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デビル「……今日は心理実験、か…」 デビル「あれ苦手なんだよなぁ」 デビルはそう呟きため息をついた。 デビル・イノセント。100人目の被験者である。 デビルは第三施設に収容されており、被験者は皆檻に入れられる。 だが、中は清潔で、一応生活はできるスペースは確保されている。 jewelry conceptは、第五施設まであり、各施設20人まで被験者を入れることができる。 第一施設は施設からもうすぐ出ることのできる被験者が収容されている。 逆に、第五施設は施設に入ったばかり、もしくは危険人材などが収容されている。 本来は20人まで入れられるのだが、第五施設は収容人数が多いため、第五施設のみ50人は収容できる広さになっている。 そして、卒業した被験者は現在20人。なので、第一施設は空である。 現在デビルのいる施設は第三施設。ということは、まだ卒業には程遠い。 こんな生活に、まだいないといけないのか。そう考える時もある。だが、暗い顔をしていたら、卒業間際の被験者の顔になりそうで嫌だった。 だから、デビルは他の誰よりも元気そうな顔をしていた。 だが、内心はそうではない。もう彼女はズタボロだった。元気そうに見えるから、誰も助けてくれやしない。そんな生活が辛かった。 実験は確かに辛い。だが、それ以上にこの生活から誰も救ってくれないのが辛い。 だから、心に介入されて、傷をつけられないように、元気を偽っている。 __それでも、彼女の心に介入してくるモノがいた。 ーーーーーーーーーーーーーーー それはデビルが睡眠につこうとしていた時だった。 デビル「…っう…っ!?」 急にデビルの身体…特に心臓付近がズキリと痛んだ。電撃が心臓に直撃したのかと思うほどに鋭い痛みだった。 デビル「…なに……こ…れ」 デビル「なんか……おかしい。こんなこと…今までなかったのに。」 とりあえず報告しなければならない。早く苦しみから解放されたかった。 __未来の苦しみより、今の苦しみを優先し。 緊急ボタンを、押した____ 試験者「どうした!何があった!?」 デビル「……あ…」 もう__遅かった。間に合わなかった。試験者がくるのは遅かった。緊急ボタンを押すのも遅かった。 デビルは急に溢れ出た憎悪の眼を試験者に向ける。 そして、デビルが見た途端に、試験者は___ グシャッ 弾けた。頭が、弾けた。まるで、シャボン玉を割ったかの様に。 シャボン玉液が、飛び散った。 そして、たちまち施設内は悪魔の闇に染まった。 __これは、事件となり、デビル・イノセントは賞金と共に被験者から指名手配者となった。 ーーーーーーーーーーーーー 気づいたら、外だった。 あの苦しみから解放されたかと思い、目を開けたらそこは施設の外だった。 しかも、施設近くでもない。あたり一面見たことのない建物ばかりだ。 施設の場所は確か北海道。そして、デビルは第三施設収容祝いに貰ったスマートフォンを取り出し、位置を確認した。 ここは、静岡だった。施設とは程遠い場所に、デビルはいた。 そして、デビルはある通知が入ったのを確認して、その通知の内容を見た。 そこに書いてあったのは。 「指名手配、デビル・イノセント。 賞金:1000万円」 とだけ記されており、デビルの顔写真まで載ってあった。 デビルは絶望した。こんな一文なしが戻れるはずがないし、何かしでかしたのなら戻れない。怖くて戻れない。 デビルは衝撃のあまりスマホを落とした。スマホの画面は割れなかったが、ガンッと鈍い音が鳴った。 その音に誰か気付いたのか、スタスタと歩く音がする。 そして、その足音は、デビルの耳元で消えた。 気配がデビルの真正面で漂っている。こんな自分に何の用なのか?スマホを落としただけなのに? 不安で煽られ微かに震えてしまう。目の前の人には圧があった。 __試験者と同じ、圧が。 「あんた、指名手配者よね。」 目の前の人物にそう言われ、思わず顔をあげてしまった。 淡く光る銀色の髪に、エメラルドのような青緑色の瞳。 美人…とは言い切れなかったが、そのエメラルドの瞳に吸い込まれ、数秒は無心でじっと見つめてしまっていた。 「指名手配者よね!?」 痺れを切らしたのか、彼女は大声で聞いてきた。 デビルはハッと我に戻って、正直に言ってしまった。 デビル「あ…はい。そうですけど」 「ならちょうどよかった。ちょっとこっちに来て」 デビル「はぁ…」 デビルは言われるがままに彼女に着いて行った__