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rara🎼
rara🎼
rara🎼
みこと
いるま
rara🎼
キーンコーンカーンコーン
みこと
やっと終わったぁ。
後は、もう家に帰るだけ。
みこと
みこと
いるま
いるま
みこと
みこと
いるま
なんだろう。
まニキの反応がほんの一瞬遅れたのは、気のせいだったのかな。
次の日
ぇ……。
“また?”
まニキは月に1度、必ず学校を休む。
理由は分からない。
休むのは、1日だけ。
でもたまに、2日休むこともある。
そして、その翌日は決まって──。
いるま
傷だらけなのだ。
絆創膏をあちこちに貼っていて、酷い時は関節を包帯で固定していることなんてある。
何気なく、聞いた時があった。
みこと
みこと
いるま
いるま
いるま
いるま
いるま
みこと
見え透いた嘘しかつかなかった。
さすがの俺でもわかるよ。
例え、その傷がペットにやられたものだとしても、そんなんにはならないって。
そんな……
苦しそうな笑顔をする必要ないんだって。
みこと
もう慣れつつあった。
教師は、まニキが休みだということを伝えるだけで、それ以外には何も触れることはなかった。
クラスメイトも、まニキに話しかけないから、特に気にしていない。
話しかけているのは、俺くらいだ。
みこと
まニキと話してる時、あんな陰口が聞こえたなぁ。
まニキが、化け物?
まニキに、殺される??
有り得ないでしょ。
信じたくない。
そもそも、人を化け物呼ばわりするなよ
みこと
泣きそうな顔で、立ち向かおうとしたっけ。
でも、まニキは俺の袖を引っ張って、引き止めた。
いるま
いるま
みこと
俺は、怒った。
みこと
みこと
声を荒らげると、まニキは目を伏せ、それから笑った。
いるま
聞き取れたのは、それだけ。
肝心なところが分からなかった。
結局、その日もずっとまニキのことを考え、授業には集中出来なかった。
教科担任に、何度も教科書で頭叩かれて笑われたことくらいしか今日は残ってない。
でも、その日、一つだけ違った。
みこと
その日、地獄になることを、まだこの時の俺は知らなかった。
俺は、まニキの家まで自転車を漕ぐ。
秋の風が涼しく、心地よい。
何より今日は、十五夜
満月がとても綺麗な日。
普段なら、ただ綺麗だな、で感想は終わるのに
この日は、背筋が凍るほど、満月が恐ろしく感じられた。
まニキの家に着いた時、もう辺りは真っ暗で、俺はスマホのライトをつけた。
ぼんやりと、淡い光が足元を照らす。
そして、初めて来たまニキの家に、思わず俺は口を開ける。
みこと
お金持ちなのかなって普通に思った。
そして、インターホンを鳴らす。
けれど、2度3度鳴らしても、両親すら出てこなかった。
みこと
ピンポーン
その時、かすかに聞こえたのだ。
呻き声のような、苦しそうな声が家の中から。
もう、居ても立ってもいられなくなって、俺は構わずドアをこじ開けた。
みこと
運動部に入っていたおかげなのか、分からないけど、容易く入れた。
みこと
そのまま、俺は家に上がる。
何も知らない間取りを手探りで探す。
リビング
みこと
みこと
答えは返ってこなかった。
けれど、さっきよりもはっきりと、声が聞こえた。
いるま
下から聞こえる。
地下があるのだろうか?
キッチン
一見普通に見えたけど、奥の方の床に、明らかに後から作られたであろう木の扉があった。
みこと
ここから、目眩を覚えるほどの鉄の匂いがする。
そして、時折鎖のようなものが軋むおとが聞こえた。
みこと
まだ暑いと言うのに、冷や汗が止まらなかった。
心臓が早鐘を打った。
“ここから逃げろ”
“この扉を開けては行けない”
本能がそう言った。
でも、それを振り切って、俺は扉を開けた。
家の構造とは全く異なる、歪な細く長い階段。
どれだけ下にあるのか、肉眼ではその先は闇だった。
俺は、壁に手を当てながら、ゆっくりと降りていった。
みこと
そう呟きながら、降りていく。
血の匂いが、いっそう濃くなる。
やがて広い空間に出た。
視線の先の人影を見て、俺は息をすることを忘れた。
みこと
それは、果たしてヒトと呼べるのだろうか。
盛り上がった筋肉、浮きだった血管
メキメキと軋む骨の音
みこと
俺がいることにようやく気づいたのか、いるまは顔を上げた。
その顔は酷く青白くて、そして、血だらけだった。
いるま
いるま
みこと
自分でも驚くほどの震える声だった。
いるまは、半ば涙を流しながら、俺が近づこうとするのを拒否する。
いるま
みこと
いるま
いるま
その瞬間、全身の骨でも折ったかのような軋む音が、辺りに響いた。
いるま
いるまは苦しそうに呻き声を上げた。
そして手が丸くなり、鉤爪が出来て、
耳が生えて
しっぽが生えて
四つん這いになって
それは、まさしく狼だった。
狼
人から獣へと変わったいるまは、打って変わって黙っていた。
みこと
狼
俺が呟くと、狼は小首を傾げ、そして俺をじっと見据える。
その瞬間
狼
みこと
縛られていたはずの鎖を外し、俺に飛びかかってきた。
胸を押えられ、鋭い鉤爪がくい込み、赤く滲む。
みこと
狼
狼は、血の匂いに反応し、より一層凶暴になる。
瞳孔が更に細くなり、興奮状態なのか、瞳は少しだけ赤い。
みこと
死ぬ気の覚悟で、俺は狼を抱きしめた。
狼の体は、皮肉な程にふわふわで、気持ちが良かった。
当然、狼は俺の肩を思い切り噛んだ。
みこと
それでも、声を噛み殺し、耐えた。
まニキは、ずっとこの苦しみを一人で耐えてきたんやろ?
