主
主
主
主
主
主
主
ないこside
ないこ
ソファに寝転びながら、ぼーっとする
カチ、カチ
静かな部屋に時計の秒針の音が鳴り響く
今は1月5日の夜
そう、俺の誕生日だ
昨日から今日にかけての誕生日記念配信では、 リスナーさんやメンバーなどのたくさんの人から祝ってもらった
めちゃくちゃ嬉しかったし、最高の誕生日と言えるだろう
しかし、もうすぐ俺の誕生日は終わりを告げる
特にすることもないため、少しつまらない
かと言って今から何かする気も起きない
だからこうして、ただひたすら何をするわけでもなくゴロゴロしているわけだ
ないこ
夜が更けていくほど寒さは増していく
真冬の真っ只中な今に、寒くない方がおかしいことはわかっているが それでも寒さは体に堪える
あの朝目覚めた瞬間の冷気が体を覆っていく感覚はいつまでも慣れない
毎朝に布団から出たくない現象に苛まれている
夜は夜で激しい冷え込みに襲われる
日が暮れるのが夏より早いだけあって、真っ暗になるのが早い
建物内から外に出た瞬間、外が思いのほか暗く驚くことも少なくない
四季があるのは日本の特色だと思うが、こうも寒いと1年中暖かかったら良いのに、と思ってしまう
そんなことを考えている間も誕生日は終わりへと近づいていく
眠りにつくのも一つだが、まだ寝るほどの時間でもない
いつもは1、2時間後に寝るため、ベッドに寝転がったとしても眠れないだろう
ないこ
流石にずっとこのままはつまらないため、何をするか考える
ピンポーン
その刹那、軽快なインターホンが鳴り響いた
こんな夜中に誰だろう、と思いながら玄関へ向かう
ないこ
ないこ
ガチャ
ゆっくりと扉を開ける
ほとけ
ないこ
なんとそこにはニコリと笑顔を浮かべるいむがいた
グループのムードメーカーでショタボが特徴的な彼は、俺の恋人でもある
白い息とほんのり赤く染まる頬から、寒い中やってきたことがうかがえる
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
「ほら!」と言いながらコンビニの袋を掲げるいむ
その中にはお菓子やお酒などいろいろ入っている
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないむ
ガチャ
ほとけ
ないこ
暖房が効いた部屋に嬉しそうにするいむ
よほど外が寒かったのだろう
ほとけ
ないこ
さっきまで何もなかった机がどんどん埋まっていく
定番系のおつまみとお酒が弱い俺を気遣ってか、度数低めのお酒を買ってきてくれたようだ
いむ自身もあまりお酒が強いというわけではないことも理由の一つだろう
ほとけ
ほとけ
ないこ
ワクワクとした様子でプルタブを開けるいむに急かされ、 俺も度数が低めのお酒を取ってカシュっと音を立てながら開ける
シュワシュワと缶の中で弾ける音がする
それと同時にアルコールの匂いが漂う
ないむ
ないむ
キンキンとまではいかないが、程よく冷えた液体が喉を潤していく
最近何かと忙しく、誰かとお酒を飲む機会もなかっため一段美味しく感じる
ないこ
ほとけ
ないこ
これはさっきから気になっていた疑問
単に誰かと飲みたくなったのなら、別に俺である必要はない
お酒が強い人の方が都合がいいはずだ
ほとけ
ほとけ
ないこ
昨日の夜から今日にかけての配信でメンバーやリスナーさんからは祝ってもらった
当然いむにも祝ってもらった
何が言いたいのかよくわからない
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ないこ
いむの言葉に身体中の熱が顔に集まってくる感覚がする
まさか俺の誕生日を二人で祝いたかったからだとは思わなかった
いむがそれだけ俺のことを大事に思ってくれていることが伝わってきて、恥ずかしい
ほとけ
ほとけ
ないこ
頬をスルリと撫でらる
恍惚とした表情で俺を見つめるその瞳にクラクラとする
気を抜いたらそのまま吸い込まれてしまいそうだ
ないこ
すっかりいむのペースに飲み込まれてしまう寸前に、顔を背ける
心臓がバクバクと音を立て、鳴り止まない
俺はもうショート寸前だ
ほとけ
