黄色い薔薇は咲かぬ日々 第28話
貴夾 寅彦
………!!
与根宮 桜子
そうなんでしょう?
与根宮 桜子
彦さ……
貴夾 寅彦
……思い出さなくていい
与根宮 桜子
………え?
貴夾 寅彦
思い出せば……また………
与根宮 桜子
………
与根宮 桜子
……どうして?
与根宮 桜子
今一瞬夢のようなものを見ました
与根宮 桜子
私……すごく胸がいっぱいになった
与根宮 桜子
忘れてはいけなかった時間なんです きっと
与根宮 桜子
私の体がそう言っています
与根宮 桜子
……なのにどうして思い出さなくていいなんて言うの?
貴夾 寅彦
………
与根宮 桜子
私思い出したいです
与根宮 桜子
それに……なんで忘れてしまったのかも思い出したい
与根宮 桜子
全部思い出したいと思えるほどに心地よかった
与根宮 桜子
何か知っているなら教えてください
与根宮 桜子
貴方との思い出が全く消えるのが嫌なんです
貴夾 寅彦
…………っ
貴夾 寅彦
俺が知っていることを聞いたら桜子はすごくショックを受けると思う
貴夾 寅彦
それでも……知りたいのか?
与根宮 桜子
知りたいです
与根宮 桜子
知らないと過去の私にきっと怒られてしまうから
貴夾 寅彦
…………
貴夾 寅彦
……そこまで言うなら、わかった
貴夾 寅彦
でも約束してくれ
貴夾 寅彦
この話を聞いても、俺から離れないこと
与根宮 桜子
離れません
貴夾 寅彦
………
貴夾 寅彦
……桜子が俺との思い出を忘れたのは、お前の母が死んだからだ
貴夾 寅彦
それも貴夾の手で。
与根宮 桜子
………………
貴夾 寅彦
………
貴夾 寅彦
俺の兄が………殺した
与根宮 桜子
…………え……?
貴夾 寅彦
兄は……お前のことを欲しがってた
貴夾 寅彦
それをお前の母が止めようとしていたんだ
貴夾 寅彦
そしたら……兄は気が立って……ああなってしまった
貴夾 寅彦
そこから……桜子は……ここへは来なくなった
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