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なんだか学校が息苦しい
雨だけど
昼だけど
私は河川敷で寝転がっていた。
空に手をかざしてみる
空から落ちる雨たちが
遊んで欲しいとはしゃぎ出す
.........でも願いは届かずに
静かに私に落ちてくる
命の消えた雨たちは
静かに上へ戻っていく
.........上からキラキラと舞い降りてくる、
あれはなんだろう...
薄暗い今日を明るく照らす、
その物は
私の手の中にすっと
収まった。
なにかのリングのようなものだった。
小さなダイヤが沢山埋め込まれていて
リング本体の色は紺色に近い色だった。
空からのプレゼントだと思った。
私は無くさぬよう
小さめのポーチの中に
ハンカチにくるんで入れた。
...そろそろ帰ろうかな
みんなが学校から帰ってくる時間だ
...今日も私は偽装する
学校は休まず言ったこと、
今日あった出来事を本当のように話さなければならない
心配なんかかけたくないから
河川敷からの帰り道、
リングを取り出したら
勝手に飛んでいってしまった
追いかけなきゃ.........
空をのんびり泳いでいく。
学校の方に向かっている気がする
夢中になって追いかけた
前が見えなくなるほどに
空からのプレゼント.........
私のリング.........
リングが私に呼びかけているような気がした
『お話したら?』
『橘くん、いい人だよ』
って囁かれる。
今日、河川敷でやったみたいに
手で、空を仰いでみた
朝と変わって、暗くなった夜に
紺色のリングは去っていく。
雨たちが空に帰る時、
私は命が消えると言った。
でもそれは違うと思う
運命の出会いを導いて
役目が終わってから、
また、空に戻るだけ。
命なんか消えない。
fin...