桃赤
クリスマスメロウ
例えば
夢をみる事がある。
その人は
俺の事を狂ったように愛してくれるヒト
息が出来なくなるくらい
強く抱きしめてくれて
俺の為に生きて
俺の為に死んでくれるヒト。
そんな人居ないんだって
俺が1番分かってる。
ほんの出来心だった。
桃
駅前のコンビニ。
いちごのチョコレートを
手に取った手首を
グッと掴まれた。
桃
俺を見据える瞳が
酷く綺麗で
思わずひゅっと息を飲んだ。
桃
赤
赤
告げ口したいならすればいい。
俺はキッと下から彼を睨みつける。
桃
桃
....違う
違うの。
チョコレート買えるお金くらい
そんなの、持ってるよ。
桃
その時思ってしまった。
この人は
幸せなんだろうなって
思ってしまったら
もう止まれなくて
俺は彼の手を振り払い
チョコレートを戻して
コンビニをでた。
桃
ただ俺は
前ならえの
このクソみたい世界で
抗ってみたかっただけなんだ。
辛いんだって
苦しいだって
消えてしまいたいって
死にたいんだって
叫びたかっただけだったんだ。
色とりどりの
イルミネーション。
馬鹿みたいに輝く
クリスマスツリー。
チラチラ舞う雪と
幸せそうな人たちの笑い声。
そうだ、今日はクリスマスだった。
眩しいその景色は
俺にとって毒でしか無くて。
だから歩いた。
歩いて歩いて
行くあてもなく
刺すような寒さの中
マフラーも手袋もなしに
無心に足を動かした。
桃
突然グイッと腕を引かれ
驚いて立ち止まる。
振り返ると
さっきまでコンビニ居た彼だった。
桃
桃
そう言って持っていた
レジ袋の中から
さっきのチョコレートを取り出して
袋のまま、俺に突きつける。
そうじゃない。
別に特別このチョコレートが
欲しかったわけじゃない。
....なんなんだこの人は。
俺を憐れだと思ったのか
ふつふつ沸いた怒りの矛先は
もちろん目の前の彼に行く訳で。
赤
吐き捨てるように言い
袋を彼の胸に押しつけると
俺はまた背を向けて
早足で歩き出した。
桃
桃
少し声を上げて
彼が叫んだ。
桃
赤
桃
桃
そう言って彼はまた
チョコレートの入った袋を
今度は俺の手に握らせてきた。
桃
呆然として立ち尽くす俺に
今度は彼が背を向けて
反対方向に歩きだした。
赤
誰もいない薄暗い公園の
ベンチに座って
さっき彼に押し付けらた
いちごのチョコレートを見つめる
小さい頃
大好きで
よく強請って買ってもらった。
歳を重ねるに連れて
食べたいと思うことも
買う事も無くなった。
相変わらず変わらないパッケージ。
かじかんで感覚も無くなってきた手で
そっと包み紙を開き
端の部分を少し口に含む。
痺れるような甘い味が広がって
鼻の奥がツンとなった。
赤
赤
ぼやけていく視界の中で
頬を伝ったものが口に入り
口の中が苦いような甘いような 。
情けない
こんなもので泣くなんて。
歯を食いしばって
涙を止めようとすればする程
止まらなくなった。
桃
雪はまだ止まない。
街の大広間。
ぼんやりと
俺の何倍も大きい
クリスマスツリーのてっぺんで
キラキラ輝く星を見つめていると
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
桃
赤
ヘラりと笑うと
そっか、なんて微笑んで
俺の手を大きな手で絡ませた。
赤
桃
そう言いながら今度は
手を繋いだまま自身のコートの
ポケットに俺の手を突っ込む。
桃
赤
自慢げに言う桃ちゃんが子どもみたいで
可笑しくて強く手を握り返す。
赤
桃
しばらくそうしていて
俺はマフラーに顔を埋めて
小さな声で彼の名前を呼んだ。
本当に小さな声だったが
彼はちゃんと拾ってくれる。
これだから俺は
死ねなくなったんだ
赤
桃
赤
桃
赤
桃
桃
桃
赤
彼の手が
そっと俺の頬に添えられる。
赤
赤
赤
赤
赤
幸せな甘い蜜の中で
''君の中で死にたい''なんて
可笑しくて笑ってしまう
ポロリと零れた俺の涙が
添えられた彼の親指を濡らした。
赤
赤
桃
君の腕の中が。
こんなにも心地いい。
抱きしめられて
嗚咽が零れる。
俺の言葉はきっと
矛盾している。
だって
分からないんだ
もう何も
わかんないよ
桃
桃
悲しそうな顔して
ほんとうは
分かってたんでしょ
桃ちゃんは
俺が死ねない事くらい。
桃
すると彼はさらに
俺を潰れるんじゃないかってくらい
強く抱きしめた。
桃
桃
桃
あぁ、なんてこの人は
馬鹿みたいに優しいんだろう
抱きしめられて顔を見えないけど
彼はきっと泣きそうな顔をしてる
ごめんなさい
わがままで
桃
急に名前を呼ばれて
綺麗な青色の瞳と目が合う
桃
赤
桃
赤
ほんとにずるい
ズルすぎる彼は。
赤
桃
桃
そうして
下手くそに笑って手を固く繋いだ
2人の恋人が
街の輝きに飲み込まれて行った。
ℯ𝓃𝒹
クリスマス、という事で 私からの 桃赤のクリスマスプレゼントでしたw 重い感じになって申し訳ない.... TERRORって結構苦しんでる子が 沢山いて そんな子の心に寄り添えるような 作品を作りたいなと思い 出来上がったのが これですw 所々意味わかんないと思いますが 少しでも誰かの心の支えに なれますように メリークリスマス!!
コメント
75件
クリスマスはもう過ぎているのに鮮やかに彩るイルミネーションが何故か頭の中に浮かびました、笑矛盾する気持ちすごく幸せなことだと私は思います。暖かい気持ちになりました。はみぃさんの暖かい気持ちに私は救われたきがします笑最高でした。
ブクマ失礼します
ブ ク マ 失 礼 し ま す っ 、 ! !