狩るものと狩られるもの

おれがまだ10歳の時

お父さんとお母さんが殺された

誘導されるまま付いていくキヨ

おれが最後に見た二人は

お互いを求めるように ぎゅっと手を握っていて

血がべっとりついた刀が 心臓に突き刺さっていた…

【二十数年後…】

狼地区の警備で 見回りをするキヨ

今でも鮮明に覚えている

争い事が嫌いで 喧嘩すらしたことがなかったお父さん

いつもおっとりしてて 優しい笑顔を向けてくれたお母さん

二人の最後の姿を 今でも……

『無抵抗な二人を 狩人当主がっ……』

あれからおれは強くなる努力をした

それまで喧嘩したり 誰かを殴ったりしたことがなかった おれが

今では 狼地区警備の副リーダーにまで なるほどに…

最近狩人一族で当主交代が 行われた

引き継いだのは長男

親を殺したあいつは 当主じゃなくなった

この時を待っていた

あいつが一人になる時をずっと…

これでやっと終わる…

おれから 大切な人たちを奪ったあいつを

おれの手で殺すんだ…

【次の日の深夜】

ー人間地区・狩人家の敷地内ー

狩人一族では今日 「新当主誕生祭」が行われていた

下調べが甘かったおれは 人間に見つかり

体に数回銃弾を受け 逃げ回っていた

ガシャンッ！！！！

足元にあった 特殊なトラバサミに気付かず 右足が挟まり倒れる

外そうにも鍵がかかってるのか ビクともしない

建物の外から人間たちの声が聞こえる

もう抵抗する力も気力もない

数回受けた銃弾と トラバサミの痛みで 意識も薄れつつある

あとは人間に 殺されるのを待つだけ…

スタスタスタ…

誰かの歩く足音が聞こえてくる

建物に入ってきた人間と目が合う

新当主の弟といえば 狩人一族の中で 新当主よりも数倍 戦闘能力に特化している人間

本当ならこいつが当主にっと なってたらしいが 兄に譲ったと言われている

無感情でキヨを見ている

キヨに近付くガッチマン

カチャカチャ…カチャンッ…

特殊のトラバサミを 鍵で開け外している

押入れみたいなところに キヨを入れるガッチマン

建物に入って来る

トラバサミを見ている

旧当主は建物を後にした

キヨを押入れから出すガッチマン

右足を見せる

ガッチマンを見つめているキヨ

辛そうな顔をするガッチマン

ガッチマンは 建物を出ていってしまった