コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
episode4
見えない傷
朝の教室。
誰よりも早く登校したえとさんは、自分の席に向かう途中で足を止めた。
机の上に、赤いマジックで書かれた大きな文字。
——「でてけ」
息が詰まった。
et_♡
教室のドアを閉めて、えとさんは静かに立ち尽くす。
手でこすっても消えない。涙が指先に落ちた。
et_♡
それでも授業が始まる。
先生は何も気づかない
笑い声の中で、えとさんだけが無音の世界に閉じ込められていた。
昼休み
席を外したすきに、えとさんのカバンが黒板の前に放り投げられる。
ya_♡
sv_♡
mb_♡
笑い声がまた響いた
りもこんさんはその場にいたけど、視線をそらした
rm_♡
目が合いそうになっても、あえて見ないふりをした
……見てしまったら、自分まで責められる気がした。
放課後
雨上がりの夕焼けの中、えとさんは一人でカバンを拾いに教室へ戻った。
床の隅に、濡れたプリントが貼りついている
拾い上げると、誰かの文字でこう書かれていた
りもこんさんの前から消えて♡
その瞬間、胸の奥が小さく裂けた
涙は出なかった。
泣いても、誰も見てくれないことを、もう知っていたから
学校の裏庭で、えとさんは空を見上げる
雲のすきまから光が差して、空気だけが優しかった
et_♡
背後から、誰かの足音
それがりもこんさんだったことに、えとさんはまだ気づかない。
彼は静かに立ち止まり、濡れたえとさんの姿をただ見つめていた。
——なぜか、胸が痛んだ。
rm_♡
𝑻𝑯𝑬 𝑬𝑵𝑫____♡♡