そこは、不思議な場所だった
何かあるのに、何も無いような
何も無いのに、何かあるような
それでいて、 どこか懐かしいと感じるのだから
僕がどうかしたのかもしれない
彼方者エレベーター No.1
山川優斗の場合
僕は死んだハズだった
死に方は...なんとなく憶えていて
確か飛び降りだった...と思う
なのに...なぜ
エレベーターの前にいるのだろう
扉は開いたままで 階数表示は21階まであった
山川 優斗
恐る恐る隣を見れば 他に何台も エレベーターが並んでいる
山川 優斗
山川 優斗
なんとなく 高い方に行きたくて
手を伸ばした
山川 優斗
バチッと音がして
僕の身体は 見えない何かに弾かれたように
そのエレベーターから遠ざかる
???
???
山川 優斗
不思議な質量を持った声が 隣から聞こえてきて
咄嗟に後ずさる
誰もいなかったハズの空間に 仮面を付けた男性が立っていた
山川 優斗
???
???
???
山川 優斗
案内人
案内人
案内人
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
山川 優斗
案内人
案内人
山川 優斗
案内人
背中に手を添えられて 押し込まれた?エレベーターは
外で見ていたよりも広くて
...それどころか ソファまであって
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
なんでか、と尋ねられれば 答えに惑ったかもしれない
なんとなく、 思い出が強かったから
あの頃の自分の周りには 常に誰かがいて
温かかったのを憶えている
山川優斗(小学6年)
山川優斗(小学6年)
案内人
山川 優斗
山川 優斗
伸ばしかけた手を、 案内人は掴んだ
案内人
山川 優斗
案内人
これは過去、これは過去...
案内人の言葉が 頭をグルグルと回る
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
案内人
漏れるのは 引きつったような笑い声だった
山川 優斗
そう言わないと 過去の映像に縋りたくなって
つい、強がりを言った
案内人
案内人
優斗母
山川優斗(中学2年)
山川優斗(中学2年)
山川優斗(中学2年)
山川優斗(中学2年)
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
仮面の下の瞳は分からない
ただ、スっと細められた気がした
山川優斗(19歳)
山川優斗(19歳)
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
案内人
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
手を伸ばし、 真奈美に触れようとした瞬間
バチッと音がして 体が大きくはね飛ばされる
案内人
案内人
案内人
山川 優斗
山川 優斗
グッと肩を掴まれて ふと我に返る
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
案内人
案内人
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
案内人
案内人
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
案内人
案内人
山川 優斗
案内人
案内人
(偽りの静止した過去を開けよ)
突如、今まで見ていた過去に 黒い渦が現れた
山川 優斗
案内人
案内人
山川 優斗
案内人
山川 優斗
案内人
案内人
山川 優斗
山川 優斗
山川 優斗
礼をして 渦の中に足を踏み入れる
奇妙な感覚に惑いながらも 身体の半分を入れた時
案内人
ガシャン
山川 優斗
案内人の声と共に エレベーターの扉が閉まった
閉まった扉は、 既に歪み始めていた
つまりそれは もう二度と扉が開くことは無い
それを意味していると、 知っている
案内人
案内人
案内人
案内人
パチン
指を鳴らすと
すぅ、と音もなく 扉が消えていく
案内人
案内人
彼方者エレベーター No.1
山川優斗の場合 完