テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

金魚は恋のキューピッド!?

一覧ページ

「金魚は恋のキューピッド!?」のメインビジュアル

金魚は恋のキューピッド!?

1 - 金魚は恋のキューピッド!?

2022年05月28日

シェアするシェアする
報告する

自分

小学校低学年のころ、課題で育てていたヒマワリの世話をめんどくさがって、からしてしまったことは事実だ。でもそれはむかしの話。あたしも中学生になったのだから、毎日の金魚の世話だってできる。

優花

今回はちゃんとやる!

自分

お兄さんからもらった大切な金魚なんだから。

優花のお母さん

ならいいけど......。生きものなんだからちゃんと世話してあげてよ

自分

困ったように言うお母さんに、返事をして、 あたしはさっさと作業にもどった。

次の日。

自分

あたしは金魚の飼育セットを買うために、お兄さんに教えてもらったペットショップへ向かった。

自分

金魚たちは昨日のうちに、飼育環境を整えて洗面器へうつしてあげた。元気に水の中を泳いでいたけれど、いつまでもせまい洗面器が家だとかわいそうだ。

自分

«ペットショップ・アクア»入ってすぐが犬、猫、小動物のスペースで、その奥が水生生物のコーナーになっていた。薄暗い照明の下で色あざやかな魚たちが泳いでいる様子は、まるで夜空みたいにきれいだった。

優花

すみません、金魚の飼育道具がほしいんですが……

自分

水そうの前で作業している店員さんの背中に話しかけた。その店員さんがふり向くのと同時に、

優花

え!?

自分

あたしはびっくりして声をあげた。

優花

昨日のお兄さん!?

お兄さん

あ、いらっしゃい。今日はおだんごじゃないんだね

自分

そこにいたのは、なんと、昨日金魚をくれたお兄さんだった。

自分

ラフな洋服の上にお店のエプロンを着て、胸のネームプレートには「東」と書いてある。

お兄さん

じつはオレ、ここでバイトしてるんだ。......あ、もちろん自分が働いてる店だからってここを紹介したわけじゃなくて、このへんで品ぞろえがいちばんっていうのは本当だから安心して

自分

そう言って、東さんはいたずらっぽく笑った。

自分

まさか、こんなところで会えるなんて思わなかったので、あたしはパニックになった。

自分

洋服とか髪型とか、もっとおしゃれしてくればよかった......などとぐるぐる考えて、どんどん顔があつくなっていく。

東さん

......金魚3匹の水そうだったら、これなんてどう?

自分

と、店の奥から小さな水そうを持ってきた。

東さん

あとは、ろ過装置、エアーポンプ、カルキぬき......あたりが必要かな

優花

はいっ!それ、全部くださいっ!

自分

どうにかそれだけ返して、カバンからサイフをとりだす。

自分

赤くなった顔を見られるのがはずかしくて、最後まで東さんの目をまっすぐ見ることができなかった。

自分

洗面器から新しい水そうへと引っ越した金魚たちは、心なしかのびのびしているように見える。

優花

(働いてる姿もかっこよかったなぁ〜)

自分

思い出すのは、エプロン姿の東さんのことだ。

自分

緊張しちゃって、あまり話せなかったのはもったいなかったけど……。

自分

でも、あのペットショップに行けば、いつでも東さんに会える。

優花

そうだよね、«ダンゴ»?

自分

あたしは黒の出目金に話しかけた。それがこのコの名前。ダンゴのおかげで東さんに会えたようなものだから、まるでキューピッドみたいだと思った。

自分

ダンゴたちの飼育をはじめて数日。

自分

ヒマワリのときのように放っておくことはせず、毎日様子を確認して、声をかけたりエサをあげたりした。

自分

あるとき、水そうの水が少しよごれていることに気づいた。

優花

(そろそろ水をかえた方がいいのかな......?んー、でもこれから宿題しなきゃいけないし、あとでいっか)

自分

結局、水をかえるのを忘れてしまった。

自分

そしてある朝。

優花

おはよーダンゴ......あれ?

自分

ふとんから出て水そうの前へ行くと、水面にういてへんな動きをしているダンゴの姿を見つけた。うまく泳げないのか、バタバタともがき苦しんでいるようだった。

優花

ダンゴ......!どうしたの?

自分

病気なのだろうか、それとも、けが......?

自分

答えてくれるはずもないし、金魚の表情からはなにも読みとることができない。あたしはどうすることもできなくて、水そうのまわりでウロウロするばかりだった。

自分

東さんなら、なにかわかるかもしれない......!

自分

そう思ったら、いてもたってもいられなくて、なにも持たずに家を飛び出していた。

東さん

もしかして、転覆病かもしれない

自分

あたしがダンゴの状態を説明すると、東さんは真剣な表情で言った。

優花

てんぷくびょう......

東さん

転覆病は、金魚がういたりしずんだりして、うまく泳げなくなってしまう病気だよ。エサのやり過ぎ、水質の悪化、水温が不適切......理由はいろいろ考えられるんだけど

自分

心臓がとまりそうになった。

優花

あたしのせいだ......。水がよごれてきてるのわかってたのに、学校がいそがしいからってそのままに......。毎日ごはんあげてるから、大丈夫だろうって思ってて......

自分

うつむくあたしの頭に、東さんが優しく手を置いた。

東さん

エサの食べ残しが水質悪化につながることもあるんだよ。金魚の様子を見て、エサの量を調節する必要があったかも......だけど、あんまり思いつめたらだめだよ?

優花

でも......!あたしのせいで病気に......

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