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第1話 - あ

2023年08月01日

#恋愛

結城真矢

ヨウコ

リュウさん！今日はありがとうございました！

ヨウコ

色々教えていただいて助かりました！

リュウ

今日は、じゃなくて今日も、だろ？ｗ

リュウ

ミスしないよう熱心に頑張るのはいいけど、もうそろそろ一人で作業できるんじゃないか？

ヨウコ

そんな、私なんて全然です

ヨウコ

リュウさんに教えてもらわないと分からない事だらけで…

リュウ

おいおい、入社してもう1か月は経つだろ？

リュウ

今でそんなんじゃ先が思いやられるぞ

ヨウコ

そうなっても大丈夫です！またその時リュウさんに教えてもらえばいいんでｗ

リュウ

あのな、俺が研修担当って言ったっていつまでも担当できるわけじゃない

リュウ

一応研修期間は二か月ってなってるけど、早いヤツは一か月で終わる事もあるんだぞ？

リュウ

そろそろ一人でできるようになってもらわないと困るんだよ

ヨウコ

そんな事言われても…

ヨウコ

リュウさんは私に教えるの、そんなに嫌ですか？私の存在は邪魔ですか？

リュウ

そんなことはないけど

リュウ

とにかく、いつかは仕事もしっかりと自分でできるようにならなくちゃいけない

リュウ

研修期間が終わるまであと一か月、俺も頑張るからヨウコも頑張るんだぞ

ヨウコ

分かりました！精一杯頑張ります！

リュウ

よし、その意気だ

～1年後～

ライタ

リュウさん、今回はありがとうございました

ライタ

先方が中々首を縦に振ってくれなかったので、リュウさんが来てくれなかったら

ライタ

もしかしたら破談になっていたかもしれません

ライタ

本当にありがとうございました

リュウ

いいんだよ、俺たちはチームなんだから

リュウ

助け合わないとな

リュウ

でもどうしてあそこまで難航したんだ？

リュウ

ライタなら軽く収められると思ってたんだが

ライタ

それが、先方はどうやら僕の事が気に入らなかったようで…

ライタ

途中まで話し合いの場にいたリュウさんの事を気に入っていたみたいなんです

ライタ

だからリュウさんがいなくなった途端露骨に不機嫌になってしまって…

リュウ

そういうことか

ライタ

はい、なので僕だけでは力不足でした

リュウ

いや、それはお前の思い込みだ、ライタ

ライタ

どういうことでしょう？

リュウ

先方はお前の事を気に入っていたよ

リュウ

途中入社って聞いてたから、どんな半端な知識のやつが営業に来るのかと構えていたけど

リュウ

ちゃんと一生懸命勉強してきている、真面目なやつだと分かったって言ってた

リュウ

でも先輩の俺が席を外したら急に焦りだしてオロオロしだして

リュウ

挙句の果てに「リュウさんを待ちましょうとか言って」

リュウ

俺がまた戻ってくるまで中断するつもりだったらしいじゃないか

ライタ

すみません、突然不安になってしまって…

リュウ

そういう生半可な態度がイライラさせたらしい

リュウ

自分の力だけでやってやろう、という気概はないのか！ってな

ライタ

そうだったんですか、それじゃあ…

リュウ

お前の事が気に入らなかったってのは誤解で、お前の思い込みだライタ

リュウ

逆だったんだよ

リュウ

むしろお前は気に入られてたんだ

ライタ

そんな…

リュウ

お前は思い込みが強すぎるきらいがある

リュウ

気を付けないと、大切な事を見逃したり、見落としたりしてしまうぞ

ライタ

すみません、肝に銘じます

リュウ

まあでも無事成功したんだ、いいじゃないか！

リュウ

今度成功祝いに一杯飲もう！俺が全部出すからさ！

ライタ

はい、お供します！

～数年後～

リュウ

いや～聞いたよ、まさかお前とライタが結婚するとはな

ヨウコ

私もまさかあの人とそんな仲になるなんて思ってもみませんでした

リュウ

ヨウコは会社中の男にモテてたからなあ

リュウ

ライタよりも出世しそうなやつもいたし、イケメンもいた

リュウ

なのになんでライタを選んだんだ？

ヨウコ

あの人の人柄に惹かれたんです

ヨウコ

あのまっすぐな人柄に

リュウ

そうか、見る目があるなヨウコは！

リュウ

あいつはちょっと思い込みが激しい所があるけど、まっすぐでいい男だと思う！

