの反抗期だと思ってしまって いたみたいで凄く心配していた

心配するなんて当然だよね 店長さんが育ててきたと言ってもいいんだから

ボーカルちゃん

私不安だわ…

ボーカルちゃん

ドラマー先輩に何かあったらどうしよう…

ベーシストさん

ギタリストさん

ドラマー…いや

“虹夏ちゃん”が居ないと バンドが成り立たない

それに1番は

安否が心配

もし何か事件に巻き込まれてたら… 嫌な妄想だけが頭を往復する

ベーシストさん

ずっと連絡してるのに既読付かないんだよね…

ボーカルちゃん

私も何回も電話もかけましたし居そうな場所も探しました…

ボーカルちゃん

タイムズ下北沢第8ステーションも見に…

ギタリストさん

まっ万が一のことも…考えたら、捜索願をするしか…

ベーシストさん

やっぱりそうだよね…

ボーカルちゃん

ダメよ…考えたらもうネガティブな想像が止まらない…

ギタリストさん

ベーシストさん

ギタリストさん

わっ私も改めて周り探してみます…!

ベーシストさん

頼んだよ…”ぼっち”…

ボーカルちゃん

万が一のことも考えて
気をつけてよ…!”後藤さん”…!

結局言葉が詰まってこれ以上話すことができずことができず解散してしまった

この日は土砂降り

傘に当たる雨粒はバチバチと音を鳴らし 不安と一緒に私の耳を突き刺す

本当は真っ先に捜しに行きたいけど

もう夜も遅い

帰らないといけない

私の心の中は不安でいっぱいだった

連絡しても応答がないから尚更

少しでも気を緩めたら涙が溢れてきそうだ

 

ヴヴヴ

ギタリストさん

ケータイ?

誰からだろう

私は不安の中スマホを手に取り電源を入れる

え?

ドラマーちゃん?

私の胸がどんどんとドラムのように速く脈打ちだした

驚きで頭が真っ白だ

その一文が添えられた写真を見る

松ノ木児童遊園だ

咄嗟に足が動いた

運動神経が悪い私がこんなに走れることに自分でも驚いた

傘を落としてでも走った

ドラマーちゃんに会いたい一心で走った

走って、走って

生きた心地がしない

雨なんかどうだっていい ドラマーちゃんが一番心配だ

走っている時私はどんな顔をしていただろうか

顔がコンプレックスの私

普段ならお察しの通りだ

でも今はそんなこともどうだっていい

1秒でも早く公園に着きたい

どれほど走っただろう

やっと公園が見えてきた

髪もジャージも濡れてぐちゃぐちゃだ

でもそんなの気にしてられない

早くドラマーちゃんに

公園を覗くと

ブランコに座っている ドラマーちゃんがいた

いつも明るくて、優しくて 演奏も迫力があって素敵な

いつものあの子が

でもその綺麗な黄色の瞳は

空にぼんやりと輝く星のように

キラキラと震えていた

ドラマーちゃん

来てくれたんだね

行くに決まってる

ドラマーちゃん

わざわざありがとうね

やめてよ

そのありがとうは要らないんだよ

心配だったんだよ

ギタリストさん

ドラマーちゃッ…

上手く息が吸えない

あれだけ走ったから当然か

顔をあげると

私と同じぐらいに雨に濡れた貴方は

その瞳に沢山溜めた涙を拭ってこちらを見ていた

でも心なしか

ほんの少し、笑っているようにも見えた

泣き顔を押し殺して少しでも、 明るく振る舞おうとしているように

ドラマーちゃん

“ぼっちちゃん”はさ

ドラマーちゃん

私がバンドのドラマーでよかった…?

そんな事言わないでよ

“喜多ちゃん”も”リョウさん”も そんな事思ってないんだよ

思いたくもないよ

それぞれの個性があるからこその

“結束バンド”なんだから

と言いたいけど

あがり切った息が遮って上手く話せない

でもドラマーちゃんはこんな私を 落ち着くまで待ってくれた

気持ちを整えて私は言った

ギタリストさん

虹夏ちゃん以外のドラマーがいいなんて思ったこともありませんし思いたくもありません…!

ギタリストさん

あの時ここで私を連れて来てくれなかったら

ギタリストさん

私は…バンドなんて組めてなかったです…!

ギタリストさん

こんな私を受け入れてくれる、素敵なベーシスト、ギターボーカル、ドラマーがいて、

ギタリストさん

私というギターをここまで引っ張ってくれて…

ギタリストさん

こんな素敵なメンバーなのに…

ギタリストさん

私を引っ張ってくれたドラマーが居なくなるなんて絶対いやです…!!

私はそう話した

なんでかな

私の視界も揺れてよく見えないや

それでもこれだけは見えたよ

驚いて私を見つめるその目は

何かが決壊したかのように 涙が溢れていた

ドラマーちゃん

私、本当に幸せものだね…

ドラマーちゃん

だって

ドラマーちゃん

こんな素敵なことを言ってくれるメンバーとバンドできて

ドラマーちゃん

いろんな曲作れるんだもん…

ドラマーちゃん

私自信なくなってたけど、

ドラマーちゃん

また頑張れるよ

ドラマーちゃん

ありがとうね
“ギターヒーローさん”

私はここで貴方に 手を引いてもらったんだから、

今度は私が貴方の手を引く番です。

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