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夏休み中
いつもみたいに海の見える図書館で勉強していると隣の席で物音がなった
そこには落ち着いた雰囲気の男の子が海を眺めている
多分私より年上の不思議な人
話しかける勇気なんてなかった
いつの間にか視線が絡み合って
初めてあなたが話しかけてきた言葉
𓏸𓏸
その綺麗な瞳には何故か曇がかっていた
麗
𓏸𓏸
意地悪そうな笑顔をした彼のことを不思議に嫌いにはならなかった
その日から話すようになり、いつの間にかその時間が心地よくなって行った。
𓏸𓏸
麗
𓏸𓏸
麗
𓏸𓏸
麗
何となく理由は聞いてほしくないっていう感じがした
それから図書館に行くのも勉強から彼に会うのが目的になった
夏休みの最終日、その日もいつも通りに図書館に行った
しかし、彼は来なかった
なんかの用事があると思い、あんまり気にしなかった
けれど、夏休み明けもその人が図書館に来ることは1度もなかった
冬休みが入り、図書館に行こうと自転車を漕いでたら1人の男の子が海を見ていた
彼だった
彼も私に気づいた
𓏸𓏸
痩せ果てた姿があった
麗
麗
𓏸𓏸
麗
𓏸𓏸
麗
𓏸𓏸
𓏸𓏸
なにかを誤魔化しているかのような笑顔に胸が痛くなった
麗
𓏸𓏸
それから毎日お見舞いに行った
いつも寂しそうな瞳をしてる彼になにもしてあげれなかった
彼は日に日に痩せていった
そして、約束は果たせれないまま
この世を去ってしまった
その時に初めて気づいた
麗
今更気づいてももう遅い
ふと 彼が前に言った言葉を思い出した
𓏸𓏸
海を渡るってこういうことだったんね
その時から彼は自分はもうすぐ死ぬってわかってたんだ
私は初めて涙が出た
そして彼の名前を呼んだ
麗
そう言うと、海はまるで返事してくれたみたいに強く波を立てた
『僕も好きだった 』
そう聞こえてくるような気がした
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