リュウ

まさか結婚するなんて思わなかったけどなｗ

ヨウコ

本当にそうですね…

リュウ

まあ結婚生活色々と大変だと思うけど

リュウ

既婚者の先輩として、何か俺に出来ることがあったら何でも言ってくれな！

ヨウコ

ありがとうございます、何から何まで

ヨウコ

リュウさんにはお世話になりっぱなしで

リュウ

気にすんなって！それより、ライタの事よろしくな！幸せになれよ

ヨウコ

はい、ありがとうございます

～数か月後～

ライタ

リュウさん、この度は申し訳ございませんでした

リュウ

おうライタ、どうした？なんのことだ？

ライタ

この間のプロジェクト、僕のミスで大幅に完成が遅れてしまって…

リュウ

ああ、あれのことか

リュウ

気にするなよ、あれはそもそも急ぎ過ぎてたんだ

リュウ

あれくらいの期間を設けないとダメなやつだったんだよ

ライタ

でも僕が失敗したせいで皆にも迷惑をかけてしまって

リュウ

あのなライタ

リュウ

俺たちはチームでやってるんだ

リュウ

チームの誰もが皆それぞれ一生懸命やってる

リュウ

今回のも、他のも、プロジェクトってのは全員でやるもんだ

リュウ

お前だけがこのプロジェクトの背負ってるわけじゃない

リュウ

お前だけのミスで遅れたり頓挫するようなプロジェクトなんてありえないし

リュウ

もしそんなプロジェクトがあったらクソくらえだ

リュウ

お前のミスをカバーできなかった俺のミスでもある

リュウ

だから気にするな

ライタ

すみません…

リュウ

でも今回のミスはいつも慎重なお前らしくないと思った

リュウ

何か、悩みでもあるのか？

ライタ

それが、実は…

ライタ

ヨウコが浮気してるんじゃないかと、そう思ってしまうと仕事に身が入らなくて…

リュウ

浮気！？どうしてヨウコが？

ライタ

僕が結婚する時、同僚に言われたんです

ライタ

あの女には気を付けろ、って

ライタ

それにヨウコは僕に不釣り合いなくらい美人です

ライタ

言い寄ってくるような男は何人もいる

ライタ

だから浮気してるんじゃないかと不安で…

ライタ

最近、ヨウコの様子がおかしい気もするんです

ライタ

スマホばっかりチェックするし、会社に出社するだけなのに服装をやたらと気にしたり

ライタ

残業も多い気がして

ライタ

僕よりも帰るのが遅いですし…

リュウ

おいおいそれで浮気だと疑ってるのか？

リュウ

そんなのどこの奥さんもそうだって！

リュウ

それにヨウコはまだ若いんだ

リュウ

暇さえあればスマホをチェックする世代だろうし

リュウ

出社するだけでもオシャレを楽しみたいと思うのは普通だろ？

リュウ

お前は思い込みが激しすぎるぞ

リュウ

もうちょっと落ち着いて、ヨウコを信じてやったらどうだ？

ライタ

そうですかね…

ライタ

そうやって妙にヨウコの肩を持つリュウさんに違和感を覚えるのは僕だけですかね…？

リュウ

え？

ライタ

リュウさんってヨウコが入社した時の研修担当だったんですよね？

リュウ

そうだよ

リュウ

当時はすごい美人な新入社員が入ってきたって騒がれててな

リュウ

俺が研修担当になった時は男陣全員に羨ましがられたよｗ

リュウ

あれはライタが入社してくる1年前くらいだったかな？

ライタ

ええ、知ってます

ライタ

凄く仲が良い二人だったって聞いてます

リュウ

仲が良いというか、妹分みたいなもんだったな

ライタ

本当に「妹でしたか？」

リュウ

どういう意味だ？

ライタ

「恋人だったのでは？」

リュウ

恋人！？何を言ってるんだ？俺はもうその時結婚してたんだぞ？

ライタ

でもあれほどの美人が好意を向けてきたら、男なら乗ってしまうんじゃないですか？

リュウ

おいライタ、さっきから何が言いたいんだ？はっきり言え

ライタ

リュウさん正直に答えてください

ライタ

ヨウコと…浮気してますよね？

リュウ

は？

ライタ

最近のヨウコの様子がおかしいのはあなたと不倫しているからでは？

リュウ

不倫？何を言ってるんだライタ？俺もヨウコも、そんな事をするはずがないだろ？

リュウ

俺もヨウコも既婚者だ

リュウ

ありえないよ

ライタ

いやお前は俺のヨウコと不倫してる！！絶対にそうだ！！そうに違いない！！！

リュウ