なら、1回噛まれたくらいで泣いちゃいけんやろ……
痛みと、苦しみとが重なり、目尻から涙が零れる。
みこと
みこと
みこと
みこと
みこと
みこと
みこと
狼
言葉が通じたのか、噛む力が少しだけ弱まった。
みこと
狼
なんで……まニキが泣くん?
なんで……“謝るん?”
聞こえたもん。
“ごめん”って
みこと
みこと
それが奇跡だったのか、狼はころんと寝落ちた。
みこと
痛む体を抑えながら、俺は狼を抱き、ベッドへと連れていった。
そこからの記憶は、曖昧だった。
次の日
朝起きた時、まニキは人に戻り、隣で眠っていた。
起き上がると、昨日の傷が痛む。
みこと
寝る前に止血はしたはずだけど、抑えれば今も赤く滲む。
いるま
いるまが目を覚ました。
いるま
いるま
寝起きの目が、焦点が合うのに、時間は要しなかった。
俺の傷を見た時、いるまは顔を青ざめた。
いるま
いるま
みこと
小刻みに震えるいるまをそっと抱きしめた。
自分よりも少し小さいその体格を、丸ごと受け止めるように。
みこと
みこと
いるま
俺は狼男だ。
生まれた時からという訳ではない。
小さい頃は、普通の人間だった。
ある日、夜の外を歩いていると、大きな犬に首元を噛まれた。
あの犬が狼男だと気づいたのは、自分も狼になってからだった。
狼の時の記憶は、あまり残っていない。
けれど、気づいたらいつも、目の前に血だらけで事切れた人が居た。
両親は、そんな俺を殺そうとしてくれた。
そして、自分も死のうと、そう言ってくれた。
なのに
人である時も、狼の本能があったのか
人の姿をしたまま、獣のように唸り親を殺した。
怖くなった。
死ねるなら、死にたかった。
怖くなって、逃げ出した。
赤く染まった裸足で、アスファルトの上を走るものだから、更に傷ついた。
でも気にせず走り続けた。
一人で暮らすようになってから、家に地下を作った。
満月の夜はそこに閉じこもった。
傷つけるものがないなら、自分の体を傷つければ少しは気が紛れるんじゃないか。
そうして、何回かの夜をそうやって凌いだ後
みことが来た。
目の前に、“傷つけるもの”がある。
だから、狼の本能はみことを殺そうとした。
けれど
みこと
みこと
みこと
ねえ、俺を殺して?
そんなの、殺せるわけねえだろ?
傷つけちゃ駄目なんだ
死ぬべきは、俺なんだよ、みこと
人を殺し続けた化け物は、人と関わっちゃいけねえんだ
いるま
俺を殺せ。
みこと
俺が戸惑っている間に、まニキは鋭利な包丁を持ってきて
俺に突きつけた。
いるま
いるま
みこと
いるま
いるま
震える手で、包丁を握る。
慣れない持ち方で、刃をゆっくりまニキの心臓へ向ける。
みこと
みこと
ゆっくりと、心臓に突き刺す。
血が固まらないうちに、人を殺したという感覚を覚えてしまう前に
自分の心臓を一突き。
満月を終えた夜、2人の高校生がベッドの上で血だらけになり死んだ、というニュースはその日のうちに広まった。
けれど、2人の遺体は、とても穏やかな顔をしていたそうな。
みこと
時は流れる。
1人の少年が、赤く染まった膝を抑えながらわんわんと泣いている。
それに、小さな手を差し出す少年。
いるま
みこと
みこと
いるま
いるま
なれない手つきで、少年の膝に絆創膏を貼る。
みこと
いるま
みこと
いるま
いるま
いるま
みこと
みこと
みこと
いるま
いるま
みこと
狼男
rara🎼
rara🎼
rara🎼
rara🎼
rara🎼