TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

物語はいつも、「正義」が勝ち「悪」が敗れる。

桃太郎が鬼を倒したり、ヒーローが敵を打ちのめしたり。

そして今、物語の悪役である俺は、どうにかして勇者を倒す方法がないか探している。

俺、アクノ・アークには前世の記憶がある。

俺が生まれちょうど1000年経った頃。

脳内に前世での俺の姿、死ぬまでにやっていた事など、全てが溢れてきた。

俺は「たまたま」上級悪魔に生まれ、魔王に使える幹部となり、

「たまたま」前世の記憶がある元人間。

そしてこの世界は、前世で発売予定だった

"world cleansing"というゲームの世界だ。

アクノ・アーク

ずっと楽しみにしてたのに、発売前に死ぬとか…

アクノ・アーク

俺ってついてねぇな…

つい思ったことを口にしてしまい、ハッとして周りに聞かれていないか確認する。

アクノ・アーク

(やっべ、無意識に言っちゃうかもだし、他の魔族がいる場所で前世のこと思い出すのは辞めよ…)

すると、「ピンポンパンポーン」と学校のような放送と共に、気だるそうな声が聞こえてきた。

『幹部の皆さん、幹部の皆さん。』

『これから会合を開きますので、会議室へ5分以内にお集まりください。』

声の主は淡々とそう告げ、放送を切った。

アクノ・アーク

(いつも思うけど、魔王城で放送て…)

アクノ・アーク

(もっとなんかあるでしょ。頭に直接流したりさー?)

アクノ・アーク

(そういうとこ、原始的なんだよな。)

会合は、魔王と幹部のみで行われ、不定期に開かれる。

毎回突然告げられる上、遅刻すれば"角抜き"な為、

幹部達は各部隊のリーダーの癖に、会合が開かれる度怯えている。

アクノ・アーク

あ、ちなみに角抜きってのは、その名の通り魔族だけに生えてる角を抜かれるってことな。

アクノ・アーク

めちゃくちゃ痛いから、よく魔王様が脅しに使ってることが多いぞ。

何してるんですかアクノさん?

アクノ・アーク

どわぁっ!?

突然声を掛けられ驚くアクノ。

アクノ・アーク

ってロウ…。気配消すの上手くなったなぁ

ロウ・カイジー

ほんまですか!?アクノさんに褒められたぁ〜!

方言を喋るこの悪魔は、 ロウ・カイジー。

アクノの部下で、女の子大好き。

アクノを慕っていて、アクノもまたロウの事を信頼している。

アクノ・アーク

で、俺になんか用か?

ロウ・カイジー

あ、そうそう!今日の会合、勇者について話すらしいですよ!

アクノ・アーク

勇者について…?

ロウの発言に、アクノは目を丸くする。

アクノ・アーク

(という事は、そろそろゲームのストーリーが始まるって事なのか?)

アクノ・アーク

というかお前、どこでそんな情報を…

ロウ・カイジー

よくぞ聞いてくれました!

ロウ・カイジー

実は実は!魔王様とサウドさんが話してたから、なんやろ思って近づいたんですよね!

ロウ・カイジー

ほんだら、勇者がどうのこうのって話してたんです!

ロウは得意気に話す。

アクノ・アーク

お前、ついに魔王様とオリエにもバレないようになったのか!?

ロウ・カイジー

そーなんです!!全部アクノさんのおかげですね!

着眼点が違うように思えるが、アクノにとってはそれよりも、ロウの成長の方が嬉しいらしい。

アクノ・アーク

ロウ…!流石俺の部下だ!

アクノは感激の表情を見せながら、ロウの頭を撫でる。

ロウ・カイジー

んふふ〜

アクノに撫でられたロウは、猫のような声で喜んだ。

アクノ・アーク

(俺の部下、超可愛い。弟にしてぇ…)

ロウ・カイジー

アクノさん、そろそろ行かんくて大丈夫ですか?

アクノ・アーク

…はっ

アクノ・アーク

(やべぇ、ロウが可愛すぎてすっかり忘れてた…)

アクノ・アーク

ありがとなロウ!行ってくるわ!

ロウ・カイジー

頑張ってくださいねー!

アクノはロウと別れ、会議室まで走っている。

魔王城では、1部の者以外は魔力の使用は禁止な為、身体強化などの魔法も使えない。

故に、遅刻しそうになった時にはどうしようもない。

アクノ・アーク

まずいまずいまずいまずい!

アクノ・アーク

あと30秒!会議室までは約2km!

※ちなみに今、アクノは秒速60mで飛んでます。

アクノ・アーク

なんでこんな遠いんだよおぉぉ…!

アクノ・アーク

本気出せ俺の翼ぁー!

会議室の扉を勢いよく開け、息切れしながら部屋に入るアクノ。

アクノ・アーク

はぁっ…はぁっ…

あ、アクノクンやっと来たー!

遅いぞアクノ!俺も俺の筋肉も待ちくたびれた!

遅刻かな〜?ギリギリセーフかな〜?

どうでしたか魔王様。

それぞれの幹部が喋り、白髪の男が魔王に問いかける。

魔王

そして、魔王の席の下から小さな子供が現れ、アクノに向かって言った。

魔王?

遅刻です…。

魔王?

よって、アクノくんは角抜き決定ー…
loading

この作品はいかがでしたか?

29

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