おいおい落ち着けよライタ

ライタ

これが落ち着いていられるか！

ライタ

ようやく結婚できた最愛の妻が、実は職場の先輩に寝取られてたなんて！

リュウ

全部誤解だ、誤解なんだよ

リュウ

そんな事実はないんだ

ライタ

嘘を付け！！なら何故最近ヨウコが楽しそうなのか、答えてみろ！！

リュウ

そんなこと知るワケがないだろ！？

ライタ

お前みたいな豚野郎があいつの好みだったなんてな！

リュウ

ちょっと落ち着けって、どうしてそうなるんだよ？

ライタ

ヨウコはあんたと話している時が一番楽しそうだった

ライタ

俺に向ける笑顔とは違う笑顔だ

リュウ

分かった、本当の事を言おう

リュウ

ヨウコは浮気している、と思う

ライタ

やっぱりな！

リュウ

俺とじゃない…俺以外の男性社員、全員とだ

ライタ

へ？

リュウ

ヨウコは入社してすぐ同僚の男性と関係を持った

リュウ

そしてそれはすぐに複数人相手になった

リュウ

俺にヨウコの交際関係に口を出す権利はない、ただヨウコは昔からそういう人間でな

リュウ

奔放というかなんというか…元々そういう性格なんだよ

リュウ

お前と結婚してから最初は抑えていたみたいだが…まあ抑えきれなくなったんだろうな

リュウ

彼女がそういう人間だと知らなかったのはお前だけだよライタ

ライタ

僕だけ…？なんで？

リュウ

お前の親御さん、相当な資産家らしいな

リュウ

ヨウコはそれをしきりに気にしていたよ、どれくらいの資産があるのかって

リュウ

ヨウコがお前の話をするときはその事ばかりだった…

ライタ

つまり、ヨウコは僕の両親のお金目当てだったと？最初からお金目当てで僕と結婚したと？

リュウ

それは分からない、ヨウコはお前を本当に愛していたかもしれないし

リュウ

なんにせよ俺が口を出す問題じゃない、そう思って黙っていたんだ

ライタ

そんな…そうだったんですか

ライタ

じゃあ最近ヨウコの残業が多かったりスマホばかりみたりしているのも…

リュウ

まあ、他の男と会っている可能性があるな

リュウ

ヨウコにとって今会社にいる男性社員のほとんどが"元カレ"だ

リュウ

最近様子がおかしいって言うなら、"元カレ"の誰かに会いに行ってる可能性があるかもな

ライタ

ちょっと、今すぐ会社に戻ってみます！

ライタ

今日は残業だって言ってました、本当ならまだ会社にいるはず！

リュウ

俺はヨウコを信じたいけどな、お前の事を愛していたから結婚したと

リュウ

本当に残業をしてるってな

～数時間後～

ライタ

リュウさん、今日は本当にすみませんでした

ライタ

また思い込んでしまって、色々と失礼な事を言ってしまって…

リュウ

いいさ、気にすんな

リュウ

で、どうだったんだ

リュウ

会社にまだヨウコはいたか？

ライタ

いました

リュウ

おお、そうか！よかったな！誤解だったんだな

ライタ

いたのはいました、でも他の男と一緒でした

ライタ

部署の明かりが少しだけついていたのでバレないようそっとドアを開けて中の様子を伺ったんですが

ライタ

別の男と行為の真っ最中でした

リュウ

マジか…

ライタ

僕、ヨウコと離婚します

リュウ

まあ落ち着け、まず話し合った方がいい

ライタ

はい、すみません…また突っ走りそうになりました

ライタ

今回の件でしっかりとヨウコと話し合います

リュウ

うん、そうした方がいい

リュウ

何か俺に協力できることがあったら何でも言ってくれな

ライタ

はい、ありがとうございます

～後日談～

リュウ

その後、ライタとヨウコは正式に離婚する事が決まった

リュウ

そしてヨウコは会社を辞めた

リュウ

流石に居づらくなったんだろう

リュウ

誰かと一緒になったという噂も聞かないから、完全に独り身になったようだ

リュウ

ライタは思い込みが激しすぎるという自分の悪い癖を猛省し、一旦落ち着いて考える癖がついた

リュウ

それによって仕事も人間関係も改善され、前より良い男になったと思う

リュウ

俺は今まで通り平穏で幸せな日々を送っている

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結城真矢

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