つまらなさそうに、それでいて結果がわかっていたように言ういむ
きっと俺の何もかもが彼にはお見通しなのだろう
いつだって一枚上手だ
振り回されているとまではいかないが、翻弄されている俺が居ることも事実なわけで…
年上としてのプライドはあるが、これはこれで良いような気もしている
ないこ
ほとけ
ほとけ
含み笑いでそう言ういむ
俺の言いたいことは伝わっているのだろう
ないこ
ないこ
ないこ
ほとけ
林檎のような真っ赤な顔をして、俺を止めるいむ
いつも俺ばかり照れさせられて癪なため、ちょっとした仕返しだ
たまには俺が照れさせる側だっていいだろう
ないこ
ほとけ
元々ツンデレ気味なところがあるため、褒められすぎるとキャパオーバーしてしまうのだ
こういうところがかわいい
ないこ
ほとけ
ないこ
顔を真っ赤にしながら言われても、説得力はないが 俺が照れやすいことは自覚している
基本的には表情に出さないように、あえてふざけて返すことが多い
しかしいむの前となると話は別だ
好きな人に言われると本能で照れてしまう
これが惚れた弱みなのだろうか
ないこ
ほとけ
ストレートな愛の言葉に弱いいむは、やはり恥ずかしそうにしている
俺も直接言葉にすることは得意ではないが、心の中に秘めていた想いはスルスルと口から出てきた
日頃から思っていることだと言葉にしやすい
ないこ
ほとけ
目を右往左往させ、口籠るいむ
普段とは違う余裕のない姿に優越感を覚える
いつもは俺がこうなっている側なのだと思うと、変な感覚だ
ないこ
ないこ
誕生日は一つの口実
ただいむからの愛の言葉が欲しくなっただけ
察しのいい君のことだから、俺が何を求めてるかわかるでしょ?
なんて考えながら、挑戦的な笑みを浮かべる
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ないこ
言葉にならないような声しか出てこない
想像を遥かに超える数の愛の言葉が今も脳内に反響して止まない
俺たちは言われるのは照れるが、言うのはあまり照れないタイプだ
そのため、よく今日のようなことが起こる
自分が照れさせられたら、相手を照れさせようとし、ループに陥るのだ
ほとけ
ないこ
とまぁ、どちらかがやめようと言って終わるのが恒例だ
どちらかが言い出さなければ、おそらく無限にやっているだろう
それだけお互いを愛しているのだ
ほとけ
ないこ
それから俺たちは、お酒を片手にたわいもない話で盛り上がった──────
ないこ
ほとけ
あれから何時間経っただろう
時計は0時を回りそうだ
いむが買ってきてくれたおつまみはほとんどがなくなり、 辺りには空の缶が転がっている
お世辞にも綺麗とは言えない状況だ
お酒が回るにつれ、思考がおかしくなっていった
しまいには、よくわからないことを言ったり、しょうもないことで大爆笑したりしていた
何が面白かったのかまだ酔いが覚めない脳でも理解できないぐらいだ
ほとけ
ないこ
お互いにふわふわとした声で眠気と闘いながらかろうじて喋っている
机に突っ伏しているいむとソファに沈み込んでいる俺
この状況を見た人は口を揃えて「何があった?」と言うだろう
普段の俺なら確定で言うと思う
ほとけ
ないこ
ほとけ
ないこ
さっきから中身のない会話しかしていないが、これは本気でそう思う
もちろん来年も一緒に祝えると信じているが、口にしておいて損はない
言霊的なやつだ
口に出すことで実現しようと努力するのだ
来年も再来年もずっとずっとお互いの誕生を祝っていきたい
人生で一番おめでとうを言われる相手で、おめでとうを言う相手でありたい
ほとけ
ないこ
・・・
ないこ
ほとけ
ないこ
すっかり眠ってしまったいむ
目の前にあるいむの頭に腕を伸ばす
ないこ
ないこ
優しく彼のグラデーションが綺麗な髪を撫でる
サラサラで触り心地がいいその髪は、ずっと触っていたくなる
ないこ
それと同時に瞼が重くなる感覚がする
机に広がる空き缶達は明日二人で片付けよう
そう思いながら睡魔に身を任せた───────
〜終〜
コメント
5件
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二人とも可愛い~ッ♡