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【参加型】Stellar Symphony〜MIRAGE編〜

第4話 - 第4話　ライバルの出現

316

2025年07月13日

#🌃📖🕯

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#バンド

#音楽

#ドラマ

宵月シノ

RAINY_GLOWについてのニュースを透弥が共有した翌日。透弥の家には4人が集まっていた。

久巳透弥

……さて、どうしようか。

久巳透弥

RAINY_GLOWが最近勢いづいているみたいだけど……

神田章介

僕達のライバルになるかもしれない、ってこと？

久巳透弥

うん。

久巳透弥

どうなるかは分からないけど、心配しておくに越したことはないかなって。

神田章介

そうだね〜。

神田章介

2人はどう思う？

雨鏡渚

……うん。確かに注意しておくべき。

雨鏡渚

でも、焦りも禁物じゃない？
RAINY_GLOWがどんなバンドか見てみないと。

春闇朔

あーしも同じ意見。

春闇朔

やっぱ、ここはRAINY_GLOWのライブに行くのが1番いいんじゃない？

久巳透弥

ライブ……！

久巳透弥

そっか、それなら分かりやすいね。

神田章介

それじゃあ、RAINY_GLOWの次のライブを調べてみるよ。

神田章介

ちょっと待ってて。

章介はスマホを取り出し、RAINY_GLOWの次のライブについて調べはじめた。

……そしてすぐに、章介は視線をスマホから上げた。

神田章介

分かったよ。

神田章介

来週末、ここの近所でちょっとしたイベントをやるらしいんだ。

神田章介

そこの参加者なんだって。

久巳透弥

なるほど、イベントか……。

神田章介

観覧料は無料みたいだね。

久巳透弥

丁度よかったね。

久巳透弥

皆、来週末は空けられる？

久巳透弥

大丈夫だったら皆でRAINY_GLOWのライブを見てみよう。

久巳透弥

自分の目で見るのが1番、って言うしね。

神田章介

僕は大丈夫。

雨鏡渚

僕も、練習以外に予定はないから行けるよ。

春闇朔

あーしも行ける。これといった予定ないし。

久巳透弥

それじゃあ決定だね。

神田章介

……ん？なにこれ。

突然、スマホを見ていた章介が声を上げる。すると、3人にスマホの画面を見せた。

──それは、RAINY_GLOWへのインタビュー記事のようだった。

神田章介

『どこを目標にしているか』って質問なんだけど……

雨鏡渚

『もちろん色んなバンドを目標にしていますが、1番の目標はMIRAGEです。』

雨鏡渚

『実はメンバーの全員が、元々MIRAGEのファンだったんです。今でも変わりませんが。』

雨鏡渚

『私達はMIRAGEのファンサークルで出会い、意気投合しバンドをやることになりました。』

雨鏡渚

『だからか、最初に目標を決めようとなった時に満場一致でMIRAGEになったんです。』

雨鏡渚

『その夢は全く変わっていません。私達は、MIRAGEの皆さんを尊敬しています。』

雨鏡渚

……だって。

久巳透弥

凄いね。

久巳透弥

まさか僕達のファンの人達がバンドを組むなんて。

久巳透弥

何だか嬉しいなぁ。

春闇朔

……んじゃあ、本当の本当にライバルになる可能性もあるってこと？

神田章介

多分。

春闇朔

RAINY_GLOWは着実に結果を出してるし、
あーしらも気を付けないと。

春闇朔

油断してると足元掬われそう。

久巳透弥

そうだね。

久巳透弥

より一層、練習に力を入れていかないといけないってことだね。

久巳透弥

……それじゃあ、今週末に駅前集合で。

神田章介

はーい。

雨鏡渚

うん。

春闇朔

り〜。

久巳透弥

……。

久巳透弥

（RAINY_GLOW……
僕たちを目指してるのか……。）

久巳透弥

（……僕は、リーダーとしてどうするべきなんだろう？）

久巳透弥

（もっと、頼れるリーダーに……？）

久巳透弥

（もっと……もっと上に……）

神田章介

透弥さん、どうしたの？

神田章介

顔色悪くない？

久巳透弥

あ、いや、何でもないよ。大丈夫。

久巳透弥

部屋、ちょっと寒いなぁって思って。
エアコンの温度上げてもいいかな？

雨鏡渚

うん、大丈夫だよ。

春闇朔

あーしもちょっと寒いなーって思ってたとこ。

神田章介

僕も。ちょっと薄着すぎたかな……？

久巳透弥

あはは、それじゃあ温度上げるね。

久巳透弥

（……やめておかないと。
皆に心配されちゃうし。）

しかしどこか上の空の様子で、透弥はリモコンを手に取る。リモコンを操作し、温度を数度だけ上げた。

雨鏡渚

……。

数日後

神田章介

で、どうしたの？

神田章介

……渚さん。

公園の日陰にあるベンチに座っている章介。テーブルを挟んだその向かいに居るのは渚だった。

雨鏡渚

……最近、おかしいと思うんだ。

神田章介

……何のこと？

雨鏡渚

透弥のこと。

雨鏡渚

前は顔色が悪そうだったし、練習にも力が入ってないようにも感じて。

雨鏡渚

章介って透弥と特に仲良かったよね。

雨鏡渚

透弥の様子がおかしい理由、知ってる？

雨鏡渚

……それか、なにか心当たりがあるってだけでもいい。教えて。

