ナムジュンside
俺たちの曲が終わって、会場の照明が変わる。 ファンたちのどよめきが会場に広がったけど、ステージに現れた人を見た瞬間、会場が一気に歓声に包まれた。
テテ
テヒョアの声に思わず頷いた。 噂があっても、彼がいかに人気で愛されているかを改めて実感した。
ジョングガと一緒に、彼はステージの中央に立った。 リハで強張ってたジョングガの顔も、さすがプロの余裕が出ていた。
グク
ジョングガが役目を終えて彼から離れようとした時、また会場に黄色い歓声が上がった。 何かと顔をあげたら、彼はジョングガの手を握り直して、そのまま自分の頬まで持っていった。 その表情は優しく、綺麗な笑顔を浮かべていた。
グク
ホソク
小声で言った彼は、手を離すとすぐにマイクに向かった。
さっきのは彼のアドリブ。 会場のファンをもっと盛り上げようと、わざとやったんだ。 しかも、ちゃんと成功してる。
ホソク
初めて彼の歌を聞いた。 カッコよくて、『希望』っていうあだ名に似合う感じだった。 あんな噂なんて、嘘なんじゃないかって思うほど、 純粋で、透き通っていて。 こんな歌が歌える彼が、そんな不純なことをするような人には、見えなかった
収録が終わっても、他グループとの挨拶でいろいろと忙しくしていた。 この後はメンバーとスタッフさんとご飯に行く予定で、早々に控え室に戻ろうとみんなで歩いていた。
男
と、向こうの方から聞こえた大声に、思わずみんな足を止めた。 見た先には、さっきまで会場で挨拶していたナムジャアイドルの男の子と、ホソクさんがいた。
テテ
グク
スタッフに押さえられている男の子は、ずっと大きな声で彼に罵声を浴びせていた。
男
ホソク
男
怒りで顔を真っ赤にするその子と対照的に、彼は至って冷静だった。
男
男
男
ああ、そういう……
ジミン
テテ
テテ
なんて言ってると、その子はスタッフの腕からすり抜けて、彼を突き飛ばした
ナムジュン
そんな事をされても、なんでも無いような表情の彼。 むしろ、どこか笑っているように見えた。
ホソク
ホソク
ホソク
そう、彼ははっきり言った。 冷たく、突き放すみたいな言い方で。
ナムジュン
気づけば俺は、そんな事を言っていた。
ホソク
こっちに顔を向けた彼は、少し驚いたみたいだったけどすぐに笑った。
ホソク
ナムジュン
ホソク
…なんだ。名前知ってるんだ。
ナムジュン
ナムジュン
俺の言葉に、彼は何も言わない。 代わりに笑って俺を見てくる。 その目がまるで、俺には関係ないって言ってるみたいだった。
ホソク
悪びれもなくそう言った彼に、俺の中の何かがぷつっと切れる音がした。
ナムジュン
ホソク
ナムジュン
スタッフに囲まれた男の子は、ずっと泣いてる。 でも彼にはそんなの見えてない。 その事に、どうしようもなく苛立った。
ナムジュン
ホソク
そう言って笑った彼に、さっきステージで見せていた姿は一切なかった。 完全に、別人だった。
ナムジュン
ナムジュン
言ってしまったことは、取り消せなかった。 今、俺が言った言葉は多分、彼には言ってはいけないこと。
なのに当の本人は、俺の言葉なんて気にもせずに、ニッコリ笑った。
ジン
ナムジュン
後ろから、ジンヒョンが俺の肩を引いた。 それにハッとして彼から一歩下がると、遠くから声が上がった。
マネージャー
ホソク
マネージャー
マネージャー
そう言って、彼のマネージャーらしき男性が、泣きじゃくるその子を優しく立たせた。
マネージャー
マネージャー
ジン
男性は申し訳なさそうに一礼すると、男の子を連れて歩いていった。
ホソク
残された彼から漏れた、小さな溜め息。 疲れたような彼に、俺はまたどこからか苛立ちが湧いてくる。
ナムジュン
ホソク
ナムジュン
さっきとは一転して、彼は子どものような笑顔でくるっと俺を見た。
ホソク
謝れって言ったのは俺なのに、急な謝罪に何も言えなくなってしまった。
ホソク
愛想よく笑った彼は、俺の横を通り過ぎて行った。
さっきまでの苛立ちが、今じゃ呆気に変わっていた。 彼の急な態度の変わりように、対応できなかった。
ジン
テテ
ナムジュン
俺はテヒョアに腕を引かれて、控え室に向かった。
そして懲りずに、彼が歩いて行った方を振り返る。
彼はもういなかった。
コメント
3件
そうなんですよ… 今のホソクさんはあまりよろしくないんですよ😢 こんな2人が仲良くなれるか主も不安です😂
大人の余裕のホソクさんも好きです💜 ナムさん、そうだよね〜(இωஇ`。) 正義感の強いナムさんには許せないよね…(;;) あー、これから2人どうなっていくのだ!! 続きが待ち遠しくて仕方ありません!(>_<) でも、気長にいつまでもお待ちしておりますm(*_ _)m