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奏
ダンボールだらけの部屋に、ようやく風が通った
引越しから3日目。まだカーテンも届いていない。
それでも、少しずつ「ここで生きていくんだ。」って
実感が湧いてきた。
お母さん
奏
お母さん
お母さん
奏
お母さん
奏
お母さん
お母さん
奏
奏
奏
奏
住宅街の一角。
古くも新しくもない。
けれどどこか落ち着いた雰囲気の並び。
奏
奏
いくつかの家を回り、丁寧に頭を下げて
お菓子を手渡ししていく。
最後の一軒は、少し塀が高くて、静かな雰囲気だった。
奏
そう呟いてから、私はインターホンを押した。
……返事がない。
もう一度押してみても、やっぱり無反応
誰もいないのかな、そう思って、小さな溜息をついた時。
沙希
突然、背後からかけられた声に、
私はビクッとして振り返った
奏
沙希
そこに居たのは、
思わず見惚れてしまうような
綺麗な顔立ちの女の子だった。
細い指先で髪を耳にかけながら、困ったように笑ってる
年齢は……多分、同い年くらい?
奏
奏
慌てて袋を差し出すと、女の子は
ほんの少し驚いたように目を見開いて、
それから──
どこか切ないような、それでも柔らかい
そんな笑みを浮かべた
沙希
沙希
その声はとても静かで
雨が降る前の空みたいに透き通っていた。