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1 - 『幸せ』

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46

2023年04月16日

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懐かしい夢を見た

春千夜

別れよ

アンナ

は…?

アンナ

なんで…?

アンナ

わ、私なんかした…?

アンナ

なにか気に触ることでも…

春千夜

もう好きじゃなくなったんだよ

アンナ

……っ、

春千夜

そーゆー事だから

春千夜

じゃーな

アンナ

待……ッ!!

春千夜

……

春千夜

________。

アンナ

……ぇ

最後に君が確かに言ったあの言葉。

でもなんて言ったんだっけ? 思い出せない

アンナ

ぁ…

アンナ

ま、待って!春…、!

そう言って手を伸ばしてももう届くことはない。

そうして青春時代の私の恋は悲しい結末を終えた。

アンナ

春…!!

天井に伸びる白い腕

アンナ

あれ…

アンナ

また…あの夢

もう何度見たことか

アンナ

朝から憂鬱…

そうは言っても仕事には行かなきゃならない

体を起こし、洗濯し終わったばかりのシャツに腕を通す

用意ができたら朝食を食べ家を出る

カシャン…っ

アンナ

…?

アンナ

ぁ…これ……

私と彼のイニシャルの入った銀色のネックレス。

アンナ

こんな所に…

アンナ

はは…wwまだ持ってたんだ

アンナ

………

アンナ

もうこんなもの

ゴミ箱を目掛けてネックレスを持ったまま腕を上げる

アンナ

こんな…もの……っ

アンナ

………っ

アンナ

……本当私…春に未練タラタラだな

私はネックレスを机の上に置き、家を出た

まもなく、2番線乗り場に列車が来ます

危ないですので、黄色い線の内側に____

アンナ

(ほんといつも人が多いな…)

朝からあんな夢を見て、オマケにこんな満員電車にのって出社なんて本当に嫌気がさす

アンナ

(帰りたい)

〇〇駅~〇〇駅~

電車を降り、改札口に向かおうとした

その時

アンナ

……!

思わず目を見開いた

呼吸することさえ忘れ、

私は走り出した

アンナ

(あの後ろ姿!!)

アンナ

(間違いなく春だ…!)

アンナ

(でも)

追いかけてどうする?

会って何を話すの?

彼はもう私のことは好きではないのに

私がまた辛い思いをするだけだろうに

それでも

アンナ

(それでも止まることなんて……っ)

アンナ

待って!

ガシッっと彼の腕を掴んだ

アンナ

春…!

春千夜

………

彼が振り向いた瞬間は時が止まったようだった

昔と変わらないロングなきれいな髪。

整ったその容姿。

何より、

その口元の傷。

アンナ

春…千夜?

春千夜

アンナ…

アンナ

~~…っ!泣

嬉しかった

また私の名前を呼んでくれた

でもそんな嬉しさも一瞬で地に落ちた

パシッ…

アンナ

は、春…?

春千夜

触るな

アンナ

…ぇ……

呆然とした

「触るな」?

そんなに私のことが嫌いなの?

私が何したって言うの?

教えてよ

アンナ

なんでよ…っ

春千夜

チッ…

春千夜

朝から最悪だなァ…

アンナ

…は?

最悪?

何それ意味わかんない

パァンッ

アンナ

ふざっけんな…っ最っ低!!泣

気づけば私は

春千夜

いっ‘’…

春の顔をぶっていた。

その日はもう会社を休んだ

本当は怒られるけど

でももう怒られてもいい。クビになってもいい。

ただ今日だけはどうしても行く気になれなかった

辛くて悲しくて色んな感情が自分の中でぐるぐるして

アンナ

…もう何もしたくないな

アンナ

……ん

アンナ

あれ…

アンナ

寝てた?私…

ブー…ブーッ

アンナ

メール…?

アンナ

ぇ…何こわ……

アンナ

見るわけが…

ブー

アンナ

ま、また?

アンナ

…!

「幸せになれたのなら見なくていい」

なんてそんな不器用なこと言うの、君しかいないじゃん

アンナ

っ…!!

アンナ

春千夜…!

私の家の前で止まっている高級そうな黒い車。

そしてその車にもたれかかっている私の愛しくて愛しくてたまらないあの人。

アンナ

ちょ、ちょっと待ってて!

アンナ

絶対待っててね!!

急いで髪を整え、ドアを開けて春の元に向かう

アンナ

春…っ……

春千夜

よォ…

少し気まづそうな顔で私を見る君。

春千夜

………

アンナ

………

お互いさっきのこともあり、気まづい空気の中、それを破ったのは君からだった。

春千夜

……なんで来た

アンナ

え…?

春千夜

メール…書いてあったろ

アンナ

あぁ…

アンナ

だって私の幸せには春がいなきゃ……笑

アンナ

そんなもの幸せとは呼べない

春千夜

…~~……はぁ…

長く深いため息をついたあと彼は真面目な顔で私を見て、

春千夜

俺もお前がまだ好きだ

アンナ

春千夜

でも俺がお前の近くにいるとお前が危険な目に合う

アンナ

それはどういう…

春千夜

俺と行くっつーことは俺と同じ修羅の道をお前も一緒に歩くってことだ

春千夜

それを幸せって言えんのか?

春千夜

その覚悟がお前にあるか

アンナ

………

やっぱり

やっぱりそうなんだね

心のどこかでは気づいてた。

君が表社会の人間ではないということに。

アンナ

…うん

それでも貴方といたい

それが私にとっての幸せだから

アンナ

一緒に連れてって

春千夜

は…笑

春千夜

そこまで言うんなら連れ去ってやるよ

春千夜

後悔しても知らねぇからな

アンナ

しないよ

女の子

ママ〜!パパ〜!

女の子

お花あげる!

アンナ

え~?いいの?笑

春千夜

なんだこれ雑草((殴

アンナ

(にこっ

春千夜

………あ、ありがとな

女の子

うんっ!

数年後、私たちは籍を入れ今は4歳になる1人の娘もいる。

彼の職業柄、結婚式をあげることは出来なかったけど

それでも十分幸せだ。

あ、あとそういえば思い出したよ。

あの最後の言葉。

君らしい不器用な言葉だった。

「幸せになれよ」

だなんて

でも大丈夫だよ。

私は君が望んだ通り、幸せになれました。

女の子

ママ〜!お腹空いた!

アンナ

じゃあ帰ってご飯にしようか笑

春千夜

チーズケーキ食べたい

アンナ

それはご飯じゃありません。

女の子

あ!ママのそのネックレス綺麗!いつもつけてるよね!!

アンナ

あぁ…これね笑

アンナ

うん。これはママの大好きな人から貰った大切なものなの。

そう彼の方をちらっと見て言う。

女の子

ふぅん…てことはパパだ!

アンナ

よくわかったね笑

女の子

うん!だってパパとママ仲良しだもん!大好き同士!

春千夜

まぁアンナは俺にぞっこんだからな

アンナ

調子乗らない

3人仲良く手を繋いで家に帰ろう。

この幸せが、永遠に続きますように___

ℋ𝒶𝓅𝓅𝓎 ℰ𝓃𝒹

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