テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

放課後

夕日がグラウンドを照らす

寺本 詩

ん…あれ?

寺本 詩(てらもと うた)

高校2年生、サッカー部マネージャー

選手がグラウンドで走り回る中ドリンクを作る

寺本 詩

これ誰のボトル?名前が滲んで消えちゃってる

ビューッ

寺本 詩

わっ…!

突然の強い風に記録用紙が舞い上がる

寺本 詩

あ、やばいっ!

寺本 詩

ま、待ってっ…!

寺本 詩

(うぅ、届かない…)

ビューン

寺本 詩

う、待てっ!

寺本 詩

(あ、届きそう…っ!)

寺本 詩

うぅー、届け!

ドンッ

寺本 詩

わっ…!

体が何かにぶつかりよろける

黒崎 蓮斗

って…

寺本 詩

わ、わ、せ、先輩っ…!

目の前には

黒崎蓮斗(くろさき れんと)

一つ上の先輩でサッカー部のエース

女子の間では"学校1のイケメン"と呼ばれている

黒崎 蓮斗

…おい、前見ろよ

寺本 詩

ご、ごめんなさいっ!

寺本 詩

ほんっとうにすみませんでした!!

黒崎 蓮斗

突っ込んでこられんのマジ迷惑

黒崎 蓮斗

マネージャーなんだから選手の邪魔すんな

寺本 詩

…っ、はい…

寺本 詩

(うぅ、めちゃくちゃ怖い先輩怒らせてしまった…)

黒崎 蓮斗

これだろ

寺本 詩

、あ!

黒崎先輩の手には記録用紙が

寺本 詩

あ、ありがとうございます!

黒崎 蓮斗

走るんなら周り見ろ

黒崎 蓮斗

練習の邪魔、すんなよ

そう言い放ち練習に戻っていく

寺本 詩

(うぅ、怖かった)

寺本 詩

(でも、これは完全に私のミスだし…)

寺本 詩

(ほんと、周り見れてないなぁ)

寺本 詩

(これからは気をつけないと)

数分後

岡本 大輝

詩!わりぃドリンクくれ!

岡本 大輝(おかもと だいき)

同い年の幼馴染でサッカー部員

寺本 詩

大輝、お疲れ様

寺本 詩

はい、これ…

岡本 大輝

さんきゅ!

岡本 大輝

…なんか元気なくね?

岡本 大輝

どした?

寺本 詩

いや、ちょっとうまくいかなくて…

岡本 大輝

もしかして、さっき蓮斗先輩とぶつかってたやつ?

寺本 詩

うぅ、見てたの?

岡本 大輝

まぁな

岡本 大輝

で、なんか言われた?

寺本 詩

"マジ迷惑"って

寺本 詩

あと"邪魔すんな"とか

岡本 大輝

うわ、めっちゃ直球笑

寺本 詩

怖かった…でも全部私が悪いし

岡本 大輝

まぁそうだな、お前周り見ずに走り回ってたもんなー

寺本 詩

わ、悪かったと思ってるって!

寺本 詩

でもやっぱりあんな顔してこんなこと言われたらビビっちゃうよ〜

岡本 大輝

あー、でも蓮斗先輩、いつもあんな感じだからさ

岡本 大輝

特別怒ってるっていうよりか普通に注意しただけって感じだけどな

寺本 詩

え、そうなの?

岡本 大輝

うん。あんま感情表に出さない人だからあれが通常運転だよ

寺本 詩

いつも、あんな感じなんだ…

奥でリフティングをする先輩が目に入る

寺本 詩

(通常運転…か)

寺本 詩

(いやでもあれが通常ならなおさら怖い…)

寺本 詩

(これからは気に障ることはしないようにしないと…)

数日後

寺本 詩

(準備体操が終わったあとは…そうだ、給水!)