神田章介

うーん、透弥さんの様子がおかしい理由……？

渚から問いかけられると、章介は顎に指を当てて考えはじめた。近頃、透弥の様子がおかしいというのは章介も薄々感じ取っていたことらしい。

神田章介

RAINY_GLOWが現れたからってのもあるんだろうし、ステラフェスのこともあるし……。

神田章介

それで気を張ってるんだと思うけど、多分きっとそれだけじゃないよね。

神田章介

……ごめん、僕には分からないや。

雨鏡渚

そっか。それならいいよ。

雨鏡渚

協力してくれてありがとう。
僕も何か探ってみるよ。

雨鏡渚

章介も、透弥のことで何かあったら教えてくれない？どんなに小さなことでもいいから。

雨鏡渚

……同じバンドのメンバーとして、心配だから。

神田章介

うん、分かったよ。

神田章介

僕も心配なのは同じだから。

雨鏡渚

……それじゃあ、僕はこれで。

渚は公園から離れ、駅へと続く道を歩いてゆく。その背中を見つめながら、章介はぽつりと呟いた。

神田章介

（……違う）

神田章介

（確かに、ここ最近透弥さんは思い詰めたような表情をしてる。）

神田章介

（……でも、僕がその理由を知らないって言うのは嘘。）

神田章介

（ごめん、渚さん。これも約束なんだ。）

久巳透弥

……あ

春闇朔

……ん？

春闇朔

あ、誰かと思えば透弥じゃん。
もしかして買い出し？

久巳透弥

そうだよ。丁度食材切らしてて。

久巳透弥

朔ちゃんも？

春闇朔

やっぱコンビニとかスーパーの弁当っていいよね。

春闇朔

あーしはまぁ……飯とアイデア探し。

春闇朔

スーパーなら惣菜もあるし楽〜。

久巳透弥

だよね。

久巳透弥

……でも、コンビニのお弁当とかスーパーの惣菜ばっかりだと栄養偏っちゃうよ？

久巳透弥

ちゃんと三食バランスよく食べてる？

春闇朔

ん〜……。

春闇朔

バランスいい自信はないけど食べてる。

春闇朔

……あ、たまに食べないことあるけどね。

久巳透弥

バンド活動しながら作家するってなると
やっぱりそうなっちゃうかぁ……。

久巳透弥

……今度、朔ちゃんの家に何か作って持って行こうか？

春闇朔

え、マジ？助かる〜。

春闇朔

透弥の作った料理美味しいんだよね〜。

久巳透弥

ありがとう。頑張るね。

ふと、朔は透弥の買い物カゴを見る。『三食バランスよく』とは言っていたが、透弥の持っている買い物カゴにはゼリー飲料やエナジーバーが多くあった。

……まさか、それで食事を済ませるつもりなのだろうか？朔は思ったことを率直に口にした。

春闇朔

……透弥、まさかそれで飯済ませるの？

久巳透弥

それ……って？

春闇朔

エナジーバーとかゼリー飲料とか。

春闇朔

バランスよくって言ってる本人がそれじゃ意味ないでしょ。

久巳透弥

あ……これ？

久巳透弥

いくつか家に常備しておくんだ。
お腹空いたらすぐに食べられるし。

春闇朔

ふーん……。

久巳透弥

……え

春闇朔

んー、何でもない。

久巳透弥

そ、そうなんだ……。

久巳透弥

ところで、最近朔ちゃんと外でばったり会うこと増えたよね。

久巳透弥

外出するようにしてるの？

春闇朔

まぁね。

春闇朔

外でないと渚から怒られるの。
「散歩でもいいから外出なさい〜」って。

春闇朔

だから仕方なく。

久巳透弥

なるほど。
確かに渚くんなら言いそう。

久巳透弥

散歩は気持ちがすっきりするからいいよ。
あとはランニングとかも。

春闇朔

ふーん。そうなん？

久巳透弥

うん。そうだよ。

久巳透弥

僕は個人練習で行き詰った時とかはよく外に出てる。

久巳透弥

1回外の空気を吸うと気分も切り替えられるし、時間が空くからリフレッシュできるし。

春闇朔

へ〜。参考にしてみる。

他愛もない会話を交わしている2人。すると、突然透弥が朔にこんなことを聞いてきた。

久巳透弥

……朔ちゃんは、ステラフェスについてどう思う？

春闇朔

ん？

春闇朔

どう思うって……ただの目標っしょ？

久巳透弥

それもそうなんだけど……。

でも──。と口を開いた透弥は、何かを言おうとしたが、諦めて口を噤んだ。

久巳透弥

……ごめん、やっぱり何でもない。

久巳透弥

目標、だよね。うん。
僕もそう思ってる。

春闇朔

……透弥にとっては違うの？

久巳透弥

いや、そんなことないよ。
確かにステラフェスは僕達の目標だから。

久巳透弥

変なこと聞いちゃったね。本当にごめん。
……そういえば朔ちゃん、小説の方はどう？

久巳透弥

完成したら僕も見てみたいな。

春闇朔

ん、ちゃんと進んでる。

春闇朔

いつも見せてるんだから当然でしょ。

久巳透弥

ありがとう！

久巳透弥

春闇朔先生の作品、いつも見てます……
ってね。

春闇朔

……からかってる？

久巳透弥

そんなそんな！

久巳透弥

でも、いつも見てるのは本当だよ。
本が発売されたらすぐに買いに行くし。

春闇朔

さんきゅー。

春闇朔

疲れたしあーしはそろそろ帰るわ。
んじゃあおつー。

久巳透弥

うん。また練習で。

この作品はいかがでしたか？

316

2件

久巳君、無理しないで😢 そして、神田君の活躍が楽しみ！

宵月シノ

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