寺本 詩

(クーラーボックス持ってこないと…)

重いクーラーボックスを持ち運ぶ

寺本 詩

(はぁ、重っ)

寺本 詩

(クーラーボックスを運ぶ時が1番しんどいんだよなぁ)

寺本 詩

(でも今の時期氷がないと絶対大変だからな…)

寺本 詩

(指、ちぎれそう…)

寺本 詩

(これ運ぶだけで汗だくなんだけど!!)

黒崎 蓮斗

ーおい、落とすぞ

後ろから声が聞こえて振り返る

寺本 詩

く、黒崎先輩っ…!?

黒崎 蓮斗

お前見てて危なっかしすぎ

黒崎 蓮斗

周り見ねぇで突っ込んでくるし、今日は持ち方バランス悪すぎて落としそうだし

寺本 詩

す、すみません…

寺本 詩

(うぅ、また黒崎先輩に愛想尽かされちゃう〜)

黒崎 蓮斗

…貸して、それ

寺本 詩

え、でも…

黒崎 蓮斗

いいから。見てて余計めんどくさくなる

寺本 詩

…っ!

寺本 詩

は、はい…

黒崎先輩がクーラーボックスを軽々持ち上げる

寺本 詩

あ、ありがとうございます

黒崎 蓮斗

行くぞ

寺本 詩

あ、はいっ

無言のまま歩いていく先輩の後ろについていく

寺本 詩

…あの、

黒崎 蓮斗

…何

寺本 詩

私、今は先輩に迷惑かけてばっかりですけど、もっと自分で動けるようになりますから…!

寺本 詩

少しずつ、頑張りますので見捨てないでください…

黒崎 蓮斗

…別に、責めてるつもりはないから

寺本 詩

え?

黒崎 蓮斗

お前がドジなことくらい見てればわかるし

黒崎 蓮斗

無理して怪我される方が迷惑だから

寺本 詩

…へ?

黒崎 蓮斗

重かったら呼べよ

黒崎 蓮斗

1人で全部やろうとするから失敗するんだろ

黒崎 蓮斗

迷惑かけんなって、そういうこと

黒崎 蓮斗

1人で失敗するくらいなら他の人のこと、頼れよ

寺本 詩

せん、ぱい…

寺本 詩

ありがとう、ございますっ

黒崎 蓮斗

…別に

寺本 詩

(口調やっぱり冷たいままだけど、言葉が柔らかくて…)

少し、胸が暖かいような気がした

この日の帰り道

岡本 大輝

クーラーボックスも手伝ったもらったの?

寺本 詩

うん、重いなって思ってたところに先輩が来てくれて

岡本 大輝

蓮斗先輩が?自分から?

寺本 詩

自分からって言うか、仕方なく?みたいな感じだったけど

岡本 大輝

いや、それすごいよ

岡本 大輝

あの人、自分からどころか人からの頼み事基本スルーなのに

寺本 詩

そうなの?

岡本 大輝

なんていうか"必要なことしかやらない人間"っていうか

寺本 詩

でも、先輩は私がまた失敗するの恐れてしてくれたんだよ

寺本 詩

"見ててめんどくさい"って言われちゃったし

岡本 大輝

まぁ、確かにお前見てて危なっかしいとこあるもんなー

寺本 詩

ちょっと、大輝まで先輩とおんなじこと言わないでよー

岡本 大輝

あ、先輩にも言われたんだ?笑

寺本 詩

自分だってわかってるよ、ドジだし、危なっかしいし、すぐやらかすし

岡本 大輝

まぁ、放っておけねぇんだよな

寺本 詩

私だって変わりたいと思ってるのに…

岡本 大輝

まぁ、少しずつできるようになるよ

岡本 大輝

蓮斗先輩からお叱り受けても、あんま気にしすぎんなよ?

寺本 詩

うん…

寺本 詩

(でも、黒崎先輩ってよく分かんないな)

寺本 詩

("重かったら呼べ"って…)

寺本 詩

(私のこと、見てくれてたのかな)

君との距離、0センチ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

23

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